58.本作は“犯罪もの”のスタイルをとってはいるが、所謂その犯行の手口や犯人探しといった事よりも、ある殺人事件に端を発した濃密かつ緊密な人間ドラマにより焦点が充てられている。そういう意味から敢えてこの作品をジャンル分けした場合、“幼な馴染みもの”に“トラウマもの”がミックスされたものと言える。で、平たく言えば、内容的には決して珍しくもなく、かつて何処かで観た事のあるような印象をすら感じられ、ストーリーラインそのものはいたって他愛無く、それらだけを取り上げれば、とりたてて特別な作品だとは思えない。それは、如何にも安手の犯罪映画といった趣であり、しかもその描き方は極めて通俗的ですらある。で、そこからイーストウッドだからこその高い支持ということが汲み取れる。彼の作品の一つの特徴は、決して奇を衒うことなく、評論家ウケするような技巧にはしる事もなく、ましてや大向こうを唸らせるようなケレン味などとはほとんど無縁の、むしろ誰が観ても解かり易いほどのオーソドックスさこそが身上なのであり、その純朴さが多く支持される理由なのだと思う。それにしても本作でのS・ペンの小悪党の極み!(その何という凄味)そしてT・ロビンスの人生破綻者!(その何という曖昧な性格付け)といった役柄は、彼等の演技のいつもながらの得意分野でもあり、まさに本領発揮といったところ。が、彼等以上に惹かれるのはK・ベーコンの従来のイメージを覆した演技である。覆したと言ってもそのアクの強さと万年不良青年ぶりは不変だが、幼馴染みながら両者とは疎遠になっているという微妙な距離感を感じさせる演技は見事だった。ただ前者二人に対しての、「キャラに合った演技を当然のように演じるきることは、なかなか評価され難い」というイーストウッドのコメントには重みを感じるし、彼等の演技力を最大限に引き出した監督としての手腕には、ますます円熟味を増してきたと言える。人間とは根源的には“変わらない”“変われない”ということを、名前を悪戯書きさせることで、彼等の性格とその後の人生を一瞬にしてシンボリックに表現してみせた冒頭の歩道板のシーンなどは、彼のキャリアの中でも最高の仕事だと言えるのではないだろうか。川の流れのように人々を呑み込んでゆくパレード。その晴れやかさ、華やかさの両岸に様々なドラマがあり、秘密があり、謎がある。これもまた見事なエンディングである。 【ドラえもん】さん 8点(2004-02-14 22:47:00) (良:5票) |
57.ちょっとちょっと~(`ε´)ノ彡私にはあの3人が同級生に見えんのじゃあぁあぁぁぁぁぁ!!! マズこれをゆっとかんことにはコメントのしようがなかったの!! え~っと3人の少年→中年物語についてはいっぱいコメントあってそのとおりだなァと思うので割愛。私はアナベルとセレステの2人の女性にえらく目がいった。どっちもどっちってゆっちゃえばそれまでなんだろうけど、なんかね~、切ないっつーか腹立たしいっつーか、なんともいえなく憤っちゃうワケ。3人の違いは幼年期の体験だけじゃなくこのタイプの違う妻(ショーンの妻は唇しか映んなかったけど)にもよるところが大きいんじゃないかと。 う~ん、確かに見所はあったけど、私個人的にはさほどな名作とも思えず...6点。きびしすぎかな? 【ちっちゃいこ】さん 6点(2004-02-14 00:08:01) |
56.俳優陣の重厚な演技がリアリティーをかもし出している分、一層、納得のいかない内容にただ苛立ちと戸惑いを感じた。人生模様?十字架?愛情の傲慢さ?このストーリーを通じて何を言いたかったんだか正直分からない。少年時代に自分自身を失ったデイブが、何かを取り戻しかけたときに、25年前と同じおさななじみによってすべてを失わさせられる、そのやるせなさがただ痛かった。ティム以外の二人は25年前の事件なんて対して引きずっていないんじゃないかと思われた。 【なつこ】さん 6点(2004-02-13 23:54:32) |
55.《ネタバレ》 どこまで、というかどういう計算なのか。私は、ギリギリまでデイブが犯人と信じて疑わなかった。それは謎解き云々の話ではなく、そういう意図のもと流れる物語に素直に乗っただけのこと。故に真実が明らかになった瞬間、そしてその後の展開には激しく憤ったわけで、結局そんな感情のまま映画は終わった。後味が悪いというより、やり場のない怒りがこみあげる。いかようにも解釈ができるのは結構だが、作品肯定派の人の意見がないと、私のような観客は途方に暮れる。作品の評価がべらぼうに高い分余計に。演技陣では、ペン、ロビンスに比べこれといった見せ場がないものの、巧い演技で物語にテンポを与えていたケビン・ベーコンに1票。 【ドレミダーン】さん 5点(2004-02-13 23:14:47) |
54.この作品、何が言いたいの? ”家族の為なら、間違って人を殺しても構わない”てか? CMでは「この映画は泣けます!」とか言ってたけど、少なくとも”泣ける”ようなシーンは無かったと思う。はっきり言って、アホな映画です。 【Φ’s】さん 3点(2004-02-13 12:55:45) (良:1票) |
53.このサイトでも知人の感想でも意外に評判がよくないので不安になりつつ昨日劇場へ。でも、僕には素晴らしかったです!たしかにいろいろ突っ込みどころはありますが、ショーン・ペンとティム・ロビンスの演技で3回泣きました。最後のやるせなさ、哀しさ、人間の業みたいなものもズシリときます。これから原作も読んでみようと思います。音楽も悪くはなかったのですが、どう考えてもシーンと合わない箇所があったので1点減点。それにしても劇場の客入りの悪さ...昨日なんか祝日なのに夜7時の回で20人弱ですよ!評判が悪いから?役者が地味だから?劇場が練馬区大泉だったから?隣の「ラスト・サムライ」は満員でした。 【あおみじゅん】さん 9点(2004-02-13 10:58:38) |
52.《ネタバレ》 クリント・イーストウッドは"上品"な監督だ。『目撃』や『トゥルー・クライム』、『スペース・カウボーイ』にいたるまで、 犯罪や陰謀に触れながらも、きちんと人間愛や高潔さを謳い、エグい演出は絶対にしない。 それが、この作品のラストはどうだろう! あの後味の悪さ、「これでよかったのか」という疑問、やりきれなさ。 しかも、それが名優たちの圧倒的な演技力で突きつけられる。あのマシャ・ゲイ・ハーデンのオロオロとした表情が目にこびりついている人も多いのではないだろうか。これは、イーストウッドの監督としての大胆な冒険で、"美しい"ストーリーや"奇抜な"演出に慣れきった私たちへの、力強い挑戦だと思う。 【あまでうす】さん 9点(2004-02-13 10:11:48) |
51.期待していたほどではなかった。でも、みせるとこではみせていたのでそこそこによかった。間違って殺してしまったトコとかはまだまだ印象深いです。 【アンリ】さん 6点(2004-02-12 02:07:04) |
50.わーい、ボストンだー。Tim Robbinsいいですねー。トラウマにさいなまれ、自分でもそこからどうやって抜け出せばいいのかわからなくなっている心の葛藤をよく表していたと思う。ジミーは、そうしたデイブのトラウマを解放させた、しかし、それは殺人であり、今度はそれがジミーのトラウマとしてずっと残っていくのだろう。。。自分としては、クリントイーストウッドの音楽、よかったと思うけどなぁ。話しは、ほんとうにミスティックで、それを端的に表すタイトルも良いですね。ショーンペンの刺青「力」しかとこの目でみましたよー。この時点では7点だが、ぜひ何度も見返してみたい。もう一度みたら、点数が変わるかもしれない。。。 【あまね】さん 7点(2004-02-11 04:21:58) |
49.例え少年期を共に過ごしても、こういう風に人の人生ってそれぞれ変わるものであるのだなぁ。サスペンスというジャンルに収まりきらす、人間ドラマとしても、秀作だと思う。 【暇人】さん 7点(2004-02-10 14:14:32) |
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48.イーストウッド号にのって淡々と川下りをした印象。名演も、演出の重厚さもちょっと「?」な部分も全てはうたかた。面白かった、んだけど、なんかね。「悪い」というか、まさに「微妙」といった感じの後味が残ってます。映画にある種のカタルシスを求めてる人にはお薦めできない。いい映画とは思うけど。この煮え切らなさからも察して下さい。 【馬飼庄蔵】さん 8点(2004-02-10 12:05:08) |
47.後味はかなり悪いが、心にズシリとくる映画。これ以上の評価はあげられないけど、評価以上に心に残る映画だったと思う。 【ディーゼル】さん 7点(2004-02-10 10:56:11) |
46.《ネタバレ》 つらいなあ。たとえばデイヴのように何の救いもないまま死んでいく人も、そしてジミーやショーンのように決して放棄することのできない罪を一生背負って生きなければならない人もいるってことは、もう大人だからわかってはいるけど(笑)、それでもこうしてストーリーとして見せられてしまうと、つらすぎる。映画自体はそんなことを感じさせるのには十分な出来だったとは思う。けど、主な登場人物6人ぐらいの心理描写を平行して行おうとしているので、全体としては散漫な印象だった。そして、音楽が変だった・・・。全然映像と合っていない。クリントに才能があるのはわかっている。だからといって、自分で音楽まで担当することないじゃないか! 【ぽん太】さん 5点(2004-02-08 12:46:54) |
45. 3人の運命のいたずらに胸が苦しくなりました。。。ジミーが泣叫ぶシーンは涙をそそります。最後の方で気付いたのですがジミーの腕の入れ墨に力って書いてあったのお茶目でちょっと笑ってしまいます。 【ゆみりん】さん 8点(2004-02-08 11:04:08) |
44.なんとコメントしたらいいのか・・・。私は未熟者です。まずコメントする前にそう言っておきたい・・。偶然起こってしまった悲劇に25年間翻弄され続けたデイブ。そしてまたしても起こる偶然の悲劇。そしてラストに起こる悲劇はもう必然的に起こったとしか言いようがない。理不尽とか不公平とかそんな言葉はもう呑み込むしかなくてそれでもみんな幸せを願う。この作品に出てくる人はただただ幸せを願っている。それも自分の幸せではなくて自分の大切な人の。その形は様々だし、許されてはならないことも確かにある。その形をまざまざと痛ましいほど見せられ、正しいことも間違っていることもただ見つめ返すことしかできない。私には全てを否定することも肯定することもできませんでした。そしてそれでいいのかもしれないとも思う。う~ん、まだまだ経験不足だなぁ。と実感いたしました。 【彩犬】さん 7点(2004-02-08 04:34:34) |
43.俳優が一生懸命演技をしているのに脚本や脚色がぱっとしないと心から「俳優さん、ご苦労さま。」と言いたくなります。この映画もそんな作品でした。ホッケーに興じる3人の少年のうち一人がさらわれ、その結末がどうなったのかはっきりしないままに舞台はいきなり25年後(私には35年後に見えました)に飛躍、3人の少年は娘を殺された父、刑事、容疑者として登場(一人は金髪だったのに全員黒髪で昔の面影はないので名前で3人だとわかりました。)・・・ストーリーの進展につれて強烈な冒頭シーンは一体何だったのかわからなくなり、終には考えるのを止めて推理ものとしてこの映画を見ることになってしまいました。人生ドラマものとして見るには捜査があまりに強く好奇心をそそりました。その後、捜査の進展がたいして描写されないまま真犯人が捕まり、そしてラスト・シーンで冒頭のフラッシュ・バック、セメントに刻まれた三人の少年の名前が現れ、そこでやっとこの作品は三人の男の生き様を語る話だったんだ・・・、と理解するわけです。人生ドラマかもしれないと思ったストーリーが推理物にとって代わられてプツン、推理物がいきなり人生ドラマにすり替わってプツン。原作では両方を堪能できるのかもしれませんがこれでは高得点はあげられません。最初に言ったとおり、出演者の演技はすばらしいので見て損はないし、特に三人の男を演じた俳優さんのファンには必見です。 【かわまり】さん 6点(2004-02-07 01:30:48) |
42.この作品で一つだけ非常に悔いたことがあります。上映時間を間違えて10分くらい本編が始まってから入ってしまったこと。しくじったとしか言いようがありません、普段だったら絶対入らないのに・・・映画の日に負けてしまいました。 本編は濃い作品だったなというのがまず第1の感想です。色んな気持ちが混ざり合ってちょっとした事が恐怖に感じたり、幸せに感じたり一瞬一瞬その人の気分によって色々な見方に変わってくる。ある意味恐ろしい感覚だなと思ってしまいます。でも実際にこういった感覚って味わっていることじゃないかなとも思います。この作品とは形が違ってもね(あたり前か・・・しょっちゅう殺人起こってたらたまらない)。あと見終わって思ったこと、ティムロビンスの助演男優(ゴールデングローブ賞)はしょうがないかなと。「ラストサムライ」で渡辺謙さんがとってくれれば凄いことだと期待はしていたんですが、軍配はティムに。始めは非常に残念だったんですが、作品を見て演技に納得させられました。 【にゃん♪】さん 7点(2004-02-07 00:41:25) |
41.《ネタバレ》 切なすぎるラストだった。特にパレードで一生懸命息子に手を振るデイブの妻が切ない。それに比べてはじめはいい人そうだったジミーの妻のラストの言葉は驚愕だった。愛する人のためだったら何やってもいいのかっ?ショーンと妻の無言電話のくだりは何が言いたいのかあまり分からない。 【ジョナサン★】さん 7点(2004-02-06 22:37:41) |
40.個人的にちょっと期待はずれな感を受けました。 作品の完成度やストーリー構成等はいいと思います。 どうしても後味の悪さが引っかかってしまいました。 俳優さんたちはやっぱり名演技ですね! 【自由人】さん 6点(2004-02-03 02:52:39) |
39.《ネタバレ》 確かに脚本は練られていて、役者陣も重厚な演技で緊張感のある作品ではある。けれど、自分はこの映画が嫌いだ。パレードで父・デイブを失ったことをまだ知らない息子マイケルが浮かない顔でパレードに参加するあの姿。たとえこれからジョニーがデイブ名義で仕送りをする事により「贖罪」をしたとしても、父親がいる日常を奪われ、やってくるかもしれない彼の悲しみを思うと、それで全てが拭い去られるとは思えない。そしてジョニーはその罪の報いを受ける事無く日常を生きる。こんな不条理を許していいものか。「愛が深いが故の罪」?そのとばっちりを受けた人間の悲しみの矛先はどこに向かえばいいんだ?それを受け止めない贖罪などまやかしではないだろうか。 【しゃらら】さん 7点(2004-02-02 17:40:21) |