41.「待つ」ことをテーマに空港を舞台にした素晴らしい感動作品に仕上がったと思う。
誰かをあるいは何かを待っている人には心に染み渡る熱いものを感じるのではないかな。
人は色々なことや人を待つ。
この映画でも、フランクは局長のポストを待ち、エンリケは指輪を渡しトーレスが来るのを待った。
アメリアは39歳になってもある人を待ちつづけている。
グプタにはひょっとして本国で待っている人がいるのかもしれない。
そしてビクターは時を待ち、タイミングを待ち、アメリアを待った。
アメリアのように待つことによって、その答えや見返りが得られないかもしれない。
ビクターのように得られたものはただの紙切れかもしれない。
それでも人は何かを待つ続ける。
それは待つこと自体に何かの意味があり、待つことによって学ぶものがあるからだろうか。
この映画を観て「待つ」とは一体どういうことなのだろうか、俺は一体何を待っているんだろうかと色々感じることが多かったな。
「待つ」ことを描くことにプラスして人間的な触れ合いを描いていているのも大きい。
空港に一人、自分のことを知る人もいなく、言葉も何も通じない中、置き去りにされた孤独感から様々な人と触れ合いながら、助けたり、助けてもらいながら生きていく。
冒頭の誰も知らないスタートから空港を出る時はビクターを知らない人がいないほど大きな輪になっている。
そういう人間的なベーシックな面を上手くそしてシンプルに描かれている点も好評価できる。
フランクはビクターから学ぶことはあまり多くなかったかもしれないが、自分はビクターから学ぶことは多かったと感じた。