23.小津映画初のカラー作品ということで、タイトルテロップも白黒に加えて赤文字が挿入され、冒頭のカットは東京駅の赤煉瓦がまず映し出されます。なんか、巻頭カラーページに載ったマンガみたいに、無邪気にカラーを楽しんでる感じがします(笑)。赤いヤカンやラジオも印象的でした。内容的には、父親のほうに感情移入しちゃいました。「お父さんには言ってもわからないわよ」と蔑ろにされたら、そりゃイラッとしますよ。だから、「お父さん(お母さん)は全然私の気持ち分かってくれないのよ。勝手なのよ」と女性陣が言うたびに「それはお前自身のことだろー!」と突っ込んじゃいました。ただ、そのままの勢いでいつまでも結婚に反対していると、田中絹代母さんからの手痛い反撃が!いかん、やりすぎた!とお父さんも思ったことでしょう。阿修羅のごとく表情を変え、服をパタンと床に落とすお母さんのあの迫力は圧巻。田中絹代の凄みを見て、思わず「ウホッ」となってしまいました。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-07-13 02:51:08) |
22.モノクロがカラーになろうとも、どこからどこまでも小津映画だ。立体感を意識したカメラワーク、独特の台詞まわし、一目でそれとわかる。テーマもまた娘の結婚問題だし、中村伸郎・北龍二といった同窓会メンバーも小津映画だ。 この当時は親の承諾がないとなかなか結婚できない時代、一家の主をさしおいて縁談が進むと不機嫌になるのは佐分利さんだけではなかろう。 この映画でひとつ気になったのは、佐田啓二扮する谷口が佐分利信の会社に現れたとき、応接室でなく常務の部屋に直接通されたこと。このときは相手がどういう人物かわかっていなかったはずなのに・・・。 ところで笠智衆さんが主役(東京物語)になっても、佐分利信が主役になっても、平山さん。いや主役でなくても多くの小津映画に平山さんがたくさん登場するのはどうしてだろう。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-07-09 22:43:11) |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-05-15 21:29:21) |
20.《ネタバレ》 男とは父とはこういうものではないかと思います。広島へ向かう電車で父は流れる景色を見るのでしょうか?車窓から見える景色のように遷り変わっていく時代を切り取ると共に、ライフステージのように多くの駅を経過し続いていく線路に人生を重ねてしまいます。 |
19.年頃の娘をもった父親の、複雑な心情を描いたドラマ。 小津監督お得意の父娘もので、ストーリーの安定感は抜群だし、キャストも凄い豪華、 安心して観ていられる。主人公の佐分利信は確かに頑固そうなイメージはあるが、 かなりの鉄仮面でボソボソしゃべるので、時々刑事のように見えて、最初はちょっと戸惑った。 奥さん役の田中絹代は今回は控えめ。娘役の有馬稲子や桑野みゆきが若くてきれいだった。 演出面に関しては言うことなし。相変わらずの小津節を存分に見せてくれる作品。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-30 04:22:52) |
18.《ネタバレ》 父親は「感情」で考え、母親は「論理」で考える。母親というよりも、出てくる女性が皆「論理」派だ。見てるだけだと論理で考えている人達のほうが賢く見える。でも、仕事場に急に娘の彼氏が来て、「娘さんください」って言われたら、条件反射で反発しちゃう気持ちもよく分かる。あとはそこで、どのタイミングで論理で考えるきっかけを差し込めることができて、シフトチェンジできるかだ。父親は頑として論理で考えたくなかったんだろう。考えてしまうと、娘を嫁に出すのが正解に決まってるので。子離れしたくない!と駄々をこねてるだけ。娘が嫁ぐか嫁がないかっていう、毎度の小津作品とたいして変わらない設定だけど、主役を父親にしただけで違った見え方になってた。 【VNTS】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-09-02 23:22:30) |
17.《ネタバレ》 父親が大切に育ててきた娘をやりたくない気持ちは今も昔も同じだろうが、自分が決めた男と結婚させたい父と、父から反対されても好きな人と一緒になりたい娘の対立はこの時代ならでは。その中で二人の間に入ってクッション役を務める母(田中絹代)の優しさがとても印象的。例え防空壕の中であっても家族4人が寄り添って過ごせた時代を懐かしむ…。娘が嫁に行って寂しいのは親なら同じという事だろうか? なんだかんだで幸せを描いた映画であり、微笑ましい演出も多い。ただ、佐分利信は昭和の頑固オヤジを通り越して、大物政治家や財界人などの権力者に見えてくるからちょっと困る。小津映画ってことで言うと、山村聰あたりならどうなっただろうと想像してみたり…。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-01 20:30:16) |
16.《ネタバレ》 小津映画を二日で続けて三本観たのもあって、登場人物が混乱してしまった。 主人公である父親の飲み仲間がいつもあの二人なのは勘弁して欲しい(笑) 今回の父親はいつもの笠智衆と違ってなかなか同調しにくかったが、それでも 昭和の父親の不器用さとわかりづらい愛情の深さに自分の父を投影した。 (まぁウチの父親は「お前まさかあの男と(婚前交渉を…)」なんて野暮なことはいわなかったが) 『忙しいんと違いますか?』と言いつつ長話をする女将と『アンタの話長くなると思ったから、先にトイレに行って来たのよ』と話す主人公の妻。 そして玄関横で逆さまになった箒を女将自らが元に戻すシーンはほのぼのと笑えた。 全体を通してブレない母親の強さみたいなものが強く強く印象に残った。 「バカヤロゥ」「ハイボール。いつもの、普通の、国産の、安いの」お調子者で憎めない平社員近ちゃんいい味出してんなぁと思って調べてみたら、この映画の翌年に自動車事故でご逝去されていた。32歳。佐田啓二といい早すぎる死が惜しまれる。 【りんす】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-19 18:41:01) |
15.《ネタバレ》 ピークをずーっと待っていて「そろそろ泣く用意しとかなきゃ」と思いつつ、結婚前夜や、結婚式とどんどんスキップされ、最後まで感動的なシーンを省いたところで、してやられた事にやっと気付く。そんな上質な時間を過ごしました。最後にこれだけ書かせて下さい。山本富士子にメロメロです! 【オニール大佐】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-08-19 19:28:51) |
14.《ネタバレ》 小津映画によくあるお話だが、カラーであることを存分に活かした撮影と、小津らしい演出が光っている。普通なら披露宴のシーンで泣かそうとするものだが、小津はバッサリ飛ばしている。後の会話から連想させる辺りがニクい。頑固親父が妻との電話で内心を見透かされ、わかっていると何度も言われるシーンが非常に面白い。いつもの「結婚」がテーマだが、一味違って良かった。 【TOSHI】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-06-03 23:34:43) |
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13.《ネタバレ》 “メタボ”佐分利信。 星野仙一バリ、田中角栄バリのカミナリ親父ぶりを十二分に発揮。 最初は悪役に回り、最後は従順な一面を見せて、父親としての理解を示す。 まあ、小津作品を見慣れた人ならすぐに予想できる内容です。 しかしながら、内容が読めるとか読めないとか、そんなことは小津作品を観るに当たっては、さして重要なことではありません。 小津ならではの様式美に支えられた画面の中で、ゆっくりと進行する人情劇に気持ち良く身を委ねれば良いのです。 それにしても、会話のシーンがとても個性的というか、ぎこちないというか。 もちろん、小津監督は狙って演出しているのですが、これは何度観ても、なかなか慣れることができません。 というか、いつから小津監督の撮る作品は、こんな感じになったのでしょうか。 完成された小津様式といったところなんでしょうが、画面がセリフごとに忙しなく入れ替わる、あの撮り方は一体、どんな意図があるんでしょうか。 まあ、それはそれとして、小津監督の後期カラー作品は、色鮮やかでとにかく綺麗です。 あんなカラー映像を撮れる監督は、世界広しと言えど、小津監督しかいないでしょう。 本作は、遺作である『秋刀魚の味』と似たテイストの作品ですが、個人的には、テンポ良く、小気味良く進んでいく『秋刀魚の味』の方が好きですね。 本作はさすがにゆったり過ぎたような気もします。 でも久我美子を、あんなチョイ役に使うだなんて、なんて贅沢な作品なんでしょう・・・ 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-11 22:18:39) |
12.《ネタバレ》 「親の心、子知らず」「親はなくとも子は育つ」そんな映画。自分の意思とは別のところで大人となり巣立ってゆく娘への複雑な想いを、情感とユーモアを交えて描いてゆきます。佐分利信が頑固親父でありながら、気が付けば周囲の女性達に振り回されっ放しなのが可笑しくもあり、哀しくもあり。祇園の母娘なんぞ、耳に心地良い関西弁で最高ですなぁ。さて、小津作品で毎回反復される「画面奥に切り取られた空間を横移動する人」「椅子のある空間、ない空間」が今回も当然の事ながら登場するのですが、も、もしかしてそれって結構深い意味があるのでは?なんて今になって気付き始めたり。「画面奥に~」は家に対する外側、つまり社会の象徴、「椅子」は畳の床続きの状態が、人と共有される事で家族を象徴する空間なのに対して、一人で腰掛ける状態である事で個人を象徴してるとか? うう~ん。漫然と映画を見ていないで、もっとアタマ使って見ないとあきまへんなぁ。それはともかくとして、この映画は時代と共に変わりゆく意識を描いておりますが、今は逆にこの頃の意識に立ち返る必要も出てきているんじゃない?という世の中でして、個人主義も行き過ぎると大切なものまで失いかねないのではないかなぁ、と同窓会の面々の表情を見ながら思うのでありました。 【あにやん🌈】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-11 01:17:15) |
11.《ネタバレ》 小津映画はこれで3作目だったのですが、やはり退屈感は否めませんでした。この作品では”頑固親父”という散々見てきたテーマだったのでコレといって感動することもなかったです。ただ、相変わらずの静止画や音楽の美しさには感服でした。映画というより、絵画や写真を見ているような気持ちになりました。 【maemae】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-02 23:26:47) |
10.《ネタバレ》 小津安二郎監督初のカラー映画。冒頭から映し出される東京駅の駅舎や、赤いやかんなど、映像的には小津監督が初めてのカラー映画を色にこだわって楽しんで撮っているのが感じられる。でも、それに酔うことなく小津監督らしい作品になっているのが良い。娘の結婚という小津作品ではお馴染みのテーマでつい父親役は笠智衆と思ってしまうが、この映画では長女(有馬稲子)の結婚に反対する頑固親父を佐分利信が演じていて、こういうキャラだと笠智衆よりも佐分利信のほうがしっくりくるし、実際、すごくハマっている。それに、この主人公・平山を見ているだけで面白く、それが本作全体の面白さにもつながっていて、つい最後まで引き込まれて見てしまった。友人(笠智衆)の娘(久我美子)に「結婚は自由であるべきだ。」と言っておきながらいざ自分の娘のこととなると「不賛成だね。」と言い出すこの父親の堂々とした姿はハタから見ると笑えるのだが、同時に素直になれないもどかしさもどこかにあるのではと思えて、そこらへんの心理描写も巧みで見事。「人生は矛盾だらけなんだ。」と開き直る彼の姿からはそういった葛藤の跡も垣間見える。山本富士子と浪花千栄子の京都の親子コンビが強烈に印象に残るのだが、彼女たちの京言葉が美しい。部下の近藤(高橋貞二)が平山と一緒に酒を飲んだ翌日の夜、同じ店で一人で飲んでいるところに平山が現れるコントのようなおかしさも良かったが、やはり本作は平山の妻を演じる田中絹代に尽きるのではないだろうか。控えめでありながらも旅行先で戦時中に防空壕に家族一緒だった時が幸せだった話をするシーンや、夫の矛盾を指摘するシーンの力強さがすごく、存在感と説得力をものすごく感じることができた。クライマックスとなる長女の結婚式のシーンを描かないのも小津監督らしいが、ラスト、京都の親子の計らいで長女の嫁ぎ先である広島に向かうことになった平山の列車内の様子で終わるというのが、心地良い余韻を残していて、見終わった後、なんともいえない満足感に包まれた。昔に見た時はあまりピンとこなかった映画だったのだが、今見ると素直に名作だと思える。(2024年2月12日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-04-21 01:26:08) |
9.日本では、この映画で描かれているように、真剣な話は「ま、ちょっと座れ」からはじまっていた。その文化が消えてしまったのが『解夏』である(←別れ話を立ってする恋人たちが描かれている)。時代はめぐる。本作は小津作品のなかでも京都が出てくる数少ない作品だが、祇園の細い路地のシーンは、狭い空間をうまく写す小津のカメラにぴったりの素材だと思う。もっと京都を撮てちてくれれば…。 |
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7.「ただいま」「おかえりやす」京都の言葉、つまり京言葉っていうやつです。これが本当に何とも良いなあ!そう思わせてくれます。小津作品全てに共通して言えることの一つに言葉の大切さ、家族の有り難さをしみじみと描くその雰囲気、いかにも日本的で観ていて何だか安心出来るのです。小津監督独自の人間の撮り方、これはカメラマンの力も大きいと思います。良い映画というのはそういうものだと小津監督の作品を観ることで、観れば観るほど思う今日この頃です。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-14 21:25:27) |
6.わたしにとって、やっぱり、小津は、笠智衆と原節子です。二人がでてくれば、そこに家族愛があると素直に頷ける。そして結婚などでそれが崩れてゆくとき、得もいわれない感慨に浸ることが出来る。あの人を食ったような、やや軽薄なメロディも、笠智衆のバックに流れるのなら、違和感もない。そして全体として、神話的な空間が拡がってゆく。、、、、、、この作品の、佐分利信はどうなんでしょう。小津の作品にあっては、どうも存在感、生命感が強すぎるのではないかと。或いはあまりに偉そうというか、、、、、。小津作品のマンネリ・テーマにちょっとしたアクセントを加えるという趣はあるのかもしれませんが、なんか浮いているという印象をぬぐい切れません。それに娘である有馬稲子のことを可愛がって、愛しているという雰囲気がいまいち伝わって来ないというか。娘を嫁にやった哀しさも伝わってこないし。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-07-31 10:45:42) |
5.《ネタバレ》 場面転換で流れる極上の音楽、α波がギンギンに出てきてとても心地良い。有馬稲子の芯が強くしかし淑やかで美しい演技、父親と恋人の間で揺れる娘を見事に演じきる。山本富士子(超美人)の味わいがあってどこか艶っぽいポンポン出てくる関西弁も耳に届く度に嬉しくなる、こんな経験は初めてです。なんてたってラストがいい!ハリウッド映画だったら父親と駅で再会して思い切り抱き合うなんて終わり方かもしれませんが(ハグの方が正しいか?)小津監督はそんな下世話な事はせず淡々と電車にのる父親の姿で終わる。これだけで充分父親の寂しさもその反面にある嬉しさも伝わってきます。血がドバーッと出たり、クモ男が高層ビルの間を駆け回るわけでもない。だけど俺にとっては、この映画だって超一流のエンターテイメントムービーだ!! 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 10点(2004-11-02 23:40:05) |
4.“親バカ”とよく言うけれど、その意味でバカでない親なんて多分いないんだよね。有馬稲子がキレイ。情感豊かに、哀愁たっぷりに物語を紡ぎつつも、ベトベトしない小津のストーリーテリングはさすがという他は無い。僕はこれが日本映画の最高傑作のうちの1本であると信じて疑わない。 |