9.《ネタバレ》 描かれた事件そのものは1980年の韓国の史実としてとても興味深かったし
実在するが正体不明の支援者タクシー運転手は、設定的にフィクショナルだがそれ故映画の造り易さに貢献した。肖像権の許可がいらないだろう
要するに、事実をもとにした作品の割には淡々としない、盛り上がる映画だと思う
軍上層部の内情が見えないのは一市民の目線で描かれているためやむを得ないが、そのため報道管制下の軍の暴虐の描かれ方はやや不透明
基本的に主役の運転手が目にしたものしか映像にも映らない。やり過ぎて嘘を描くことになるのを嫌ったともとれるし、
未だに詳細情報が得られない事件という側面があるのかもしれないが一観客としてそれは不明
本当に軍上層部的な場面が全くないかといえば実は例外的に外国人リポーターをマークする軍部署のシーンだけは目線がブレる
いかにも事実と異なる創作らしく見え、浮いたシーンに感じる。痛し痒しではあるが
それに限らず、残念なところがないでもない
副題「約束は海を越えて」は、萎える。これは配給した日本国内側のせい。本編で萎えるシーンはというと、やっぱり逃走時のカーチェイスだろう
百歩譲って、検問の前段からカーチェイスなら劇映画として理解できないでもないが
見逃そうとした検問隊長の気持ちがフイになってしまって、だったら厳しい悪役のままでいてほしかった。あまり良い構成と思えない