1.《ネタバレ》 ニックとジュールスのレズビアンカップルは第三者から精子提供を受け、2人で1人ずつ子供を産み、4人で暮らしている。ある日、子供たちは自分達の「父親」にどうしても会ってみたくなり、連絡をとることにするのだが…。といういかにもおいしそうな食材をコメディタッチで料理しているのだからきっと面白いだろうと思い、それなりにハードルを上げて臨んだが、期待を裏切らない出来だった。
僕の周囲には同性愛者がいない(少なくとも外見上は)ので、こういう映画でしか、同性愛者の考え方とか嗜好とかは見えてこない。更にはゲイの映画は多いけど、レズビアンの映画はあまり観たことがなかったので、特に興味深く観られた。こういう映画だけで判断するのは問題なのかもしれないが、レズのカップルがゲイのポルノを観るというシーンにはびっくりした。それで興奮できるのか!まあ、それ以外は普通の夫婦と変わらないという印象だった。
ただし、基本的にはコメディといっても、主人公カップルはシリアスに離婚の危機まで迎えちゃったりする。あんまり軽い気持ちで観ると足元をすくわれてしまうのでご用心。逆に言うと、そこまで掘り下げているから、この映画のテーマである「家族というもののあり方」が浮き彫りになってよかったとも思う。単に笑わすだけのコメディじゃ観客に考えさせるのは難しい。
家族が離婚の危機をどうやって乗り越えていくのか。これは異性愛・同性愛関係なく普遍的なテーマである。この映画はレズビアン夫婦の話なのだが、うまくこの問題を普遍化できていると感じた。カップルの間に生じる問題は異性愛だろうが同性愛だろうが関係ない(=同性愛は決して特殊ではない)というポジティブなメッセージにも賛同できる。この映画は同性愛者の啓発映画としての役割も十分に果たしていると思う。