5.《ネタバレ》 ロバート・リチャードソンによる、ライトの強弱を極端につけた
メリハリのある画面が西部劇によくはまっている。
会食シーンの張りつめた緊張感も、このライティングあってのものと云っていい。
松明の並ぶ夜襲場面の斜面のスケール感や、
バウンティ・ハンター:ジェイミー・フォックスの初仕事となる場面の
崖上からの俯瞰ショット。
または玄関口を見下ろすレオナルド・ディカプリオ邸の広間など、
高低を活かした空間処理が随所でドラマティックな効果をあげている。
ポイントを押さえた高速度撮影ショットのケレン味も、アップとロングの配分も、
作品トータルのドラマツルギーも、ジャンルのルールに忠実すぎるほど忠実であり、
その安定感こそ逆に不満要素かも知れない。
イーストウッド後では、本来タメとなるべきヒーロー&ヒロインの身体的被虐シーンも
まるで物足りなく映ってしまう。
逆に、フォックスとクリストフ・ヴァルツが作中で二重の芝居を貫くために
ポーカーフェイスを己に課す、その冷静を装う表情と内なる怒りのせめぎ合いが呼び込む
映画のエモーションこそ強烈だ。
上に並べた映画テクニックの巧さより何より、そこが本作の要だ。
あくまでクールな素振りと表情のまま、臨界点を超え
復讐のアクションに突入していく二人の姿に揺さぶられる。