《改行表示》38.《ネタバレ》 『母と暮せば』は観ていたが、正直あまり良い印象が残ってなくて。本作は3部作の1作めって事なので、どうかなぁ?って思ったけど、予想外にガツンと来た。どこか幼さが残る娘と、頼りになる面白いお父ったん。テンポの良い親子の会話が心地よく、重たい原爆の話だけどスルスルと抵抗なく観られた。親子で押入れに入るのカワイイ。 お茶もまんじゅうも口にしないお父ったんに『あっちの映画同様、亡くなってるのかなぁ?それがこの映画のオチかなぁ』なんて思ったけど、案外早くに亡くなっていたことが解る。そこが観どころじゃないんだ。 ストレートに、当時原爆の下に居た人たちの恐怖を語ってくれる。まるで読み聞かせのようだ。浴衣姿のおっとりした美津江の昔話から、エプロン劇場と陽気に始まったお父ったんの広島の一寸法師。広島の人が鬼に対し、原爆瓦でどうしてやりたいか。忘れることの出来ない内に秘めた怒り。美津江じゃなくても怖くなった。原田芳雄の語りの、息が止まるような迫力。 美津江の話。感情を抑えきれなくなったアキコさんのお母さんから出た言葉。父を助けられず見捨てて逃げたこと。あの時生き残った者が幸せになることを阻む。3年前の記憶がいつまでも美津江を苦しめる。宮沢りえの語りも、まるで生存者の体験談のように生々しく聞かせてもらった。主演2人の聞かせる力。 最後のは何だったんだろう?あの不安を煽る音楽と原爆ドームから、美津江ももしかして?って思ったりもしたけど、きっとたぶん、料理してる美津江のカットと、家の天井から続くドームのカットは、続いてるように観えて、別カット、別の建物なんだろう。 ドームの外に咲く2輪の花は、原爆の後を生きる生命で、たぶん美津江と木下さん。観る側に木下さんの具体的なイメージを持たせるために、敢えて浅野忠信を登場させたんだろうか。モヤモヤさせる終わりにした監督の意図は掴めなかった。 モトは舞台の戯曲として創られて、ほぼ舞台そのままのスタイルで映画化されていると思う。だから伝えたいテーマがシンプルに伝わる。死者が会話するファンタジー要素を入れて、死者と生存者の両方の体験者の話を聞かせる。 「前の世代から伝わる話を、いじったりせずに、あとの世代に忠実に伝える」この映画のテーマは、美津江の所属する昔話研究会の方針と通ずるものがあるんだろう。この話を映画にすることで、より多くの人が目にする機会が増えるだろう。私も映画だからこの作品を観る事が出来た。恐ろしく心にガツンと響く映画だけど、観て良かったと思ってる。被爆者の気持ちを“いじったりせず、忠実に”表現したこの映画を、一生に一度で良いので観てもらいたい。 【K&K】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-08-31 21:42:45) |
37.ほぼ芝居劇。テーマは重いかもしれないが、映画として入れない。 【simple】さん [地上波(邦画)] 4点(2018-08-11 21:40:48) |
《改行表示》36.《ネタバレ》 原爆瓦、 広島の一寸法師の話、 友に救われたこと そしてその友が死んだしまってしまったこと、、、。 あの日父を置き去りにしてしまって逃げたこと、、、。 人並みの幸せを求めてはいけないと もうほんとうに観るのが辛くて、悲しくて、そして痛かったです。 胸が暑くなり苦しくなりました。 あの日(原爆の日)に生き残った人が生き続けることへの苦しみなんて考えたこともありませんでした。 宮沢りえの「生きるのが申し訳ない。でも死ぬ勇気もない」と泣き崩れるところには 口がカラカラになっていました。 そのことを知った父親も本当に悲しかったと思います。 最後の、じゃんけんのシーンでは、涙しそうになりました。 原爆の恐ろしさを後世に伝えるための作品として、ドラマとしても 絶対おすすめしたい(一度は観ないといけない)と思う作品でした。 【へまち】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-08-11 21:26:31) |
《改行表示》35.《ネタバレ》 先日「母と暮らせば」を映画館で観て、気になっていたこの作品をDVD鑑賞しました。 井上ひさしが舞台用に書いた脚本ですから、演劇的な手法が使われていてそれを嫌う人もいるようですが、わたしは映画というファンタジーの世界に自然に取り込まれているので違和感は感じませんでした。 そして何よりも宮沢りえのアップで、表情が手に取るように伝わってくると言う映画ならではの特徴が、特にラストシーンで見事に生かされていたと思います。自分を責めていた苦悶の表情がすうっと晴れて、透明感のある清らかな笑顔は見事でした。 原田芳雄の「広島版一寸法師」は逆に演劇手法そのものでしたが、単調になりがちなストーリー展開に強烈なアクセントをもたらす効果もあり引き込まれました。 総じて「母と暮らせば」より良くできた作品だと思いました。 ただ、ラストの原爆ドームと二輪の花は謎でした。宮沢りえが笑顔で料理をしているところに木下がやって来て、将来に明るい余韻を残す終わり方でも良かったと思ったからです。 でも、ああいった謎の設定も映画的でありかなと思いつつあります。 【karik】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-02-01 22:26:25) |
《改行表示》34.《ネタバレ》 直球の反戦映画でしたね。 ほぼワンシチュエーション、ほぼ2人だけの出演。なんだか、舞台を見ているようでした。 こういう内容だと役者の演技力がそのまんま露わになるという感じですが、方言を含め宮沢りえはよくやってたと思います。 【あろえりーな】さん [地上波(邦画)] 5点(2015-10-06 22:49:13) |
33.《ネタバレ》 生き残りの申し訳なさに苦しむ主人公の自己正当化への緩やかな流れをファンタジーな感じで見せる反戦反核映画なのだが、まるで舞台である。最近で言うと『くちづけ(2013)』のように、邦画ではいまだに使われる映画技法であるが、個人的には映画化するなら映画にして頂きたい。しかし物語としては好きな作品でした。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-02-24 16:22:12) |
《改行表示》32.もっといい点数をつけたくなるほど つくり手側がしっかりしているんだけれど やっぱりこれは舞台では? |
31.二人芝居の作品とは知らずに見ました。登場人物は3人だけでしたが最後まで退屈せず面白く鑑賞できました。いい作品だと思います。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-10 11:35:45) |
30.《ネタバレ》 これねー。話としてはいいと思うのですよ。特に原田芳雄のエプロン劇場とか、終盤のジャンケンとか。しかしいかんせん、舞台を意識しすぎ。台詞回しも舞台ならいいですが、映画でああいう風にしゃべると不自然です。個人的に舞台劇の映画化は好きなのですが、これはもう少し考えてほしかったところ。舞台風の映画であっても、『十二人の怒れる男』のような傑作もあるわけですし、本作はやはり演出のまずさが出てしまったと言わざるを得ません。惜しいです。井上ひさしはこの映画化について、「世界中の人に見てもらえるようになった」と言って喜んでいたそうです。そういう意義はあるものの、舞台人の自己満足でしょう。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-01 19:30:21) |
29.《ネタバレ》 木村威夫の美術は『海と毒薬』などリアリズム作品でも、そのリアルさの底に怪談めいたものが潜んでいるような設計になっていて、清順映画のときと通じていた。黒木作品ではあんまりそういう印象がなかったのだが、本作では出た。実際これはリアルな怪談が、木村のセットの中で「ぶらーりたらーり」と展開していく。本作はセットがほとんどの舞台であり、木村威夫を堪能できた。舞台劇を映画化した長所はこういうところに出ているのだから、せっかく原田芳雄の一人芝居で頭上に太陽が二つ「ぺかーぺかー」と輝いた残酷さを示したとこで、CGの原爆シーンを入れてイメージをしぼませてしまうのが分からない。映画化に際しては舞台では見せられないものを提示しなければ、と思ったのだろうか。しかしああいう分かりやすく説明する画面をすぐ入れるってのは、テレビの発想だ。舞台では味わえない映画ならではのリズムは、要所で挿入される地蔵の顔や焦げた人形のカットなどにあった。直接的には「原爆瓦」など被爆資料のアップ映像も舞台ではよく見せられないもの。そういうところでちゃんと「映画」しているんだから、あのCGは不要だった。音楽。松村禎三の控え目なピアノの調べが、要所で外さずに入ってくる。静かにさざなみだった音形が反復されつつ半音ずつ崩れていくようなモチーフが印象的で、すべてを融かす原爆の不気味さと被爆者への鎮魂が同時に感じられるよう。ラスト「おとったん、ありがとありました」の決めゼリフに続いてピンとピアノの高音が鳴り、それからその崩れゆくモチーフが沁み込むように流れてくると、やはり胸がいっぱいになる。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-11-12 09:34:31) |
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28.《ネタバレ》 設定からして期待させるんですが・・・これもやはり、舞台用の脚本をそんなに直してないのではないかと思います。あえて映画にする意味が感じられませんでした。あと、りえちゃんの方言が下手なのが気になりました。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-08-22 02:23:32) |
27.俳優の仕事がいかにすごいかが分かります。原田芳雄のあのエプロン劇場の凄さで一気に映画にのめりこみ、最後まで観せられました。原爆のむごさを感じます。父と娘の互いを思いやる気持ち、そんな普通の愛に満ちた家庭を、一瞬に死滅させた原爆。とてもじゃないけど、そんなもんいりません。素晴らしい映画でした。黒木和雄は本当にいい仕事しますね。調べてみると井上ひさしさんの作品は意外に映画化されてないことが分かります。舞台の完成度が高いからでしょうか?もっと他の作品も観てみたいと思いました。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-07-15 19:38:47) |
26.《ネタバレ》 宮沢りえと原田芳雄の会話は、生者と死者という狭間ではなく、宮沢りえの願望にも感じられる。ラストシーンの宮沢りえの台詞と笑顔はマイ邦画史上ベスト3に入る名シーンです。あまりにも痛い苦悩を自ら越えて悟りを開いたかのような彼女の表情にドッと涙が溢れました。菩薩といって良いでしょう。 【サーファローザ】さん [DVD(邦画)] 10点(2009-09-22 06:03:25) |
25.《ネタバレ》 こちらで辛口のコメントが多かったので、あまり期待せずに見たのですが、とても感動しました。舞台的な映画ですが、原田さんの「一寸法師」劇には息を飲みました。ドキュメンタリーの「ヒロシマ・ナガサキ」や「夕凪の街・桜の国」と「生き残った者の苦悩」を表現する意味ではスタンスを同一にしています。この映画のじゃんけんのシーンがすごく好きです。もしかしたら、私も20歳の頃に父を失っているから共感できる部分があるのかもしれませんね。ハッピー・エンドで良かったです。 (広島の言葉に不慣れな私はDVDの「日本語字幕」を出して観ました。すごく解りやすいと思います。広島の言葉に馴染みのない方は是非、「日本語字幕」を活用されるといいと思います) 【グレース】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-06-19 01:00:36) |
《改行表示》24.とにかく退屈な映画だった。第二次世界大戦を扱った映画の中で、最も退屈な映画かもしれない。 せめて、原爆投下被害者の実話を扱った方が何百倍も興味深く、心に響く映画になったに違いない。 |
《改行表示》23.《ネタバレ》 終始退屈で、いらつく映画。 父と子の会話が延々つづいてどうする。 映画監督としてもっと大志をもってほしい。 映像作家としての誇りはないのか? 役者の演技もたいしてうまくない。 なによりめりはりがない。 覚えたセリフをいうのがやっとってとこでしょ。 これってほんとに映画ですか? 何の感動もなし。 【よしのぶ】さん [地上波(邦画)] 1点(2008-04-11 04:18:24) |
22.重たいテーマ(戦争や原爆)を真面目に扱えば、必ず良い映画になるとは限らないし、時間をかけて一生懸命に努力して演じれば、心を動かす演技になるとは限らない、ということではないでしょうか。・・・・・要するに、皆さんもおっしゃっていることですが、これは映画でなく、舞台劇のままではないですか。劇中劇にするとか、セットに工夫を持たせるとか、逆にカメラを固定するとか、、、、、。セットや小道具は舞台のまま、カメラだけ上からとったり、移動させたりして映画っぽくするから、なんだかちぐはぐです。これだったら、実際の舞台の録画を見ている方が伝わってくるものがある。舞台と殆ど同じ脚本で、映画ならではの工夫がなく、舞台を越えられないのだったら、映画にする必要はないし、見る意味もないのではないでしょうか。・・・・・広島からは60年以上が経過しようとしています。その実際の記憶が残っている人は70歳以上になろうとしていて、あと20年もすると、語り伝える人もいなくなります。広島をどのように語り継いでゆくのかも転機を迎えようとしているのでしょう。もっと想像力のある語りが必要だと思いました。・・・・・・・あと、宮沢りえは、もっと、もっと輝くことができるいい役者なのに、じじいたちが自分たちの古い女性像を押しつけて、どんどん駄目にしていっているようにも思います。 【王の七つの森】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-12-10 10:35:32) |
《改行表示》21.《ネタバレ》 宮沢は、もうハナっから期待していなかったので、原田は期待していたのだが、、、、 やっぱだめだね。そういやあ、原田も”役を演じる”種類の俳優ではないもんな。 【男ザンパノ】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-10-29 22:28:01) |
20.広島を舞台にした原爆に関するお話。舞台風の仕上がりで、宮沢りえと原田芳雄の会話で終始する。二人の演技は素晴らしいが、二人とも特別好きな役者さんという訳ではないので退屈してしまった。又、原爆に関する真面目なテーマを扱っているだけに、どうにも硬苦しい。浅野忠信のセリフはほとんど無く、見せ場は無いに等しい。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-09-04 09:43:12) |
19.志も高く良質な作品であることはわかるのですが映画としてはどうかなあと。理由その1、ほぼ全編宮沢りえと原田芳雄の会話劇で展開されるわけで、舞台演劇であれば非常に見ごたえがあるのでしょうが映画としては退屈。理由その2、娯楽性がほとんどない(テーマ・内容という意味だけでなく映像的にも楽しい部分がない)。映画監督黒木和男が晩年に自らの問題意識をたまたま自分が映画監督であるということで映画で表現したに過ぎないものであって、それにつきあわされる観客としてはやはり可もなく不可もなくという評価になってしまいます。 【Sean】さん [DVD(邦画)] 5点(2007-08-08 13:38:35) |