86.《ネタバレ》 ほとんどおもしろくはありません。
リの字もヤキが回ったなあ…という感想です。
私の想像では、オバマもファンだというHBO製のTVドラマ「THE WIRE」のデキの良さにあこがれて、負けじと作ってみたくなった、というところなのでは?
「THE WIRE」のシーズン1は、すごく面白いです。ほとんど依存症になりそうなほどハマります。脚本がすばらしいです。
同じ黒人ギャングと麻薬捜査班を描いても、ここまでつまらなくなってしまうとは…。
そもそも、このストーリーだったら2時間半程度に無理やり押し込むのは無理なので、「THE WIRE」が成功したのも連続ドラマというロングタームで勝負したからだ。
そこんとこがもうダメなのに、なおかつメインキャストが大間違い。
今さらデンゼルとラッセルだって、何を考えているんだ。デンゼルなんか50を超えているだろうに。
つまり、見ているとヒジョーに痛い感じがするのはさ、トウの立った有名俳優が無理をして若作りしちゃってさ、実年齢より20歳近くも若い役をやっている…しかも主役の二人とも。
画面がツラくなります。ラッセルの髪型が明らかにヘンなうえ、ハラが出ています。デンゼルのおでこにくっきりとシワがあります。
もう、そんなに無理するなよ、お二人さん。
そして一番問題なのは、デンゼルの演技です。私は、見ている間一度もデンゼルに凄みを感じなかった。一度も「怖い」とか「自分のそばに来て欲しくない」と思わなかった。「トレーニングデイ」の時は違ったけどね。
顔が〝いい人〟のまんま、演じていましたね。リの字の演出なんでしょうか。これではダメです。
あと正気を疑ったのは教会前での逮捕場面で「アメージンググレース」を流すセンスね。
本当にリドリーが考えたアイディアなのか???
リドリー・スコットはトニーと組んで「NUMBERS」とか「CIA ザ・カンパニー」とかTVドラマの制作総指揮をやたらにやっているここ数年ですが、それらの作品にはリドリーらしさなんて全然ありませんし、はっきりいって名義貸しで左うちわの状態なんじゃないでしょうか。
やっぱ今のカレはハングリー精神がちょっとでもあるとはとても言えないでしょう。そんな人が「黒人ギャング」を描いてもリアリティがないに決まってます。
…おっさんヤキが回ってます。