162.彼女たちは出会った方がよかったのか,それとも出会わなかったほうがよかったのか。観客は,二人の行く末をわかっていながら,あ,あ,と見ていることしかできないし,結末も後味はあまりよろしくない。けれど最後まで見てしまう。実話,とか超絶メイクの話題性もあるだろうけれど,彼女らの不安定な絆は妙に惹きつけられるものがあった。演技派二人が作り出した危ない関係は,バッチリ観客の心を捉えたようです。 【さそりタイガー】さん [地上波(字幕)] 7点(2009-06-21 20:20:32) (良:1票) |
161.《ネタバレ》 モンスターというタイトルから残虐・無慈悲な連続殺人犯を想像してたら、随分違いました。 この“モンスター”という単語はリーだけでなく、セルビーのことも、社会全体のことも指してるような気がします。社会的弱者として蔑まれながら生きてきて、抜け出そうとしても、救いの手も無ければ好意の眼差しも無い。小さいことの積み重ねでちょっとずつ歪んでいってしまった結果が、連続殺人犯リーを生み出してしまった。 もちろん、どんなに好意的に見てもリーが自分で言うように「良い人間」とは思えないし、そういう立場の人間が皆犯罪を犯すわけではありません。でも決して彼女が特別な人間だとも思えませんでした。それがなんとも悲しくて、観ていてつらかったです。 【Trunk】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-02-09 20:32:27) (良:1票) |
160.B級モンスターパニックに紛れていたため(苦笑。題名のせいか)何の予備知識もなく観た。最後のテロップで実話に基づいていると知った。また後から主役を演じているのが美人女優として名高いシャーリーズ・セロンであること、相手は子役から出ているあのクリスティーナ・リッチであることに気付いた。そしてセロンの“女優根性”が話題になったことやアカデミー賞受賞を知った。今思えば、話題作を何の予備知識もなしに観れたのはラッキーだった。役作りの話題、実話物であること、犯罪物であることすら知らずに観たのに、作品の力に圧倒されてしまった。よって、私としては相当高い評価が出来る作品。偶発的に最初の殺人を犯してから、殺人を繰り返すようになってしまう女性。不幸な生い立ちを背負いつつ、いつか来る幸せを夢見る少女だったのに。セルビーとの逃避行は息も詰まるようだ。あとからアイリーン・ウオーノスの伝記を見ると、映画では描かれていない背景は多々ある。しかし、映画というのは欲張りすぎると失敗するので、セルビーとの関係に的を絞ったのは成功だろう。裁判で冷たくアイリーンを指差すセルビーが印象に残った。 【あっかっか】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-01-14 13:44:57) (良:1票) |
159.なんでシャーリーズ・セロンをキャスティングしようって思いついたんだろう…。この映画のために増量したので、キャスティングの時点ではまだ美しいシャーリーズ・セロンだったわけですよね?アイリーン役=シャーリーズ・セロンって結びつけたのが不思議で。しかもこれまでの作品では「演技派」ってイメージもなかったし。普通はもともと太めでそれほど美人じゃない女優を使おうって考えると思うんですけど。でも結果的にオスカーも獲得して大成功。すごい賭けだと思います。 そして撮影が終わるとまたもとの美貌に戻りました。映画のために増量したということより、すぐに元の美しい体型に戻れるところに「女優魂」を感じました。 【きむねぇ】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-06-27 00:42:14) (良:1票) |
158.シャーリーズ・セロンの役作りには感服しました。10kgの体重の増加と特殊メイクでかなり本人に似ています。7人を殺した連続殺人犯なのですが、実際この事件の真相が曖昧なため、実話に近いと言ってもどこまで忠実かわかりません。逮捕の詳細は描かれていませんでしたが、個人的には逮捕後も細かく描いてもらいたかった。物証が弱かったため死刑を避けようと思えば避けられたのが、最愛の人に嫌疑がかかるのをさけるために自白する。そして、最愛の人に裏切られたのが原因でか、悪態をついたり死刑を求めるようになる。当然、犯した罪を償うのは当然のことだが、その背景を知るとやりきれない思いになる。 【茶畑】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-03-08 23:50:53) (良:1票) |
157.シャーリーズ・セロンは、体重を増やして肌と歯並びを汚くすれば醜い中年女になるけど、そのへんのおばさんがダイエットして、肌の手入れをし、歯をきれいに直しても、美人女優にはならんわな、などとしょうもないことを考える。 無教養で粗暴で身勝手な主人公を見ていると「トラッシュ」と呼ばれる所以がよくわかる。しかし、同じ境遇なら、だれでもこうなるかもしれない、という可能性も同時に見えるように作られているので、正直、あまりのイタさにへこむ。とくに、事務職に就職しようと奔走するあたりなど、コメディすれすれである。 クリスティーナ・リッチも、セロンほどじゃないにしろ、役のためにかなり太めになっていて、ぱっとしない田舎のおねえちゃんを演じている。相手が同じ女性だから依存心の固まりみたいに見えるが、これが男女のカップルだったら、小娘のずるさや身勝手さも、あまり目立たないような気がする。 主人公が刑務所から恋人に電話するシーンで、女優の本来の美貌がかいま見えたように思えるのは、見ている側が愛というものに幻想を抱いているせいかも。 【yhlee】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-07-22 17:23:29) (良:1票) |
156.《ネタバレ》 自分を愛してくれる人のために、という一心から自己犠牲を払いつつ、善人をも殺さざるを得なかったアイリーンの胸の内には、すさまじい葛藤があったに違いない。極度の不安から短気になり、体を震わせ、体を縮めて泣きじゃくるモンスター。似顔絵を公開されてセルビーを解放する彼女が、たまらなく哀れだけれども立派だった。幼い弟たちを養った経験のある彼女だからこそ、ソウルメイトを手放す勇気が持てたのかもしれない。自己犠牲を払って他を救い、主人公が自滅するストーリーは、昔はドラマやアニメ、映画などいくらでもあったと思うけれども、久々にお目にかかった気がする。目が腫れあがるほど泣きました。 【tony】さん [DVD(字幕)] 10点(2007-07-15 23:01:55) (良:1票) |
155.《ネタバレ》 なぜ、アイリーン役がシャーリーズ・セロンなのか。実際のアイリーンが綺麗じゃないなら、特殊メイクをほどこしてまでシャーリーズを起用する理由がないじゃないか。宣伝のためにシャーリーズを起用したんじゃないか…など、色々意見はあるようですが、どうも(推測ですが)シャーリーズの生い立ちがアイリーンと重なるところがあることが関係しているのではないでしょうか。 ~(以下、Wikipediaより)1975年、南アフリカ郊外ベノニで道路建設会社を経営していたフランス系の父親チャールズと、ドイツ系の母親ゲルダの間に一人娘として生まれる。一家は幼い頃からアルコール依存症の父親による家庭内暴力に悩まされていた。シャーリーズが15歳の頃、晩に酔って帰ってきた父親に暴力を振るわれ、娘の命の危険を感じた母親が父親を射殺してしまうという事件が起きる(母親に対しては、正当防衛が認められた)。~ 似たような過去を持つ二人だが、シャーリーズはアイリーンが夢見ていたスターという光の道を手にする。対照的に、暗闇へと落ちていったアイリーン。一歩間違えたら、この二人は逆だったのかもしれない…。そう考えると、現実というのは本当に妄想とは違うと感じる。そんな過去を持つアイリーンだからこそ、シャーリーズはこの役を引き受けたのではないかと思うし、素晴らしい演技ができたのではないか。そして、ラストの電話越しでのセルビーとの会話、裁判所でのセルビーの表情があまりにも印象的。最後まで、セルビーを愛し続け擁護したアイリーンと、自らの幸せのため保身を考えたセルビー。セルビーはもともと、幸せになりたいと思っていただけだし、そういった意味でもやはり純粋だったのかもしれませんが…本当のモンスターはこの純粋さかもしれません。 【グングニル】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-05-13 18:14:29) (良:1票) |
154.どんなに素晴らしい作品に出逢っても、レビュー出来ない自分の筆力の低さ、語彙の無さにただただ虚しくエンドロールを見つめながらエンディングを静かに聞くだけが精一杯だった作品。 【成田とうこ】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-11 23:13:25) (笑:1票) |
153.《ネタバレ》 「人生は綺麗事では片付かず、置かれた環境で決定する」 これも一種の格差社会なんだろう。 一度道を踏み外した者に対して、世間は怖いくらい残酷で容赦がない。見下すだけならまだマシな方で、そこから這い上がろうと必死に頑張る人をさらに突き落としたりもする。やりなおすチャンスなど誰もくれないし自分でも掴めない。 これを観た後つくづく自分は幸福だったんだと思う。やりたくもないことを生きるためにやらなければならず、しかしやればやるほどに罪の意識が増していく。そんな環境で自分ならと思うと、生きていられる自信がありません。 ある意味、アイリーンはすごく神に対して真摯に向き合っていたのではとも思えます。最後まで無感情に人を殺したりしなかったし、後で後悔の念も持てる。それすらない犯罪者もたくさんいるだろうし、彼女をして「モンスター」と呼ぶのは可哀想すぎる・・・。 セルビーもあんな決着のつき方で後の人生すっきり生きられるんだろうか。自分勝手さではむしろセルビーの方が嫌悪感を覚えるし、せめて同罪で決着して欲しかった。まぁ実話の話にそんなこと言っても仕方ないですが。 これ観る前に同じシャーリーズ・セロンの『イーオン・フラックス』を観たんですが、これまじで同一人物か!?Σ( ̄□ ̄;) てゆーか、役作りもけっこうだがその役に近いキャストを最初っから選べばいいだけのことではないのだろうか。役そのものより、上映前から話題だった「この役のためにセロンは13kg太った」とかそういうキャッチコピーが鼻につきました。そういう映画自体と関係ないところでの宣伝はやめて欲しい。 カメレオン俳優はデニーロだけでたくさんです。 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-11-12 02:21:40) (良:1票) |
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152.ある猟奇殺人犯をモデルとした映画という物は多数存在するが、ここまで伝記に近いものというのは画期的であった。それも題材はあのアイリーン・ウォーノスである。人間が連続殺人という猟奇的な行為に走ってしまう背景、それも女性のケースであるこの事件ほど個人的に興味深い題材というものは無い。ハードボイルド小説でもホラー小説でもない。アメリカンニューシネマでもない、実話であるからこそ漂う虚無感。理解や同情など関係ないしする必要も無い。これはこの社会の中で起きた実話なのだからもうどうしようもないのだ。彼女はモンスターではなく、社会の構成員であったがある時から構成員でいることが出来なくなった1人の女性である。自己の欲求であったりすることが多い男性の連続殺人犯のケースとは重ならないことが見て取れる。信じがたい狂演を見せたシャーリーズ・セロンはもちろんだが、クリスティーナ・リッチの相変わらずの怪演ぶりにも完敗。 【Arufu】さん [インターネット(字幕)] 9点(2006-08-12 18:50:28) (良:1票) |
151.悪くない。シャーリーズ・セロンの演技だけで評価するなら10点だろう。どこまで本当の話なのか分からないが7人を殺害したアイリーンではあるが殺された相手はみんな女を「買った」男たちである。(事実が映画通りだとすれば最後のおじいさんは違う)アイリーンの身勝手さで殺された男たち。女性に対して身勝手な男たち。そこをじっくりと考えるとアイリーンの悪態にも同意出来る部分がある。人を殺していいということではないのだが。ひとついえるのは、「教育」は大切だと思った。もし、アイリーンが「堅気になろう!」とした時にそのやる気を受け入れる所があれば・・・罪を犯した人間に必要な事は罰だけではない、と感じた。 【蝉丸】さん [DVD(吹替)] 7点(2005-12-18 19:42:43) (良:1票) |
150.《ネタバレ》 …壮絶の一言に尽きますね。確かにこれでアカデミー賞を獲ったシャーリーズ・セロンは当然だけど、その反面「これがアカデミー賞なの?」という気もします。シャーリーズ・セロンとクリスティーナ・リッチの絡みと聞いたら普通もっと色っぽいものを期待しそうだけど、まさかあんなになるとは(とか言ってたら俺がブッ殺されそうだが)。物語は後半、まるで『チャップリンの殺人狂時代』のアンリ・ヴェルドゥのようにサクサクと男を殺していくアイリーンの姿が印象的です。幼い頃から大人にレイプされ、散々男に弄ばれてきた彼女。それだけにその鬱憤が一気に爆発したかのように次々と男たちを殺害していく。一度壊れた歯車は止まることなく加速し、やがて最後の命乞いをした客に「神様、お許し下さい」と呟きながら引き金を引く。彼については彼女も殺したくなかっただろうし、事実殺すべきではなかった。それでも殺さなければならなかった、もはや必然。これをアイリーンに殺された被害者の遺族の方達が観たら憤怒するだろうけど、何故こういうことが起きてしまったのかという犯人のバックグラウンドを知ることも含めて、いくら冷酷無比な殺人鬼とは言え夢や希望を打ち砕かれて生きてきた彼女には同情せざるを得ません(但し、この映画で描かれているキャラクターだけについて)。ここ近年の同性の悲劇のラブストーリーを描いた作品としては、デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』と双璧です。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-06 15:27:43) (良:1票) |
149.シャーリーズ・セロンさんの凄まじい役者魂に感動しましたと同時に「俺のセロンちゃんを返せ」と思いました。ずっとスティーブ・ブシェーミに見えてしまつた。 【ケムール人】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-20 20:26:36) (笑:1票) |
148.違うと思う。いくら実在した犯人が美でなく不美人であったとしようとも、なにもあそこまで意図的にブサイクに作り上げる必要ってあったのでしょうか。これって実は殺人犯に対する民間的な罰ゲームってことになっていませんでしたか?そんなふうに思えてなりませんでした。美のセロンがいちいち養豚のようにブクブク太り特殊メイクまで施して彼女を醜い姿に見立て演じた事にちょっと嫌悪感をもってしまう、普通にやれなかったのでしょうか、絵的にもう二度と見たくない作品になってしまってましたね。 それにこれって軽~く侮辱罪には当たらないのでしょうか、死人に口ナシとはいいますが・・ 【3737】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-07-01 23:37:09) (良:1票) |
147.C.セロンのメイクはジョン・ヴォイトにしか見えず、さらにはぼってりとした体型と ガサツな仕草、喋り方で本当はどんな顔してたかも思い出せなくなってしまった。 女優魂を感じる作品。力のある映画だが、少々綺麗事のようにも思える。 【GO】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-06-16 22:34:48) (笑:1票) |
146.「世界でもっとも美しい50人の女性」にも選ばれたセロン。ただし美人がブスに変わったことだけが見所の映画では決してないと思う。 実話では、アイリーンの精神的な心の支えとなったセルビーはもっと悪人だった。この映画の宣伝文句「なぜ愛を知ってしまったのだろう?」という台詞からも分かるようにセロンの存在はこの映画に限っては、アイリーンの殺人動機の1つとして考えられて人物像が作られている。ここまで「飢えた愛」に焦点を当てられたのは、女性の監督だからかもしれない。アイリーンの過去は、精神障害の父親の自殺や、アル中の母親が育児放棄、それに近親相姦の繰り返しなど、たしかに不幸はあったが、だからといって 「生きるためには娼婦になり人を殺すしか方法がない」とは思わない。思わないのだけど、そんなつまらない常識を殺人犯のアイリーンにぶつけて「あなたの考えは間違っていますよ、同情の余地なんてないですよ」なんて言うつもりも、さらさらない。この映画を褒めたいのは、モンスターである主人公の行動を肯定もしていないし否定もしていないところ。 悪い家族環境が悪い人間を作ることはよくあるが、中にはそういう劣悪な環境から抜けだして光のある道に進める人も大勢いる。 アル中の父親から何度も殺されそうになったり、母親が父親を射殺するという経験をもつシャーリーズ・セロンがその1人ではないだろうか? もしかしたら彼女は、自分も一歩間違えればアイリーンと同じような売春婦の道、悪の道に突き進んでいたと思っていたのかもしれない。 そして頑張れば再生できたかもしれないのになぜアイリーンはモンスターになってしまったのだろうかという無念の思いもあったのでは?セロンの執念にも似た演技を見ていると、彼女が持っている重い過去がアイリーンを通して伝わってくる。美しさと心の強さを秘めたセロンが大切な勲章を手にした記念すべき作品を心から祝福したいです。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-11 20:41:33) (良:1票) |
145.胃の腑にざっくりとくる、苦々しさの塊のような映画で、何とか目をそらさずに見続けた。S・セロンの見た目も含めた役作りは評判どおりで気迫に満ちていたが、その脇に座り、諸悪の根源のように描かれたセルビー役のC・リッチの持ち味も見事なものだった。ただ、映画としては足らない部分が多いと思う。リーの無謀な殺人動機を理解するには、彼女の生い立ちが必要不可欠だったと思うし、セルビーの無茶苦茶な発言も、彼女の人物像がさっぱり分からないので観ている私は首を傾げるばかり…そして二人の間の、特にリーが頑なに守ろうとした愛というのもちょっと見えづらい。やたら説明過多なのも白けるが、このプロットはなんだか宙ぶらりんな印象が強かった。しかし、ラスト近くでリーが逮捕された瞬間、ホッとしたのは私だけだろうか。これでリーがやっと解放されたね、と溜息が漏れた。それくらい辛くて疲れた。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-06-06 02:22:10) (良:1票) |
144.《ネタバレ》 まず第一声は、シャーリーズ・セロンはどこに映ってんの?でした。それぐらい全然別人のようでした(裏を返せば完全に役になり切ってました)。オスカーは当然でしょう。生きるために殺す。この映画、いや、アイリーンという女囚にとっての真実です。人間が悪になるのは全ては環境のせいと語るのは簡単です。しかし、報道によって我々は、実際に犯罪を犯してしまった人間に対するイメージは悪であると当然のように思い、そこへ行き着くまでの過程を考えなしに断罪してしまいます。アイリーンの行為は本人があざけていた通り”汝殺すなかれ”の教えに従えば悪ですが、人生をやり直そうにも周囲が受け入れてくれない状況の中で、それでも生きなければいけないなら、殺人も自分の中では正当化せざるをえない。人間のそんなジレンマを上手く演じていたと思います。 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(吹替)] 8点(2005-06-02 21:58:17) (良:1票) |
143.もし神なるものがあるとするならば、自ら死に向かおうとする“彼女”を留め、哀し過ぎる狂気へと突き進む“愛”へと導いた理由は何だったのだろう?言葉にならない苦しみを一人の女性の運命に詰め込み、それを歩ませた意味は何だったのだろう?果たして、彼女の真の罪は何だと言うのか?渦巻く人間の業についての疑問が永遠につきまといそうで、とても苦しい。でも、結局、その答えは、“たった一つの愛”なのだと思う。苦しみと屈辱の中で生きてきた女に訪れた、とても小さな愛。その結末さえ、あまりに悲劇的な愛。その一瞬の安らぎと許しのために、彼女の生はあったのだろう。とても不条理すぎて理解さえ及ばないが、それでもそこに一寸の救いがあったことを僕は信じたい。彼女のモノローグのように、そんなものさえ罵声ともに一蹴されるのかもしれない。でも振り返った彼女の最後の瞳は、そうは言っていなかったと思う。 “最高女優”の称号を得たセロンの演技は、何の余地も無く圧倒的だ。そして、“アイリーン唯一の愛”を演じたクリスティーナ・リッチも素晴らしい。この映画はこの二人の女優の存在が無ければ成立しなかっただろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-12-01 16:53:25) (良:1票) |