96.《ネタバレ》 これは「能」の映画ではないか、と思った。 「能」は「削りの芸術」で動き、演出、道具などを極力削って最低限のものしか舞台にあげない。残りは観客の想像力に委ねるのだ。 この映画は観客に「委ねている」。だから公平な感情をもてるように過激なシーンやエピソードをあえて見せないのではないか。 「この世界のこれからをあなたに委ねる」という監督のメッセージでもあるように感じる。 私にとっては冒頭からリアルだった。マンデラ釈放の日を「国の破滅の日」と言った白人男性を見て、実際、南アの白人少年が「最高の国が最低の国になった」と言っていたのを思い出した。 差別する側はされる側の事を考えない。ピエナールの父を見ていれば分かるが、黒人に感情がある事さえ意識していない。 ピエナールも白人SPも黒人の立場、環境、気持ちなど考えた事がなかっただろう。マンデラに会い、彼らは初めて考えだしたのだ。 刑務所にも訪れ、「赦せる強さ」を考える。「愛」の反対は憎しみではなく「無関心」なのだ。 優勝した時の様子ですが、フランスもサッカーWCで優勝した時、ああなったそう。差別意識の強い地区でも無礼講だったとか。 一瞬の出来事かもしれないけど、あるとないのでは大違い。忘れなければその一瞬を永遠に出来る可能性がある。 それを静かに、優しく、包み込むように、観ている私たちに「委ねて」いる映画。文句なく傑作だと思います。 【果月】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-07-30 01:34:48) (良:1票) |
95.《ネタバレ》 マンデラ大統領の人間を深彫りするでもなく、試合のプロセスを深く追うわけでもない。 まあ、映画の尺に対して表現するべき内容が多すぎるという、企画そのものが無理な企画だったんですけどね。 視聴者が登場人物やイベントに感情移入するだけの準備がもてないので、作品を深く堪能できないという欠点が残る映画でした。 二部作にして、マンデラ大統領自叙伝編と、ラグビー編とわけたらまだよかったかも。史実がベースだけに、地味な映画にせざるを得ないとは思いますが、そういう映画こそ、登場人物の背景を深堀利する必要がある。 【ひであき】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-07-14 04:55:45) (良:1票) |
94.アパルトヘイトを乗り越え、スポーツを通じて国がひとつになる息吹を与えたマンデラ大統領の自伝映画・・・となると、もしイーストウッド以外の監督が撮ったらきっともっと冗長で、壮大さを演出した作品になったと思う。 そこをイーストウッド監督は人種差別問題に関しても、ラグビーに関しても、本当に映画として必要な部分だけ的確に抽出して描く。 この作品のテーマは、「赦し」や「詩、歌」によって呼び起こされる、まさにシンプルな「人間の力」。 テーマをシンプルに絞り込むことで、本作は説教臭い伝記映画ではなく、素直に感動出来る映画に仕上がっているのだと思う。 毎回作品を観て思うのだが、イーストウッド監督は本当に役者の「いい表情」を撮るのが巧い。そしてやはり監督ならではの、所々にホロリとさせられるさりげない演出も散りばめられており・・・・・とても感動出来る、素晴らしい作品でした。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-02-11 10:35:47) (良:1票) |
93.実話がもとになっている映画は興味を引くエピソードに乏しく、途中で飽きてしまう事が多くなりがちです。 しかしこの映画はストーリーに無駄が無く良くまとまっているせいか、最後まで楽しく見ることができました。 テーマは黒人の人種差別で、見せ方が上手く素直に感動できました。黒人差別があった国の人が見ると、もっと違った感動があるのではないかと思います。 【アシュ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-02 01:52:16) (良:1票) |
92.《ネタバレ》 マンデラ大統領は、本当に素晴らしい人物ですね。融和の為に、真に公平の立場、完全平等の精神を貫いた。本作のテーマは「赦し」であります。自分を許し、相手を許す。人間にとって、あるいは最も困難なことかもしれない。でもマンデラは、とてつもなく大きな器を持ってして、それを成し遂げた。数十年も監獄に入れられようと、たとえヤジを飛ばされ、命を狙われようと、その理想を貫き通した。そして自分と他人を許したら、次のステップは「信じる」こと。不可能はないんだと、自分たちを信じること。2時間ちょいのこのドラマには、人生の教訓が果汁100%のように、ぎゅっと詰まってる。 【あろえりーな】さん [DVD(吹替)] 7点(2010-08-12 21:53:01) (良:1票) |
91.《ネタバレ》 ■うーん、いい話なんだけどイマイチ足りないところがある感じ。その根本原因は「なぜ弱小南アチームが強くなったかがまったく描かれていないので、WCでの勝ち上がりにも思い入れが出来ない」という点にあると思う。南アが弱いということが事実に反していてもそれはいいが、でもというか、ならなおさら南アが強くなるプロセス、あるいは奇跡の勝利を収めるに値する何か、を事前に差し込んでほしかった。それが「大統領の応援」だけだというのでは拍子抜け。 ■他方、マンデラ大統領の重み、ドラマは上手く描けていたと思う。「赦し」の難しさ、それを実現させていくマンデラのすごさ、等々。みんな「一人の魂の指導者・・・」を引いてるけど、個人的には凡庸ながら「危険を冒せないものは指導者になれない」っていう台詞が好き。 ■というわけで、悪くないんだけど、スポ根に大切な「勝つ為の秘訣」が見えなかったので2点減点。いい映画だとは思うんだけどね。なんだかんだラストの勝利はぐっとくるし 【θ】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-06-25 02:17:32) (良:1票) |
90.《ネタバレ》 私は映画作りに関する専門家では無いので、一本の映画がどの様な製作過程を経て世に出るのか詳しくは知らないのだが、本作を観ながら「これは映画作りの教則本・教材の様な作品なのでは?」という事を強く感じた。 とにかく、全てのシーン・構図・カット割り・場面と場面の繋ぎ方 等々に於いて『淀み』が無い。 上手く例えられずもどかしいのだが、撮影に入る前の段階から監督の頭の中には全シーンが完璧に組み立てられており、且つ それをどうすれば思い通りの映像に出来るか具体的な方法まで把握仕切っているかの様な印象を強く受けた。 物語自体はスポーツを題材とした作品にしては淡々と進みすぎる感は有るが、実際に数十年間も人種差別の標的となり収監されていた人の人生がバックボーンとなっているので大変重みが有る。 数十年も監獄の中で理性を失わず高い意識を持ち、最終的には自分をその様な状態に陥れた人々をも赦す度量の有る人物が発する「私は私の人生の支配者」という言葉は胸に迫る。 アカデミー賞に相応しいか否かは議論出来る立場に無いが、見て損はしない良作と言えよう。 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-03-23 17:27:13) (良:1票) |
89.《ネタバレ》 前半ラグビーチームに対する踏み込んだ説明がほとんど無いため、南アフリカとマンデラ大統領中心の話なのかと思いきや、後半はラグビー一色。特に決勝戦の長いこと長いこと。このあたりはどっちつかずでバランスが悪い。また、南アフリカチームが前半はかなり弱小に描かれているが、後半で大きな理由も無いままいきなり優勝してしまうのもどんなもんかと(実際は元々そんなに弱いチームではなかったようですね)。普通に面白い作品ではあるが、イーストウッドならではの強烈なインパクトは無くもの足りなさを感じたため、点数は抑え目になってしまいました。 【ふじも】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-03-18 12:26:34) (良:1票) |
88.信頼のイーストウッド印はまだまだ健在!ベタでベタでどうしようもないくらいにベタなんだけど根底にある漠然とした「優しさ」のためか、伝えたいことがしっかりしているせいか、揺らぎのない、どっしりとした感動作に仕上がっております。 あと、マッド・デイモンはいい役者ですね。 【bolody】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-03-13 20:09:17) (良:1票) |
87.《ネタバレ》 良い映画である、それについては否定しにくい。しかし、好みの問題もあるが、ややあっさりとしすぎているという印象も拭えないところはある。自分がラグビー、南アフリカ、マンデラにほとんど関心がないという理由もあるだろうが、心に熱いものをそれほど感じなかったということも言えなくはない。ただ、実話モノでもあり、あまり感情を込めて描くとやや支障や批判を受ける可能性もあるので、ある程度は客観的な視点に立たざるを得なかったのかという気もする。また、あまり押し付けがましいものはイーストウッドが好まないのだろう。鑑賞する者に様々な判断を委ねているのはイーストウッドならではの余裕か。 一本の道を境にしてラグビーをプレイする“白人”とサッカーをプレイする“黒人”を二つに分けて、その間をマンデラの車が走り抜けるという冒頭のシーンが非常に印象的だ。このシーンだけでほとんどのことを語り尽くしている。イーストウッドはさらに分かりやすくするために、SPに関しても白人チームと黒人チームを分けていき、対抗軸を構築している。徐々に白人と黒人が混ざり合っていく仮定を“マンデラ”を象徴的に描きながら、最後には共に“勝利”という気持ちを共有し、一つの国家としてまとまるほどに盛り上げていっている。熟練された演出は磐石と言わざるを得ない計算されたものとなっている。 また、“赦す”というキーワードは現在にも通じることだ。昨今のアメリカを巡る紛争や解決の見通しの立たない民族対立などのワールドワイドのことから、我々が属する小さなサークル・社会にまで当てはまる。人間の集まりである以上、“対立”が生じることは防ぎようがないが、“憎しみ”からは新たな“対立”しか産まない。“赦す”というシンプルだが、難しいことを一つの解決策として提示している。何十年も牢獄に入れられたマンデラが出来たことなのだから、我々にも出来るはずだというメッセージだろうか。マンデラ同様にイーストウッド自身も“過去”ではなくて“未来”を見続けているような気がしてならない。 さらに冬季オリンピック及びサッカーワールドカップイヤーという時期にふさわしい映画となっている。本作やオリンピックを見ていると、やはりスポーツは多くの人をまとめるチカラを持っているものだと改めて感じさせる。 ややドライな感情をもつ日本人にとっては、こういった感情こそ必要なのかもしれない。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-03-01 21:49:52) (良:1票) |
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86.スポーツものは動感を感動へ繋ぎやすい題材。わだかまりがある関係を繋ぐものは共通の目的。そんなモチーフを国家規模で見せてくれます。ベタな手法だけど、上手くまとめている。反目していた者たちが喜びを分かち合うシーンには胸が熱くなる。モーガン・フリーマンって、何気にネルソン・マンデラ氏に似ている。それはけっこう大事なことだったと思う。マット・デイモンは最近の他の映画で太ったなぁと思っていたんだが、この映画のためだったのかな。その体格的存在感も含めて好演でした。マンデラ氏の赦しの精神は、マット・デイモンがひとりで肉付けしたようなものでした。マンデラ大統領の時代に比べて、今の南アフリカはかなり荒んでいるようです。殺人事件と強姦の発生率が世界最悪で、国民の4人に1人がHIV感染者って異常です。今作のラグビーワールドカップが和解への契機になったように、今年のFIFAワールドカップが治安好転への契機になることを願います。監督の想いは、この国に再び世界の目が向くことにもあったように思います。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-02-18 01:32:26) (良:1票) |
85.《ネタバレ》 スローモーションだの幻影だのベタベタであざとい演出ばかりだったにも関わらず泣きそうになります。イーストウッドの手のひらで踊らされているよう。結果ももう分かり切ってるのに、そこへ到達するまでの展開がやはり上手いんだろうなぁ。ここまで露骨な演出をするとは思わなかったのでかなり意外でしたが、それが効果的。 完璧なエンターテイメントに仕上がっています。とはいえ、イーストウッドお得意の大俯瞰も随所に有って、らしさも伺えます。すげーやつです、イーストウッド。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-15 21:15:14) (良:1票) |
84.《ネタバレ》 とっ散らかった印象のカット、繋ぎが多いのはちょっとイーストウッドらしくない感じ。あと、意味ありげに不安感を煽るカットを差し挟んでおいて肩透かしを喰らわすってパターンを何度も執拗に(冒頭のワゴンカーから飛行機、警官の近くの少女と)繰り返すのはちょいとあざといです。しかし、さすがはイーストウッド、上手いなぁ。差別を越えて国を作ってゆく大統領と、ラグビーのワールドカップに臨むチームとを対比させて描く、その手馴れた匙加減は見ているこちらを気持ち良くラストまで運んでくれて、いい映画を見たって満足感を与えてくれます。現実はきっともう少し複雑でしょう。闇の面もあるでしょう。だけど、マンデラ大統領の赦しと協調の精神、それに応えようとする人々の精神をまるで賛歌のように世に送り出す姿勢、それは『グラン・トリノ』後の作品として、あまりにもふさわし過ぎるようなカタチに思えます。イーストウッドは存在そのものが映画ですね。それにしても堂々の演技のモーガン・フリーマンは当然として、マット・デイモンっていつの間にやら、いい役者になりましたねぇ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-02-10 21:06:53) (良:1票) |
【TERU】さん [インターネット(吹替)] 10点(2023-10-12 21:37:23) |
82.《ネタバレ》 マンデラ大統領の激動の人生を、95年ラグビー南アW杯にスポットを当てて観易く仕上げた脚本力が見事だと思いました。スポーツイベントの持つフェアな爽やかさが、人種差別というえぐみを中和させる効果もあって心地よい仕上がりになりました。 キャスティングも超安定。フリーマン大統領とM・デイモンキャプテン。ハリウッドでもトップクラスの「信頼感を醸す」二人ですから、これはもう心の底から任せた、という気持ちになりますよね。 試合のシーンも良かった。もっと観ていたいと思わせるような臨場感がありました。 ラジオ実況を聞く白人のおっちゃんたちと黒人の子どもの連続一コマ劇場、いいなあこれ。見る度に縮まる距離と、いつの間にか買ってもらってるジュース。笑って泣きました。 ああ、ひとつだけ。低空飛行を演出したパイロットもとい航空会社は事前に警備および主催に連絡しとくべきだったとは強く思うな。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-09-10 19:06:59) |
81.高評を目にし 鑑賞..序盤は良かったけど..物語として 物足りない..なぜ チームが強くなったのか、その過程がまったく描かれていない..そこ 大事でしょ! 残念.. 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 6点(2022-11-13 09:12:37) |
80.ラグビー映画のつもりで見始めたのにマンデラ物語が始まって驚いた。 でも、心に響く言葉がいくつもあって、それはそれで良かった。 序盤は当時の出来事を淡々と描く感じで、落ち着きのある雰囲気が好印象。 終盤に向けては選手も応援する国民も徐々に盛り上がって行ってとても感動的でした。 ラグビーが国民の心を1つにして行く光景に自然と涙が零れました。 とんでもない大差で負けていたけど、日本もこの大会に参加していたことが少し誇らしかったです。 【もとや】さん [インターネット(吹替)] 8点(2021-05-07 11:03:59) |
79.《ネタバレ》 面白かった。 事実は小説より奇なり。 ラグビーの勝ち方も出来すぎてる。 ネルソンマンデラ氏の名前は以前から知っていたけど ラグビーを盛り上げて国を一つにまとめ上げるようなことまでしていたのか。 盛り上げるのには最高の勝ち方だな。 【Dry-man】さん [インターネット(吹替)] 8点(2020-10-05 00:13:39) |
78.マンデラ大統領とラグビーチームがつながるとは知らなかったし意外だったので、結末は容易に見当がついてしまうものの最後まで興味深く見ることができた。 【飛鳥】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-05-01 22:41:34) |
77.《ネタバレ》 流行に乗って鑑賞。国として誇れるチームを、チームとして誇れる国を、お互いに感謝の意で称えあうラストは(監督の思い通りかもしれませんが)とても快いものでした。 【SIN】さん [DVD(字幕)] 8点(2020-03-09 20:32:17) |