11.《ネタバレ》 久しぶりに何も考えずに、肩のチカラを抜いて、2時間弱の時間をたっぷりと楽しめる映画に出会えた。バートン+デップ+エルフマンのコンビが素晴らしい映画を作り上げた。今回の主役は個人的にはエルフマンではないか。軽妙な音楽が映画に素晴らしい彩りを添えた。
それにしても、ワイルダー版に比べて、バートン版がもの凄く甘々な創りになっているのに驚いた。鑑賞前はワイルダー版よりもブラックビターになるのではないかと思っていたからだ。というわけでワイルダー版とバートン版を比べてみたい。ちなみに当方はダールの原作を読んでいません。以下、ワイルダー版はワ版。バートン版はバ版と略する。
①「テーマ」ワ版は、子どもへの勧善懲悪をテーマに掲げたが、バ版が「家族の繋がり」をテーマに掲げたため、さらにより深みのある映画となった。
そのため、ウォンカ自身の成長も感じられる映画となった。大人が子どもに教えることだけでなく、子どもから教えられることもあるんだと、そういう強いメッセージもバートンは込めているのではないか。
②「ウンパルンパ」バ版の首長、精神科医などツボに嵌まったが、表情をわざと殺しているため、個性がないのが残念。全てをディープロイに演じさせるのも悪くはないが、ワ版の個性溢れるメンツの方が楽しめた。ワ版の「側転」は必見。
③「音楽」バ版のエルフマンの音楽は非常に楽しめたが、ワ版は全般にわたってミュージカル調に仕立て上げているのも見事だった。音楽に関してはイーブンという感じ。
④「キャラクター」ウォンカを演じたワイルダー、デップどちらも良いが、登場の仕方は、よろよろと杖を付きながら登場したワ版の方がよかった。
ジョーじいちゃんは、ワ版の方がよりチャーリーへの強い愛情を感じた。子ども達は基本的にどちらも同じ感じだけど、バ版のバイオレットの母が強烈な印象を受けた。
⑤「デザイン」工場内のデザインは当時の技術を考えると、ワ版は相当に優れていると思う。しかし、バ版のチャーリーの家のデザインは秀逸ではないか。相当の衝撃を受けた。ラストのオチにも繋がる良いデザイン。
⑥「その他」バ版は、偽の当選者騒動がよい効果が出ていなかった。ワ版はもうゴールデンチケットはないけど、純粋にウォンカのチョコレートを食べたいという気持ちが、ゴールデンチケットを引き当てたと感じた。バ版はさらっと流したのがちょっと疑問だった。