159.《ネタバレ》 これがポランスキーではなくて、カンヌで賞もとってなくて、何にも期待していなければ、ポーランド人が英語をしゃべってるところで見るのをやめたかもしれない。(でもドイツ人はドイツ語をしゃべってるんだ、これが。)あるいは、すでに誰もが知ってるワルシャワのユダヤ人の歴史を、ポーランド分割からナチ崩壊までの5年間を、これからまた例のごとくの演出で三時間見せられるのだと覚悟を決めさせられるところで。ピアノを滅多に弾かないピアニストの映画だけど、その数少ないピアノのシーンのうちの一つは、逃亡生活の果てにたどりついた隠れ家にとうとう見つけたピアノを、命が惜しいために弾くふりですませてしまう。ピアノを愛するものなら、死んでも弾いてしまうところなんだろうが、そういうひとは実際死んでしまって手記も残せなかったのだろう。また、あの場面。やせほそり、筋肉の削げ落ちた指がたたき出す不自然に華麗な旋律。ピアノを弾く全ての人が、毎日の練習をさぼったとたんに訪れる「ああ指が動かない!」という思いを主人公は決して感じたりはしない。その間にあった5年間のブランクは彼の指にはおこりえない。妻いわく、この映画の教訓は「芸は身を助く」なのだそうだが、彼が自分から行動するのは、たった一度だけ。武装蜂起にいよいよ立ち上がらんとする友人に、唯一人自分勝手に逃亡の手助けをさせるその瞬間のみだった。あとはただ流されるまま、感謝もなく他者の好意に甘え、自分の食欲を満たすことのみにわずかながらの執着をみせていた。ピアニストとしての才能以外には、たしかにどこにでもいそうな人間のリアルな姿かもしれないが、そこにたとえば芸術家としての誇りなり、こだわりなり、生きがいなりといったものは見つけられなかった。あの戦争の前後において、彼は同じショパンの作品(これは僕のもっとも愛した作品でもあるが)を弾いてみせるが、ホロコーストの経験をその後者に聴く事ができるという人がいれば、お目にかかりたいものだ。 【小原一馬】さん 0点(2003-09-12 00:22:57) (良:2票) |
158.ちょっと大甘の8点です。でも映画は大変良かったのではないでしょうか?良くも悪くも、とにかく「あるがまま」の現実主義に徹した作品だと思います。この映画の残虐描写や、荒れた街角に所々に無造作に置かれているリアルな死体。戦争において、恐らく日常的なこの映像を淡々と、そして、特に積極的に悲惨さをアピールしたわけではなかった点に、むしろ畏敬の念を感じた。「シンドラーのリスト」は壮大に悲惨だったが、「戦場のピアニスト」日常的に、リアルに悲惨で私は胸が締め付けられた。これが苦手な人は、結局「重くて」、「悲しくて」、「怖い」としか思えないのだろう。それが間違いとは言わないが、その裏にある監督の真の狙いを感じるには浅い感じ方ではないかと思う。そして、残酷なシーンに人間としての「業」を感じ、真摯になったり、過去の日本の行動に思いを馳せるのもこれまた悪いとは言わないが、常にこの手の映画によくある、ナチス犯罪批判や、日本軍の過去の批判論に簡単にもっていかれる人達がいる事への、視野の狭さに暗澹たる気持ちになります。この映画、それだけじゃないでしょう?言っておいて私自身、うまく言えないのですが・・・・・。話変わって、例のオスギのCMは、あんなもん無視してていいと思います。所詮あんな人だと思うので。作品の評価にはまったく影響なんぞ、あたえようも無いでしょう。 <<2004年12月12日のTV放映版を鑑賞した後の追加コメント>>TVで久し振りに本作を見ましたが、2回目の今日は涙があふれました。見れば見るほど、何かもっと凄い、奥深いものを感じる事ができました。 【はむじん】さん 8点(2003-09-09 03:52:32) (良:1票) |
157.《ネタバレ》 戦争の怖さと生きていく事の大変さがわかりました。ドイツ兵のユダヤ人殺戮のシーンはかなり残酷で見るのが辛かったです。でも映画を見た後に「面白かったなぁ」とか「もう一度あそこの場面見てみよう」とかは思わなかったので^^; 【meg】さん 6点(2003-09-08 19:22:27) |
156.観終わった後に、感動したとか面白かったという気持ちは残りませんでした。ですが、この映画は素晴らしく、一生心に残ると思います。人を人と思わず簡単に殺してしまう残虐性がとても鮮明に映し出されていました。戦争は絶対にあってはならないものだと再認識させられました。 【銀次】さん 8点(2003-09-08 16:02:32) |
155.ホロコーストを題材にした映画・ドラマ・小説等に接する度にイタリアと共に、ドイツと三国同盟を結んでいた日本のことを思うと罪悪感を覚える。杉原千畝のような日本人がいた事を、精神の均衡を保つよりどころにしているのだが・・・また、日本軍のアジア各国での蛮行に思いが及ぶ。ユダヤ人達に残虐行為をしていたドイツ兵達がことさら残虐性を持った人間を集めた集団でなくごく普通の人間の集まりだったろうと思うとより重苦しいものを感じてしまう。 【虎太郎】さん [映画館(字幕)] 8点(2003-09-08 00:30:06) |
154.よくある戦争映画なら主人公は敵に立ち向かい、勝利するか敗北するかというところを、シュピルマンはあちこちで助けられ、自分は仲間の反乱にも参加せず、実話じゃなければこういう行動はどうかと批判してしまいがちだが、この時代の状況やシュピルマンのその後の生き方を考えると、彼の行動は正しく、意味のあることだと思います。どうしても生き延びたいがための行動、考えさせられました。 【スリーオー】さん 8点(2003-09-07 12:55:21) |
153.シュピルマンの生への執着というか、必死さにはただ圧倒された。しかし、特技って大事ですよね。彼はピアノの才能があったからこそ戦乱の中を生き延びる事ができた。もし、自分があんな状況に陥ったら、果たして生き残れるだろうか。いや、無理っぽい・・・。 しかし、シュピルマンのように最後まで諦めないで生き続ける事がなにより肝心だと思った。 【きのすけ】さん 8点(2003-08-30 22:57:21) |
152.ホロコーストとは、決して映像によって描き得ない。だから私は当事者たちの”証言(声)”によってホロコーストを記録したのだ、とは『ショアー』を撮ったクロード・ランズマン。必ずしも彼のあの作品に対して全面的に賛同するものじゃないけど、確かにアメリカ映画なんかでナチによるユダヤ人虐殺ものを見て、シリアスな問題提起のようでいて、結局は怖いもの見たさの観客の好奇心に訴える「殺人ショー(!)」でしかなかったりして(『シンドラーのリスト』…)、暗たんたる気持ちになるしなあ…。ジャック・リヴェット監督が批評家時代に言った、ほとんどすべてのホロコーストものの劇映画はポルノグラフィーであるという言葉は、まさしく真実だ。もちろん、ロマン・ポランスキーだってそんなことは百も承知だったろう。だから『シンドラーのリスト』の監督オファーも断ったんだろう。それが、本作を手掛ける気になったのは、この映画があくまで「生き残った者(たち)」に捧げられたものだったからに他ならない。ほとんどすべてのホロコースト映画が、殺戮を、つまりは「死んでいった者たち」を対象にしていたのに対し、ここでは、運と成りゆきに救われながら生き延びていく主人公こそを徹底して肯定する。たとえどんなにぶざまで、ひとりよがりであろうと、そんな主人公が生き延びた、ただその一点だけで肯定する本作は、逆説的にホロコーストの核心を照射してみせたといえるだろう。…正直、ポランスキーの最高傑作とは言えないかもしれないけれど、一世一代の代表作であることは間違いない。拍手(ブラボー)! 【やましんの巻】さん 9点(2003-08-27 13:58:47) (良:4票) |
151.正直目を背けたくなるぐらい残酷で冷酷な虐殺シーン。重いです。なのに、淡々と進んでいく。すごいですね、これが実話なんて。ところで、彼はナチスの将校に見つかった時に絶対缶詰を放さなかったですよね。多分、誰しもそうなるように思います。やはり、戦争は嫌です。でも、過去の歴史を直視しないことには戦争はなくならないのではないでしょうか。そう、考えさせる、映画です。 |
150.ドキュメンタリーであるがため、感動作というよりは、ナチの残虐性ひいては戦争の悲惨さの方がクローズアップされている。ちょっと重いね。 【tantan】さん 7点(2003-08-24 19:29:31) |
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《改行表示》149.《ネタバレ》 数多くの「ホロコースト」を題材にした映画が作られるのは、それだけ「衝撃的」かつ「最悪」だったという事実だからだろう。 その為、どの作品にも、非人道的な行為と簡単に人が殺される場景が描かれている。 気の遠くなる程長い歴史をさかのぼっても、これ程短期間で想像を絶する人数の虐殺が行われた事は一度も無い(哀しいことだが、その点では進化できなかったのだろう・・・)。 その最中、「ピアニスト」という肩書きと「偶然」によって生き抜く事のできた一人の人生を描いた内容は驚愕と共に心に響いた。 あくまで一人の人生に拘った映画の為、主として「ホロコースト」が語られているわけではない。 常に、シュピルマンの目線、環境、状況で「戦争」の悲惨さが淡々と映し出されている。 これに徹した事により、他の「ホロコースト」を題材にした作品とは一線引いたヒューマニズムを感じる作品になった。 同じポーランド人による摘発、ナチス将校の人間的な対応・・・、良し悪しに関係無く、シュピルマンの人生を左右する人々からは、まぎれもない「人間性」を見て取ることができる。 戦争とは何だったのか?といった問いではなく、「負の時代を生きたピアニストがいた」、そう純粋に受け止めさせてくれる今作を私は称賛せずにはいられない・・・。 多くのシーンが心に残り、哀しみと怒りと素晴らしさを感じさせてくれる、この映画に、心からの拍手と満点の評価を付けさせて頂きます。 【sirou92】さん [映画館(字幕)] 10点(2003-07-31 03:31:15) (良:1票) |
148.ただただ、記録映像のように残虐行為が繰り広げられる。その背景の中でストーリーが進む感じ。その切り口は私は好きでした。映画館では気が滅入るくらいの体験でした。 |
147.重い映画ですね。友人が、仲間が、ドイツ兵に面白半分に殺されていっても、自分が生き残るために黙って見ていなければならないユダヤ人たちの辛さ。事実を淡々と描いていくことで、それらがいっそう引きたっていると思いました。 【したた】さん 9点(2003-07-21 22:22:38) |
146.感動する映画として期待して見に行ったけど,自分にはユダヤ人虐殺を露骨に見せる映画としか受取れなかった。主人公のシュピルマンが助かったという感動が少しもなく,気分的にただ重いだけの映画だった。 【北狐】さん 3点(2003-07-17 18:18:21) |
145.《ネタバレ》 …なんか納得いかないモゾモゾが残るのよねぇ(`へ´)。ピアニスト…「たかが」なのか「されど」なのか…私の印象としては「結局ピアニストでしかない」ってこと。苛酷な環境で生き抜いた、それはそれですざまじいとは思う。でも、彼はそれを自分の才覚で渡りきったわけじゃなくて、たくさんの人に助けられて支えられてきたわけでしょ? んで戦争が終わったら彼はピアニストの地位に戻って終わり? ムムム。もっとやるべきことがあるだろう!!助けられた人を今度は君が助けないと!!と(ひとごとだからだろうけど)思ってしまうワケです。いや~、妙にヘナヘナくんにみえるからかもしれないけど!! でもね…ちょっとね…両手放しでスバラシイ!!とは叫べない天邪鬼な私なのっ!! 【ちっちゃいこ】さん 6点(2003-07-15 01:12:54) |
144.正直、微妙でした(-_-;)戦争を描いた『ドキュメンタリー』としてなら素晴らしいものかもしれないけれど、『映画』とゆう観念で観るとストーリーの展開とかがあまりにも淡々としているので・・・ショパンのピアノ曲が素晴らしかったのは確かですが(^^) 【メイ】さん 4点(2003-07-13 16:27:40) |
143. 途中であまりにも残酷の場面を観て耐えれなくなりそうになりました。これが現実にあったことだと思うとなんとも言えない複雑な気持ちが心に現れたと同時に戦争の悲惨さをあらためて実感しました。 とても心に響き学ばされた作品でした。エイドリアン・ブロディが主演男優賞を受賞したのは納得です。 |
142.主演の俳優さんの演技に感動してしまいました。特に最後のピアノシーン、あそこは良い評価悪い評価あるみたいですが、私は圧倒されちゃいました。良い作品です。 【イヌひこ】さん 10点(2003-07-05 21:31:26) |
141.戦争映画ってこういうのが理想じゃないですかね。リアルにできててすごくよかったと思います。そりゃー単に映画としては友情や恋愛で感動がすさまじくあったりしたわけじゃないですけど、戦争を「絶対やってはいけない」って伝えられる映画だったと思います。 【幕末魂】さん 8点(2003-07-05 21:17:54) |
140.正直面白くない。おすぎの評論はあてにならんという事を今更ながら気づいた映画である。実話なので派手に脚色できないせいかもしれませんが、全体的に特に盛り上がる部分もなく、劇映画として物足りませんでした。ただ戦争の悲惨さやユダヤ人差別の哀れさなどがよく描けていたと思うので、反戦ドキュメンタリーとして見たら、かなり高得点です。 |