1.《ネタバレ》 テレビアニメ8話分を92分という荒業でまとめた前編とは一転して、
残りの4話分を描いた後編はそこまで駆け足でもなく、日常パートをじっくり描いてから、
クライマックスの学園会の演奏を際立たせる構成を取っている。
結束バンドのメンバーそれぞれの欠点を補いつつ学園祭の演奏を成功させ、
キラキラしたギターヒーローになった大団円で終わるわけでもなく、
いつものライブハウスで演奏してバイトする、ただの日常に戻っていく。
どこか客観的で、どこか醒めている、前編とは違う空気を感じる。
テレビ版のラストを見たとき、ひとりは一つの殻を破ったと解釈できるが、
新規カットであるその先の幼少期のシーンにどこか不安を覚える。
"ぼっち"とさえ呼ばれていなかったあの頃みたいに戻ってしまうのではないかという不安。
成功譚をコミカルに描いた妄想が強ければ強いほどに。
映画としてはなかなか楽しめる作品であるけれど、78分でそこまで思い切った編集があるわけでもなく、
一本の映画として2時間半で一気に描いて欲しかった気持ちはある。
ただ、日常4コマギャグマンガから独立した"青春の翳り"を何倍も増幅させたのはアニメ版ならでは。