1.《ネタバレ》 レビュー冒頭からネタバレします!
これは感想を述べるのが簡単なようでいて難しい作品。簡単というのは、結構アッサリ纏められてしまうから。要は、幸せな生活の中に、否、幸せな生活だからこそ抱いてしまった不満によって家出的な外出をしてしまったものの、一緒に旅行に出発しなかったばかりに家族と死に別れてしまうという物語。そして彼女はその悲しみを断ち切り、家族との思い出の家を出て新たな人生を歩むのだった。そんな感じです。
難しいというのは、現在と過去、それも複数の過去という時系列が複雑に行き来し、更に主人公の空想というか妄想というか脳内イメージが重なり合っていて、それを書こうとするとレビューというより説明になってしまいそうなこと。構成の妙です。
愛娘と主人公を繋ぐピアノが一つのキーになっていますね。冒頭のシーンで主人公がクルマのキーを鍵盤に落として鳴ってしまう音。この音階が全編通じて登場します。それぞれのシーンを繋いでいる音ですね。短音のみならず楽曲も効果的に登場します。演出の妙です。
二回観ました。物語の全容を知ってから観直すとより味わい深い作品でした。8点献上します。