52.博士の記憶が80分しか持たなくなったのは事故後のことである。
「僕の記憶は80分しか持たない」ということを覚えてること自体がおかしい。
80分後には「記憶が80分しか持たない」ことも忘れてしまうのが正しい。
80分後には忘れてしまうということを80分後に覚えているのは記憶が80分以上あるからである。
つまり80分後以降に再び「僕の記憶は80分しか持たない」と言う事が可能なのは、
そのことを80分以上覚えているからなのである。
これを公式にすると、まず80分で記憶が消えてしまう場合は、博士の記憶= 1- 経過分 ÷ 80分
となり、80分後に 1- 1 = 0 となるが、もし80分以降に再び「僕の記憶は80分しか持たない」と言うのであれば、
博士の記憶= {1- 経過分 ÷ (80分+α)}となりα分が加算されなければならない。
しかも忘れないためにはαは増加し続けなければならない。αが増加し続けると、記憶はゼロにはならない。
しかしこれは博士の記憶=80分に矛盾する。
だがもし博士が80分以内に「僕の記憶は80分しか持たない」ことを思い出した場合は、
博士の記憶= 1- 経過分 ÷ (80分×思い出した回数)となり、80分以内に思い出すことを続ければ
記憶は消えることは無い。だが睡眠中は80分を越えてしまうので記憶が残らないはずである。
また起きている間も思い出し続けることは不可能である。
つまり「僕の記憶は80分しか持たない」と記憶することは不可能である。
答 博士は大嘘つきである。