9.確かに,溥儀は関東軍の旗印であり,傀儡だったかもしれない。しかし,辛亥革命の後,北京を,故宮を追われ,上海の租界において殆ど西洋人と変わらない生活をしていた溥儀は,関東軍の申し入れに二つ返事で承諾した。文字通り最後の皇帝としての矜持を持ち続けたからに他ならない。つまり,自らの意志で祖先の地である満州の皇帝の座に着いた,ということが,改めて本作品から痛いほど伝わってきた。自らの意志を持たず,傀儡として不本意にして壊滅的な生活を余儀なくされ,戦争責任を問われ,最後は一市民として死んでいく,という,私にとって,従来の固定観念をすべてではないにせよ,見事に打ち砕いてくれた忘れられない作品の一つである。ベルトリッチ監督による豪華絢爛たる故宮でのロケ,オリエンタルな坂本龍一のスコア,ちょっとかっこよすぎるジョン・ローンの溥儀,「アラビアのロレンス」に「おしゃれ泥棒」は遙かなる過去か?すっかりじいさまになってしまったピーター・オトゥール。どれもこれもが皆印象的だ。史実と違う?勝手に歴史を捏造?ご冗談を。勿論,ラストシーンで最晩年の溥儀が,紫禁城を訪れるシーンなど演出上のフィクションだろうが,歴史認識のかけらもない某大作とは違って,根底に脈打つのは,溥儀の玉座に対する執着と,20世紀初頭の東アジアにおける非情なまでの歴史のうねりではないか,と思う故に,一級の史劇として後世にに残すべき名画の一つと感じた。見応え十分にして一度は押さえておきたい,否おくべき作品。 【koshi】さん 9点(2002-04-13 16:25:30) |
8.反抗の術も知らないままに時代の波にのまれていく、傀儡の哀しさがすごく伝わってきた。淡々としていながら、心に残るものは深い作品でした。 【wood】さん 9点(2002-02-11 16:13:50) |
7.*ネタバレありです*中国に行き、故宮を見て参りました。帰国後、早速この映画を見ましたが、改めてすごいなぁ、と感心いたしました。私が好きなシーンは、溥儀が乳母のアーモを探している途中、座り込んで「分からないな・・・分からないよ」というところで、「アーモはただの乳母じゃない。大切な人だ」というセリフの時の、あの表情!泣いてしまいました。 【勾玉繭羅】さん 9点(2002-01-08 10:53:41) |
6.かなりおもしろかった。スケールの大きさで圧倒するのではなく、細かい人間関係、心理描写がされている。印象に残ったのは自転車のシーン。自転車は自分の力で前に進むことの象徴だよね。でも、そこにはでっかい壁があったのです…。 【鉄コン筋クリ】さん 9点(2001-12-02 03:09:34) |
5.スケールが大きく、映像もすばらしい。いい映画だ。個人的にはベルトルッチの最高傑作だと思います。観た後の満足感、映画はおもしろい!と思った作品でした。 【あろえりーな】さん 9点(2001-10-15 14:13:14) |
4.完成度が高い。こういう重厚な映画は、賞を取りやすい映画だと思う。 【アロエリーナ】さん 9点(2001-05-10 01:15:25) |
3.ラストシーンの蟋蟀が這いあがっていくところが心に残りました |
2.初めて見た時、壮大さに圧倒されました。何度も見たい映画の一つです。印象深い音楽もgood。 【アトリエ】さん 9点(2001-01-10 03:49:34) |
【ひよこ】さん 9点(2000-11-13 18:35:30) |