1.《ネタバレ》 ストーリーに関してはリアリティゼロのトンデモ映画だが、リアリティを醸し出そうとしていない点によって救われている。
変にリアリティを出そうとすると、必ずボロが出るものだが、映画そのものが思い切りアクセルを踏み込んで突っ走っているため、もはや突っ込みようがない。
「どんなもんじゃい!」と高いテンションでここまでやってくれると、「はい、そうですか」とこっちは従わざるを得なくなる。
「アメリカ国家による監視・盗聴」「プライバシーの危機」といったテーマにはあまり触れずに、“アクション”に特化した戦略は功を奏したと思われる。
そのため、中身は薄っぺらい映画だが、個人的にはそれほど嫌いではなかった。
一言突っ込むとすれば、「あんな高度なシステムがあれば、テロリストなんて倒すのは簡単じゃないのか?」くらいか。
ラストのハリウッド的ハッピーエンドも怒りというよりも、呆気に取られてしまった。
「国家のために自分の身を挺する」なんて意外と立派なオチをつけるじゃないかと感心していたら、「おいおい・・・そんな訳ねえだろ!」というまさかの展開になってしまった。
「国家のために戦った若者は殺さない」というところがアメリカらしさを感じる。
この部分に関しても、もはや突っ込むのは野暮というものか。
製作総指揮のスピルバーグは何から何までハリウッドらしい娯楽映画という仕上りを目指したのかもしれない。
アクションのレベルや迫力、リアリティ度は高いので、何も考えずに頭を空にして見れば、鑑賞時間分はハリウッド大作映画をお腹いっぱい堪能できると思う。
まさにハリウッドアクション映画のお手本といっていい映画だ。