136.《ネタバレ》 『人前でしゃべれない王様が笑いあり涙ありで困難に立ち向かっていく』と言う、ヒューマンドラマとしてはベタな内容を予想。まぁ流れ的には大体合っていたが、完成度の高さは予想以上だった。 まず話のメインとなる主人公の悩み(スピーチはもちろん自分の子供と話す時も口籠ってしまう)からラストの演説までに起こる出来事や事件が1つ1つバランス良く組み込まれており、ダレる前に次のお場面に飛び、なおかつ描写不足になったり唐突な展開になったりもしないので最後まで集中して観れました。 また登場人物もメインとなるのは主人公夫妻と医者の3人なので、顔も覚えやすく掘り下げるための尺もしっかり取れているので好感が持てます。 特に主人公の王様(王位に就いたのは中盤ですが)。無理矢理王位に就かされてしまった上ドイツとの戦争も濃厚と言うプレッシャーに耐えきれず泣き出してしまいますが、それまでの描写や台詞、俳優の演技なども相まって、いかに彼が『真面目で国民の事を思う優しい王様』かと言うのが伝わってきます。 そしていよいよスピーチの時、若干しどろもどろになりながらも友の身振りや口パクで辛うじて原稿を読み上げます。そして次第に喋りが滑らかになっていき、最後は友も何もせず見守る形でスピーチを終えます・・・・・ああ、思わず涙が。 脚色の程度は分かりません。また際立って素晴らしいと言う部分も表現しにくいのですが、とにかく全体としての出来が良い『ハイアベレージ』な作品でした。笑いの表現ンも全体的に面白く、作品の雰囲気を壊さず程良いさじ加減で投入されているのも○。 少なくても前回の受賞作品に比べればアカデミー賞候補としてうなずける内容でした。 追記:受賞おめでとうございます。 【ムラン】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-27 03:27:02) (良:2票) |
135.《ネタバレ》 兄エドワード8世の「愛する女性の助力無しに、国王の公務は成し遂げられない」という言葉が非常に切実に感じられた。たとえ相手が王妃にふさわしくない女性であったとしても、彼にとっては、かけがえのない女性だったのだろう。王として、私を捨て去ることを求められ、それを拒む兄と、望まぬ戴冠を国民のために受けようとする弟の苦悩は、「平民」の我々には想像を超えた葛藤なんだろうな。 王と対等な立場での治療にこだわるローグは、たとえ売れない役者でも誇りを持って生きていることを、身をもって王に教えているように感じられた。圧巻は、ウエストミンスター寺院でのリハーサル。ローグの素性を知った王が彼を詐欺師だと糾弾する場面で、王座に座るローグ。 「たかが椅子だ」。 鳥肌が立つ程の緊張感が漂い、二人の名演が光るシーンだった。 余計な説明をしない、品格のある映画だった。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 8点(2019-04-06 01:48:52) (良:1票) |
134.《ネタバレ》 音響や映像が洗練されていることは勿論なのだが、なにより登場人物の掘り下げ方がよかった。際立つのはローグの持つ温かみ、安心感。表情から発する言葉全てが温かみを持ち、終末シーンのスピーチのときの言葉「私に向かって話してみなさい」がとてもそれを象徴している。同時に、エリザベスやローグ夫人といった女性の登場人物も、それぞれの夫を一番の理解者として支えている姿が涙もの。特に、王位継承直後の自宅のシーンでジョージ6世が書類に目を通しているシーン。それまでに精神的に磨り減ったすえに言ったジョージの言葉"I'm not the king." ここで自分も涙してしまった。その後のエリザベスの寄り添う姿が本当に素敵。また、ジョージとローグが朝に散歩をして口論して別れたシーンの後で、事情を知らないローグ夫人が全てを悟ったかのように適切なアドバイスをローグに与える。このシーンでも同時に夫を支える夫人の器の大きさに感動した。言語障害(どもり)がテーマの1つになった映画だが、その症状を通して見る者にこれだけの愛を伝えてくれた映画。 【カジノ愛】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-06-28 03:00:03) (良:1票) |
133.吃音障害に馴染みがないので心配でしたが緊張感が上手に表現されていました。オープニングの演説シーンは凄い緊張感でした。全体的にチト地味な映画ではありますが、主軸がブレず最後まで一気に見せきる仕上がりには制作陣のレベルの高さを感じます。 ある意味、現状の人生にプレッシャーを感じている人にはそれなりに共感できる内容です。例えば次期社長さん、有名な人の子供さんなどなど、否応なしに人生が進んでゆく方々には結構共感できるんじゃないでしょうか。私にも多少あります。 派手なエンターティメントが好きな方にはお勧めしにくいですが、真面目な映画が好きな方にはお勧めです。主人公のコリン・ファースの吃音は演技に見えませんでした。その点は必見でしょう。 【アラジン2014】さん [ブルーレイ(字幕)] 4点(2015-03-26 18:40:45) (良:1票) |
132.《ネタバレ》 英国王室が舞台・・・堅苦しくて脇役が誰がだれなんだか混乱するかなと思っていたんですが、全くそういうことはなく、とても観やすく馴染みやすい作品です。 風景やセット、カメラもイギリス映画のそれで、無駄な派手さや演出が無くて良いです。 そのままエリザベス1世時代が舞台になってもOKなキャスト、ウォルシンガムもいるしね。 コリン・ファースはイングランド人だし、上品な顔立ちが貴族的で国王役にぴったりです。元々イギリス文芸物、コスチューム物には欠かせない俳優さんですね、ほんとブリティッシュジェントルマンというイメージにぴったりです、声もイイ。 大英帝国の衰退、ナチス、戦争、そういったものが背景にはあるものの、ジョージ6世の成長とローグとの信頼関係と友情の成り立ちが中心なので後味も良いです。 「アナザー・カントリー」から気にかけていたコリン・ファース、TVシリーズ「高慢と偏見」のミスター・ダーシー役でイギリスで最もセクシーな男と認められ、「ブリジット・ジョーンズの日記」のマーク・ダーシー役から俄然目立ってきた、そしてイギリス作品のイギリス国王役でオスカー主演俳優受賞となりました、なんかドラマチックです。 ローグの奥さん役、なんとなく見覚えがあると思ったら「高慢と偏見」のエリザベスじゃないですかぁ、ミスター・ダーシーとめでたく結婚する。イギリスではコリン・ファース=ミスター・ダーシーというのが相当根強いと見た。 しかしなんですね、時代物はあっちもこっちもみんなエリザベスで、男はジョージかヘンリーでここんとこが混乱の素です。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-20 11:43:07) (良:1票) |
131.《ネタバレ》 まあ、タイトルからおおよそのストーリ&オチは察しがついていましたが、終盤になるまであまり上達しているようには見えなかったので、こんなんでラストのスチーピ大丈夫かよ、と少し心配になりました。主人公は、人格的にも能力的にも兄より国王に向いているようですが、そのことが、主人公の言動を通してではなく、周囲(父親やチャーチル)からの評価として観客に説明しており、そこんとこもう少し工夫できなかったかなぁと思いました。でもまあ、観て損はしないレベル。 【la_spagna】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-09-17 22:16:22) (良:1票) |
130.吃音を矯正して治していくというよりも、自分の人生を見つめ直すのに付き合ってくれる誰かがいることがうらやましいなと思った。私にもあんな人生の水先案内人がほしいなあ。 【SAEKO】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-07-28 12:33:17) (良:1票) |
129.《ネタバレ》 この映画はレビューするのに困る。なぜなら、自分も吃音者だから。 自分の場合ですと、やはり英国王同様、家族や親しい友人などに対しては吃音が出にくくなる場合が多いため、そういった身近な人ほどなかなか自分が吃音持ちだという事をわかってくれず、他所でどもると、「単に緊張しているだけだからそのうち慣れる」「場数を踏めば大丈夫」などというトンチンカンな指南を受けるのがオチ。 難病でもなければ障害でもないこの吃音という症状が世に広く認知されるのは喜ばしい事ではあるものの、「吃音?」「じゃあ、英国王みたいに練習で治るでしょ」と、軽く考えられるのも困るわけで、そもそも、最後のスピーチを立派にやり遂げたように描かれていましたが、あれは対処療法的にその場を凌いだに過ぎず、根本から克服したと勘違いされてしまうのは吃音者である我々としては何とも微妙な所なのであります。 さて、ここからは映画のレビュー。 一番気になったのが、人物を画面の中心からずらした構図が多用されていた事なのですが、ただ単に中央に配置しないだけならまだしも、本当に画面の隅っこ1/4くらいの場所に人物を配置していたりといった極端な構図が多かったということ。 それと、どのシーンにおいても(特に療養所のシーン)画面が暗いことが多く、人物を正面からクローズアップで捉えたショットなど、ここぞという場面であっても顔に当たる光が弱いため、あまり上手くはないなぁと感じました。 ストーリーに関しては、英国王が医者と公園を歩いていたシーンで、口論になって別れた際、煙草に火をつけるというアクションが仲違いを象徴するするように機能していたのが良かったというのと、冒頭とラストでスピーチする時の独特のハラハラ感などは他の映画では味わったことのないような独特の感覚があったりして、自分にとってはいろいろとレビューが難しい映画でした。 【もっつぁれら】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-06-01 15:20:36) (良:1票) |
128.王室継承とか戦争スピーチなどは好きではないが、伝記物映画としてはなかなかの感動ものだった。吃音症の国王役コリン・ファースはもとより、治療に当たった言語療法士のジェフリー・ラッシュが良い味を出していたし、支えになった王妃役のヘレナ・ボナム=カーターもまた良い。演技達者な俳優陣が揃って良い映画になっていたと思う。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-02-05 08:28:50) (良:1票) |
127.自分も吃音持ちだったので、コリン・ファースの気持ちが分かる気がします。会議や打ち合わせの発表やプレゼンテーション、何日も前から不安で、本番で声が出ないこともわかるからなおさら逃げたくなります。なんとかきちんと発表できるように事前に息継ぎのポイントを書き出したり、ガムを噛んでごまかそうとしましたが、やっぱり本番では声が出ず、ガタガタ足も震える始末。吃音になる自分も嫌でしたが、それを可哀想だなって思われているんじゃないかと思うことも嫌でした。ただ、これは中々練習すれば解決するということではないんですよね。練習時は一人なのでもちろん問題なく声が出ます。本番じゃないと実際に多くの人を前にしないので。吃音を持ちながら長いことこの思いを引きずりました。ただ、何回も経験するうちに、たまにうまくいくんです、声が出るんです。その時には大きな達成感がありました。ただうまくいった次の時にはまた声が出なくなる、そういう繰り返しでした。その繰り返しを経て、今は普通に声が出ます。コリン・ファースの場合は国全体への演説、それも戦争の時代に。コリン・ファースの最後の演説後の表情、名実ともにキングの顔になったように思います。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-30 08:42:01) (良:1票) |
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126.《ネタバレ》 史実として観るのか、それとも、エンターテイメントに振ったモノとして観るのか、、、そこらへんは評価の分かれるところかと思います。少なくとも、「王室」の壁を越え、一友人として国王に仕え、支えた気持ちは十分に理解できたかと。ラストのスピーチへ持っていく展開は、ある意味ハラハラドキドキで、重い責任とその責任感を果たせた安堵感は間違いなく共有できたかと、感じています。国家を背負う重圧と一個人としての葛藤を、力演したコリン・ファースは賞受賞にふさわしい。そして、それを支える素晴らしいキャスティングにイギリスの誇りを伝える監督の手腕はお見事でゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-03-18 22:24:32) (良:1票) |
125. もしかすると、テンポがないとか、暗いとか、いろいろ批判もあるかと思います。しかし、一人の人間が欠点を克服していく姿、そしてそれを献身的に助けていく姿は心打たれます。いい映画を見ました。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-25 17:00:36) (良:1票) |
124.これぞムービーってな気がいたします。良い意味で。ただし、理解しておきたいのはコレ、既に歴史的認識の高い専門家から事実とはかなり違うと指摘なされているように、私ら客人に向けてかなりエンターテイメントな方向にアレンジ・脚色されているものだという事は知っておくべきでしょうね そう思います。例えば、アルバートの吃音のひどさはかなり誇張されている だとか、例えば、アルバートとライオネルの出会い時期がかなり変更されていた事だとか、アルバートと兄貴:ジョージ5世との関係が実際の関係よりもドラマ性を持たせるために敵対的に描かれていた点だとか、まあ仕方がないとは思えるんですがね エンターテイメントムービーなんで。ただし、その辺、歴史的作品という括りでお取り扱いされる事が予想された以上、フィクション or ノンフィクションという在り来たりの表示だけではなく〝この物語は事実とはかなり異なりますと〟という表示をきちんと万人に分からせる必要があったのではないのかな なんて思ってみたりしています。 【3737】さん [インターネット(字幕)] 8点(2012-12-07 21:22:30) (良:1票) |
123.内容と比べ重苦しさをほとんど感じさせないのでとても見やすく、そのことにより逆に最後のスピーチでの緊張感をより高めることにも成功していて映画としての締まりもよく鑑賞後十分な満足感を得られました。飛びぬけた所があるわけではないですが、とてもバランスのとれた上質な映画です。 【映画大好きっ子】さん [DVD(吹替)] 9点(2012-11-06 11:47:00) (良:1票) |
122.《ネタバレ》 “王”たる者にとって周囲の人間とは「臣民」・「臣下」それに「家族」の三通りしかいないのではなかろうか。「友人」は存在し得ない。神から遣わされた絶対君主に、対等な相手など認められないのだから。しかし時は20世紀、キングであっても平民のドクターに力を借りなければならない時代なのだった。「友人」という前例の無い関係を築くにあたって、それはそれは骨の折れる精神作業だったことでしょうなあ。王にとってもローグにとっても。王族の生まれとはいえ、そこは人間、けっこうなかんしゃく持ちだったり、突如迫ってきた王座のプレッシャーに耐えられなかったり、コリン・ファース演じるジョージ6世はしごく生々しい人間くささをあらわして、畏れ多くも共感できる。妻を相手に「重大な間違いだ。私は王なんかじゃない。」と弱音をぼろぼろこぼすジョージ6世。ああ、弱いところを見せられる相手がいて良かったなあ、と思った。その王妃を演じるヘレナがまた上手い。背中まわりの肉付きのよさにトシを感じてしまうけれど、それがまた王妃たる貫禄になってもいる。ラストのスピーチにはまんまとほろりとさせられた。一言一言、王様が単語を発するたび、次を促すべくローグとともにリズムをとる自分がいた。それにしても、これから戦争だという緊張のほかに、王のスピーチのつつがなきことをも祈らなきゃならなかった関係者各位の気苦労を思うと・・大変だったろうなあ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-12 00:05:12) (良:1票) |
121.ふたりの友情物語と世界情勢の激動がリンクする展開に感動しました。 このシナリオを思い付いた脚本家は天才としか言い様がない。 テーマが吃音症ということもあってか、とても言葉を大切にした作品に仕上がってると思います。 コミカルな言葉遊びと戦争の恐怖が裏腹なコントラストを描き出していて、治療のモチベーションを掻き立てている。 深刻に成り過ぎず、それでいて重要性も感じられる絶妙なバランスで、それは治療の為のバランスでありつつ、シナリオの面白味のバランスでもあるように感じられました。 困難を乗り越えようとするバーティの姿勢は尊敬に値するし、それを支えたライオネルの人間性にも惹かれます。 あと、冒頭で爵位をバカにしてた割には、ちゃっかり爵位を要求するお茶目さも好きです。 そして、やっぱりクライマックスの演説が最高に盛り上がります。 僕は英国民じゃないけど、思わず拍手してしまいましたよ。 名作です。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 9点(2012-04-23 17:40:31) (良:1票) |
120.《ネタバレ》 最後のスピーチへと続く、物語の構成がすばらしい。見終わったとはとても爽快。対等に話しながら「あなたはすばらしい王になる」と尊敬をもって接している距離感が心地いい。それにしてもみんな演技うまい。特にエリザベスが良かった。これ吹き替え版どうなんだろ?ものすごく技術いるよね・・・ 【ラグ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-03-29 00:56:19) (良:1票) |
119.こういう題材で映画を作る事が出来る社会の懐の深さと魅せることが出来る巧みさを感じました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-12-17 23:58:11) (良:1票) |
118.とにかく良い題材を見つけたと思う。 どうやっても面白く出来るエピソード。 字幕なしの言語で理解できたらもっと面白かったろうなぁ。 【翼ネコ】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2011-12-17 10:45:22) (良:1票) |
117.《ネタバレ》 よくできた映画だ。だけど、それだけ、とも言える。 演出が抑え気味なのは好感が持てるが、なんといってもラストの見事なスピーチにいたるまでの過程をもっと詳しく描いてほしかった。 『Shall We Dance』は、その辺が巧みな演出やエピソードで埋められていたので、見終わった後のスカッと感がある。 その辺がこの映画に無いのは、なぜだろう。 事実の映画化ということで、派手な演出ができなかったところにあるのかもしれない。 ある意味で、残念な映画。 【love】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-12-11 22:58:17) (良:1票) |