148.《ネタバレ》 藤子不二雄A著「まんが道」で大きく取り上げられていたのを見た後に(ネタバレ状態で)観た
昔に観たときはさほど目を引く場面も、展開もなく、世に言われるほどの名画とは思わなかった
今改めて観て、劇的に印象が変わったわけではないが、味のある映画とは、思うようになった
アンナの人物設計は、事件との関連の強さと費やしたフィルムの長さのバランスがおかしい。
先を知りながら観ると、時に脱線しているような気持ちになった。アンナの過去が気になってハリーのことを忘れそうになる。
思えばヒッチコックの映画もそういう映画が多い。この時代の映画における女優の役割の大きさが窺い知れる。
ところがハリーがヌっと顔を見せる。それを知らないで観たら、ここでアンナのことなどすっ飛んでしまうくらいの驚きだっただろうか
おそらく、意外には思わなかったろう。予測可能な展開だ。事件の期待した結末とアンナとのロマンスが同時に失われ、ホリーはここで失意の退場をいったん決意した
ハリーに対するホリーの人物評は本当に親友なのか疑わしいくらい外していた。親友という表現を額面通り受け取るならば、いささか不自然かな、と思う
そして下水道のクライマックス。どこまで本物?(最大限本物と妄想しつつ)うわっ撮影嫌だなこれ!偉いよ!いいシーン!
流れるようにラストシーンへ。う~ん最高のエンディングだ。原作だと二人くっついちゃうみたいなんだけど、ここはこのラストが万倍いいよね
撮影当時ウィーンのバーで流れてた曲をそのまま映画の主題曲にしたそうな
つまり、これから売り出そうと企むタイアップ曲では絶対に生まれない、場面に見合った名曲というわけだ。
そんな背景は知らなくとも(それが仮に作り話でも)この音楽が映画に与えた好印象は計り知れない