177.《ネタバレ》 (2009年の映画メモをもとに作成)
昔友人から聞いた話で、記憶も曖昧なんですが、「この作品の本来の姿は”恐怖映画”の類であり、それが何故か日本に入って来た時に”感動の映画”とやたらいわれるようになってしまった」、のだとか。
もちろん定かではなく信憑性も薄いです。
しかし僕はこの作品を初めて観た時に「感動的な映画」だと思い込んでそれを強く意識し過ぎた為か正直いうと「!??」な感じでした。感動は凄く微妙で逆にドロドロと恐ろしい重苦しい場面が残りました。
しかし今回は「恐怖映画」と決め込んで観てみると、、、非常に良質な恐怖映画であり、また深く感動する場面がありました。
2度目にしてやっとヒューマン映画だと気付きました。
ジョンメリックの姿は非常にグロテスクで、それは他のホラー映画とは比べられない程の圧倒的な恐怖とリアルな質感で生理的な不快感を与えます。
それはどのホラー映画でも味わう事の出来ない深い漆黒の恐怖感です。
悪魔のような清掃員の男がいます。いや本物の悪魔です。彼がジョンメリックを客共と引き合わせる場面なんかこれほど残酷な悪意に満ちた場面は他の映画にはありません。
おぞましいです。
作品全体には独特の暗い雰囲気があります。精神的に重いです。
しかしその中でメリックの汚れの無い心の輝きは光ります。
彼の心は美しく澄んで綺麗です。
彼には美しいものを見出す感性があり、美しい物を作り出す才能があります。美しいものに対する尊敬の念を持って、人に対して気品に満ちた美しい態度で接します。
そんな彼の人間的な素晴らしさというか、心の美しさに感動します。
最もグロテスクな肉体をして彼の心には一切の汚れた部分が無いです。
嫉妬とか攻撃性を全く表さないなど僕はとてもできません。
これをみると、肉体とは何なのだろうと考えます。
また「人はなぜ生まれてくるか?」とまで考えさせる程の恐怖映画はまずありません。
メリックは拍手喝采に包まれました。ほんとに素晴らしいです。
最後まで誇らしくあることを選んだメリックに感動しかありません。
フリークスの仲間たちがメリックを逃がす場面がありましたが、圧倒的に美しい場面です。