2.イタリアの巨匠デ・シーカ。「自転車泥棒」に代表されるネオリアリズモや、
マストロヤンニ、ソフィア・ローレンの名コンビを起用した艶笑喜劇、
そして「ひまわり」や本作のような、戦争と女を描いた反戦映画もまた印象的です。
多くのデ・シーカ監督作に出演したローレンですが、喜劇にしても戦争の時代のドラマにしても、
やはりこの人には逆境にも強く逞しく生きる姿がよく似合います。
1960年製作の本作、ローレンはまだ20代半ばですが、中学生の娘がいるシングルマザーという設定。
実年齢を考えると無理がある設定ですが、デ・シーカにとって主演はローレン以外には考えられなかったのでしょう。
実際、違和感を感じさせません。女として、母として。女優ソフィア・ローレンの素晴らしさを見ることができる作品です。
中盤までは母娘が疎開先の地方で出会う人々の交流がイタリア的陽気さをもって描かれる時間帯もありますが、
だからこそ市民生活の中に土足で踏み込んでくる、市井の中の戦争が描かれる終盤が辛い。
ローレンが圧倒的な存在感を示す作品ですが、娘を演じた女優さんの透明感のある存在もまた印象的でした。