40.《ネタバレ》 このレビューを投稿する時点で、平均7.22点という高得点にもかかわらず、10点を付けている人がゼロという事実がすべてを物語っているように思う。不出来な映画ではない。ストーリーは適度の屈曲を混ぜ込んで織られているし、トム・ハンクスをはじめ俳優陣も好演している。見て損したという気にもならない。演出にも破綻はない。 なのだけれども、では突き抜けた満足感があったかと聞かれれば、「No」と答えざるをえない。そこそこ面白い映画、そこそこ満足する映画、そんなところが当てはまる感じだ。そう感じてしまう原因の一つは、どこまでいっても結局は「アメリカ万歳」という限界にある。たしかに裁判のシーンでは感情的に暴言を吐くアメリカ人が描かれ、地下鉄のなかではドノヴァンを短絡的に睨みつけるアメリカ人が描かれている。けれども、そうしたつくり方も計算されたアリバイなのだ。 善なるアメリカと悪なるソ連。ヒューマニズムをどこまでも貫くのはアメリカ人。多少アメリカのネガな部分が散らしてあっても、行きつくところはやっぱ、そこかという印象が拭えない。そして、それは本作の限界であると同時に、アカデミー賞の好みの限界でもあるように思う。 【delft-Q】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-09-24 23:10:16) |
39.アメリカ映画といえば、アメリカによるアメリカのためのアメリカが正義として描かれるアメリカ映画が常である。しかしこの映画は、アメリカを完全な正義として描ききらないであることで成功しているのだ。 敵国のスパイなら情けも法律も関係ねぇ!という世論や裁判関係者も存在したことを描く。 太平洋戦争時の日本は「捕虜になる辱めを受けるなら自決せよ」という非情な教えを全国民にすりこませていたが、そんな<自国民の命より、こちらの情報が捕虜を通して敵国にもれないことのほうが優先>という当時の日本のポリシーと変わりのない、自決用の1ドルコインをスパイ飛行士に持たせていた事も、包み隠さず描く。 橋の上での捕虜交換時も、アベルが「引き渡されたあと、自国の関係者に片寄せ抱き合ってもらえるか、あるいは黙って後部座席に座らせられるか」という話をしていて、それはつまり肩を抱かれれば”信用”、黙って乗車させられたら”不信”ということだという意味なのだが、ソ連側関係者はアベルを黙ってクルマに乗せたのに対して、アメリカ関係者はパワーズを笑顔で抱き寄せて”信用”のフリをしながら、実際飛行機に乗せたあとは、パワーズを全員が完全シカトというアメリカ関係者の裏表の表情も、サラリと描く。 そんなふうにアメリカのダークな部分も包み隠さず描くことで、ドノヴァンという”アメリカの良心”をより際立たせているのが本作だ。 そして私は本作を「シンドラーのリスト」「リンカーン」と並び、スピルバーグの描く伝記映画としてとらえたい。「ブリッジオブスパイ」は、スパイの仲介者という意味であり、それはそのまま、ドノヴァンのことである。タイトルをあえて「ドノヴァン」にしなかったあたりは、彼がシンドラーやリンカーンほど世界でよく知られた歴史上の人物ではないからかもしれない。だがこの映画を通じて、ドノヴァンはアメリカの良心、アメリカの正義として世界に広く認知されることになった。 【フィンセント】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-26 22:41:31) |
38.カメラ、照明、美術なんかは、もうまさに安定のスピルバーグで、画面の構成を見ているだけで140分がまったく退屈しない。加えて、そこに存在するだけで場の空気感まで変えてしまうマーク・ライランスの名演も見事(後半ほとんど登場しないのが残念ですが、話の構造上仕方ないか)。なんだけどそれでもなぜか食い足りない印象が残ってしまうのは、高水準の、そして手際の良い再現ではあっても、その中で登場人物があまり動いてないというか、呼吸してないんです。演出側の計算は全部反映しているんだけど、その計算の範囲からまったく外れていないというか・・・。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-06-23 01:47:54) |
37.《ネタバレ》 ソ連、東ドイツとの交渉、その後のキューバとの交渉においても、相手側がジェームズ・ ドノバンという人物を信頼できる人物と認めたため、交渉が成立した。 ソ連、東ドイツ、キューバがなぜ、ジェームズ・ドノバンを信頼したかについて、 アメリカ国民の反感に臆せずアベルの弁護を続けた様を映し、説明した映画です。 交渉において、相手がその人を信頼することが大事。 映画としては、もう少しドラマ性を持たせても良かったかもしれないが、 本作のように、淡々と映すやりかたも悪くない。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-05-03 11:19:37) |
36.《ネタバレ》 亡命であったり祖国から逃げられることの国にとってのデメリットが分かった気がします。しかし、ソ連がなくなり、ベルリンの壁が崩壊した時代に生きているのはすごいことですよね。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-17 23:26:25) |
35.《ネタバレ》 冷戦時代は私は小学生だったでしょうか。 子供心にアメリカとソビエトは大きくて怖い国と思っていました。 そしてソビエト連邦が無くなった時、世の中こんな事が起こるんだ! 人生でベスト3ぐらいの驚きでした。 そんな訳で冷戦の事はほとんど知らなかった私に、捕虜交換で活躍した民間人がいたのだと本作は教えてくれました。 アメリカ人も私と同じくソビエトは怖いと教えられていた為、スパイの弁護をしたドノバンは本当に大変だったのでしょう。 そんなピリピリした雰囲気をアベル役のマーク・ライランスさんは、リアルでその上淡々とした演技で作品に深みを与えました。 あたかも本当のスパイのように感じられ、緊張感を高めました。 それから特典映像のピッグス湾事件、キューバとの捕虜引き渡し交渉もドノバンの功績と知り、二度びっくりしました。 戦争をやらないと言う事の重み。 平和で交渉しながらやっていく事の素晴らしさを本作から学びました。 【たんぽぽ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-01-09 14:52:15) |
34.《ネタバレ》 何となくスピルバーグの作品は最近冴えないなと思い、トムハンクスもそこまでお気に入りの俳優ではなかったですが、この映画はとても楽しめました。交渉のすごさも視聴者にわかりやすく伝わり、素人でも感心してしまいます。映画の長さも気にならない、良作だと思います。 【珈琲時間】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-01-09 13:22:22) |
33.《ネタバレ》 トムとスティーブンが組むと間違い無いですね。映画が無かったら知らなかったかもしれないです。 【osamurai】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2017-01-04 18:41:31) |
32.《ネタバレ》 普通ならこんな依頼は断るよね。 面倒くさいし周りから酷い扱いされるし。 これが実話というのはすごい。 【虎王】さん [DVD(吹替)] 6点(2016-12-21 15:50:46) |
31.《ネタバレ》 中盤までは緊迫感もありけっこう面白かったのだけど、舞台が東ドイツに移ってからがなんともつまらない。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-11-20 00:04:04) |
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30.冷戦時代の話だけあって、大きな見せ場もないのに、なんか、ハラハラドキドキ感がすごかった。皆さん書いてますが、ソ連のスパイ、アベル役の俳優さんの演技が際立ってる。本当にソ連のスパイっぽい。って思ったら、アカデミー助演男優賞なんですね。知りませんでした。 【木村一号】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-10-26 22:16:49) |
29.二兎を追う者は…っていう諺が染みついてるんで、ドノバン氏の行動には戸惑った。どうしても動機の弱さが気になる。とまあ、それはともかく秀逸なのがアベルパート。冒頭で明らかになるんで、ネタバレも何もあったもんじゃなく、彼はスパイである。その「アメリカの敵」を弁護するアメリカ人。周囲の冷たい目はやがて家族への攻撃にも繋がる。それでもなお職を全うしようとする姿に「アラバマ物語」のグレゴリー・ペックが重なった。弁護人とスパイ、二人の心の動き、ふれあいが面白い。そしてこれを演じる俳優二人。トム・ハンクスは今更言うまでもなく素晴らしいが、マーク・ライランス? 失礼ながら名前すら存じていなかったが、見入ってしまった。脚本自体は7点、名優たちの演技を加味して8点。いやぁ、いい映画を観た。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-10-24 16:37:00) |
28.見終わって、エンドロール見て初めてスピルバーグが監督だって知ったよ。どうりで途中で淡白な演出が随所にあったなー。こんな映画作ってる暇があったらスターウォーズの監督してくんないかな。 【センブリーヌ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2016-10-09 02:18:28) |
27.《ネタバレ》 橋でソ連側が抱かれないところだね。 【すたーちゃいるど】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-09-22 11:07:06) |
26.《ネタバレ》 スパイとありますが、007とかの派手なものじゃなく、一応、飛行機の墜落シーンやベルリンの壁が建てられるシーンなどの映像的に面白い箇所もありますが、全体のトーンとしてはひたすら地味です。しかも主役はスパイじゃなくて弁護士。でも僕みたいな派手映画好きな者でも途中から普通に楽しめました。この映画のどこらへんに惹かれたかとゆーと、それはもう主役のプロとしての仕事っぷりです。流されずしっかり自分をもって、目の前の仕事をしっかりこなす姿ってのは、単純に観てて気持ちいいです。ベルリンでの交渉にはビックリしました。普通の発想ならやらないですよね。そんな無茶な交渉。でもやる人がいるんですよね。しかもそれの伏線が最初のほうのセリフにちゃんとあって、なんか納得。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-09-20 18:11:33) |
25.面白かった。外交的な駆け引きも見れて。もちろんトムハンクスの名演技あってこそ。マークライアンスも存在感発揮していたけど。ほぼ二人芝居って言ってよいな。ほかかすんでみえるくらいだし。調べたら助演男優賞、やっぱり!前半で当時の状況説明を行い、それ踏まえてベルリンに舞台を替えて緊張感を出す。スピルバーグはやっぱりすごい。良作。 【タッチッチ】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-09-10 17:52:35) |
24.決してストーリーが良いわけではなく、スパイ映画のように山場があるわけでもない。でも、おもしろいと思えるのは史実であるということと、ぶれずに仕事を全うした生き様が感じられたから。ピッグス湾事件よりもこっちを題材に選んだのはスピルバーグらしいかな。 【ラグ】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-09-06 21:09:57) |
23.実話だからストーリー云々は言えないが、セリフが多くて疲れた・・・ 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-08-30 22:02:27) |
22.《ネタバレ》 真面目にちゃんと自分の仕事をする大人の男を描いた作品のはずなのだが、どっかから弁護士の仕事を逸脱していなかったか。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-08-14 08:35:06) |
21.《ネタバレ》 よく「水面下」で色々政治的なことが行われてるというけど、なるほどこういう事なのか、といった映画でした。スピルバーグにしてみれば、2枚舌(1.5枚舌?)交渉の現場のダイナミクスを映画にしたかったのではないでしょうか?スピルバーグの天才的な演出も随所に見られ、面白かったです。しかし「リンカーン」もそうだったけど、セリフが多いよね。次回作はもっと演出で画面に引き込まれるような作品を創って欲しいなぁ。「インディジョーンズ」かな?次は? 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-08-13 21:17:06) |