6.《ネタバレ》 天使の都、クルンテープ。
猥雑でダスティで、混沌としたメガロポリス、バンコク。
かつてのその地を懐かしむ人々にとって、この映画は貴重な記録映画でもある。
まだスカイトレインが青い空を塞ぐ前、空の玄関口は当然ながら黄色っぽい照明が胡散臭いドムアン空港。
到着ロビーに溢れる白タク運転手の群れ、そして怪しげなエクスチェンジの声。
何もかもが、皆懐かしい。
この物語は、一気に転げ落ちていきながら、最後には振り出しに戻る。
我々旅人が過去の地を訪れたとしても、残念ながら時の流れが全てを洗い流している事は珍しくない。
だからこそ、この作品が捕らえた映像には代えがたい意味がある。
多少の筋立ての粗など気にせず、当時のタイ、バンコクの空気感を楽しむべき映画。
マイペンライ!