11.《ネタバレ》 我らがオラフ・イッテンバッハの初劇場公開作品は、死者を蘇らせる力を持つ邪神プレムトスの物語(という体の、殆ど無内容で虚無なシナリオ)である。歴史上の様々な場面においてプレムトスがもたらした災厄(という体の、死人がデロデロ蘇っての単調極まるチープなグロ描写)を、現代において邪悪なプレムトスの書を偶然手に入れた主人公の話に(前述の場面が主人公の頭に唐突にフラッシュバックしまくるという無茶苦茶な方法で)巧みに織り交ぜて進行していく。掴みのショックシーン15分は初っ端からかなりカッ飛ばしており、素晴らしい見所となっている(この後1時間近くに渡って大した見所が無いのだから、ここをボーっと見逃すわけにはいかない)。中盤の主人公の日常生活パートにも(自身初の劇場公開作品にも関わらず、この監督グロ以外には映画に描けるようなモノの入った引き出しが本当に何も無いんだな、という意味で)監督の映画センスが炸裂しており、大変に興味深く観れる。
そして遂に、本作のハイライトたるラスト20分がやって来る。
(ちゃんと観てると正確には残り40分の時点でゾンビが出現してクライマックスに入ってるのだが、そこから20分がまた全然盛り上がらないのだ)
(全編通してグロ描写の挿入のみに腐心し、それにどうメリハリを効かせるかというのに全く気が回ってなく、とにかくダラダラしてるのですよ)
(ただ、ラスト20分前からは音楽も変わってやっと本気でゾンビと闘い始め、そこからの10分だけは少しテンションも上がるかなあと)
(お待ちかねの戦車シーン、ゾンビを大砲で粉微塵にする描写にだけは流石に観る価値がある。何故なら他では絶対ここまでやらないだろうから)
世紀の問題作と言える今作、ホラー好きなら必見と言えるだろう(本当にラスト15分だけ、ここだけ観る、で十分だと思う)。