羅生門(1950)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。2ページ目

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羅生門(1950)

[ラショウモン]
Rashomon
1950年上映時間:88分
平均点:7.30 / 10(Review 184人) (点数分布表示)
ドラマ法廷もの時代劇モノクロ映画犯罪ものミステリー小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2023-07-05)【イニシャルK】さん
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監督黒澤明
助監督加藤泰
田中徳三
若杉光夫
キャスト三船敏郎(男優)多襄丸
京マチ子(女優)真砂
森雅之(男優)金沢武弘
志村喬(男優)杣売
加東大介(男優)旅免
千秋実(男優)旅法師
上田吉二郎(男優)下人
本間文子(女優)巫女
原作芥川龍之介「藪の中」/「羅生門」
脚本黒澤明
橋本忍
音楽早坂文雄
撮影宮川一夫
企画本木荘二郎
配給大映
美術松山崇
太田誠一(美術助手)
ヘアメイク花井りつ(結髪)
編集西田重雄
録音大谷巖
林土太郎(録音助手)
照明岡本健一[照明]
中岡源権(照明助手)
その他野上照代(記録)
あらすじ
モノクロ映画の時代に今でさえ「現代的」と感じられるテーマを採り上げ、日本よりも欧米に衝撃を与えた作品。カンヌ映画祭グランプリ受賞。朽ちかけた羅生門の下で雨が止むのを待つ木こりと旅僧が殺人と強姦という陰惨な事件についてつれづれなるままに語り合い、第一発見者、殺された夫の妻で強姦の被害にあった女、犯人として捕らえられた盗賊の三人の各々の供述の違い、そして検非違使に召喚されたその他の証人の証言について論じる。時代を中世に設定し人間の普遍的な本質に迫る。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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164.《ネタバレ》 殺人事件が起こったが、当事者全員(イタコを介して霊界からお話している被害者当人を含む)が「殺したのは自分だ」と主張しているという、なんとも不可解な裁判。
多襄丸:真砂を巡って金沢と正々堂々決闘し、自分が勝った。
真砂:多襄丸に傷物にされて自分を見る夫の目が変わったため、後追い自殺をするつもりで金沢を殺した。
金沢:多襄丸の女になろうとした真砂の裏切りに失望し、自害した。
しかし、第三者が目撃していた真相とは、レイプで傷物になったことを金沢に責められた真砂が逆上し、二人の男を煽って決闘させたが、決闘に不慣れな侍と盗賊はへっぴり腰の泥試合を演じた後に、ギリギリ多襄丸が勝利したというものでした。
本作が優れているのは、通常は無罪を主張して当事者達がウソをつくという法廷劇の構図をひっくり返し、全員が「我こそが犯人」と主張するという捻じれた物語を作り上げたことと、その風変わりな構図から、人間には罪を被るという実害よりも優先したいほどの強力なプライドがあるという普遍的な物語を描いたことでしょうか。
さらに、本作は俳優陣の熱演もあって登場人物3人が誰もウソをついているようには見えず、各当事者にとっては、本当にそのように物事が見えていたのかもしれないという解釈も残します。人は、自分にとって都合の良いように物事を認識し、記憶するという性質を持ちます。多襄丸は豪快な盗賊としての物語を、真砂は最後まで夫に忠実な良妻としての物語を、金沢は妻を守れなかった自分の落ち度を隠す(=そもそも真砂は守る価値のない女だった)物語を求め、それぞれの物語に合うように事実を歪めて記憶していたのではないか。そうした解釈の余地が、さらに本作の意図を深めています。
本作を最初に見たのは中学生の頃でしたが、正直言って当時は全然ピンときませんでした。内容の複雑さに加えて、セリフの聞き取りづらさもあったのですが、今回はリマスター版で音声も改善された上に日本語字幕による援護射撃もあって、「この映画はこれほど高尚なことを語っていたのか」とひたすら感心させられました。
これは黒澤映画全般に言えることですが、録音機器の問題でセリフが聞き取りづらい上に、口語では分かりづらい難解な表現も多用されるため、日本語での鑑賞がかなり困難という厄介な代物となっています。本作や『七人の侍』が国内よりも海外で評価されたのも、字幕で鑑賞している外国人には、原語で見ている日本人よりも的確にセリフの意図が伝わったからではないかとすら思ったほどです。
あともう一点難を言うと、「レイプされた女は自害すべき」という価値観が登場人物全員の口から出てくる点には、ちょっと馴染めませんでした。これは時代の問題でもあるのでしょうが、第一の被害者であるはずの真砂の扱いがあまりに酷すぎないかと。
ザ・チャンバラさん [インターネット(邦画)] 8点(2017-11-10 18:43:47)(良:3票)
163.《ネタバレ》 カッコつけたがりの多襄丸タイプ、プライドだけは人一倍の侍タイプ、女としてのイメージと自分の都合が大事な侍の妻タイプなど、現代にも、似たような人たちがたくさんいますよね(笑) 人間って、社会や時代背景によって考え方や価値観が変わったりしますが、本質は昔も今も大差ないってことですね。
死体が発見され、殺したのは誰かを明らかにする取調べシーンでは、3人(死んだ人も含めて)とも証言がバラバラ。「自分がやったのではない!」ではなくて、みんな「自分がやった!」と言い張ります。何のために・・・? それがこの映画の主題である「人の心が信じられなくなる恐ろしい話」なんですね。
その救いの意味を持たせようとする、ラストの捨て子をめぐる三人のやりとりは蛇足のような気がしましたが、小説の面白さを映画的な面白さへと変換させた脚本は素晴らしいと思います。

始まってすぐ、内容もまだよくわからない段階で、いきなり音楽にやられちゃいました! 木こりが森にたきぎを切りに行くシーンで、ボレロ・羅生門バージョンですかー!(笑) 個人的には、これだけでこの映画に満点を差し上げたい気分でした♪
モノクロ映画だから、という理由なのか、森の中の光のコントラスト、かなり意識して作った感じですね。これも黒澤監督のこだわりなんでしょうね。
また、三船敏郎といえば、多襄丸のような「豪傑!」タイプのイメージがありますが、この映画の終盤、女にタンカを切られてツバかけられて「トホホホ・・・」という表情、これは最高でした!

この作品を含めて、昔の日本って、かなりの映画先進国だったのでは? 今の時代からは決して生まれてこないような、骨太の作品がたくさんあるように思います。
ramoさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-10-03 22:08:50)
162.《ネタバレ》 ずいぶん昔の白黒映画ですが、当時としては大変前衛的で斬新な演出方法や作品展開だっただろうなと想像させられました。
多襄丸が木陰で寝ていて枝葉の影が揺らめくシーンはちょっとしたことですが黒澤監督の作品を作り込む情熱が見えます。京マチ子演じる妻が所持していた短刀の顛末もとても面白く、重要な伏線になっているにもかかわらず、短刀の存在を思い出せる程度の演出に留めていることが凄い。あと森雅之の冷めた目の演技もインパクトが凄い。

またストーリーについて。人間は嘘をつく。海外でも評価されているのを見るに、これは国や人種を超えて普遍的なことでしょう。そういったテーマで言及しているのも面白い。人間が自己の都合の良いように話をするのは、現代でもしばしば見られることで、時代を超えても楽しめる作品なのは間違いない!
ただ、これだけ嘘をつく人間を見たら、坊主を演じる千秋実の言う通り人を信じられなくなる。私などは未だに志村喬が無事に赤ん坊を育てていることに疑問を持ってしまっている。恥ずかしいことだとは分かっているのだが…。
さわきさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-09-24 06:54:45)
161.《ネタバレ》 中国のネット配信で鑑賞、基本的に古い映画は苦手です。僕の耳が悪いのかセリフ等が聞き取りにくく、しんどかった。改めて小説のほうを読んでみようかな?
ないとれいんさん [インターネット(邦画)] 5点(2017-07-12 15:47:53)
160.娯楽作品ではない、この手の映画としては、非常に理解しやすい作品です..人の内面をえぐる 人間描写、正に傑作! すばらしい出来です..9点を付けざるを得ません..
コナンが一番さん [ビデオ(邦画)] 9点(2017-06-24 15:53:49)
159.筋書きは分かるが少し難解。人間不信にたどり着く前に引き付けられる興奮が無かった。
個人的にはクロサワ作品の中でも少し異質な捉え方をしてしまったようだ。羅生門をはじめとする美術は最高だったけど。
mighty guardさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-10 00:30:02)
158.《ネタバレ》 「昨日から彼氏と南の島に来ています。こんな景色、日本じゃ絶対見れないよぅ」とバカンスの写真をアップする女性。もしくは、「今日は会社の先輩が所有するクルーザーでナイトクルージング!海の上から見上げるレインボーブリッジも最高!」などと友人と一緒に賑わう写真を上げる男性。

この物語のテーマは、人間の弱さ、そして自己顕示なのだろうか。

一人の男性の死にまつわる関係者それぞれの証言が食い違う。志村喬演じる杣売の話が本当だとするなら、当事者3人はそれぞれ事実とは異なる事を言っている。何故そんな事をするのか?事実には自分たちに取って都合が悪い事が含まれているからである。事実そのままだと、正直かっこ悪いのだ。(本当は、多襄丸と金沢武弘二人ともへっぴり腰で戦っている!)

「少しでも本当の自分よりかっこよく見せたい」という想いがある。ここでのポイントは、すでに生死には拘っていない事だろう。(多襄丸に関しては、原作の中で「どうか極刑に遇わせて下さい。」と言っている。)死ぬ事よりも大事な物があり、それは人間としての尊厳や見栄なのだ。つまり、死ぬ事よりも周りからどう思われるかを気にしているのである。「死んでいる人間が嘘をつくとは思えない」という台詞が出てくるが、いやはや金沢武弘は既に死んでいるのであるから、それこそ生死にこだわりはなく、であるなら、そこには少しでも周りから良く思われたいという思いのみがあるのだ。死してなお、自分の体裁を気にするのが人間。だから恐ろしい。

さて、現代においてバカンスの写真を上げる女性は真砂であり、クルージングの写真を上げる男性は多襄丸であり金沢武弘なのである。みんな、自分の事を少しでも良く見せたいと必死なのだ。そう。この物語は普遍であるどころか、SNSの浸透により一人一人が己の自己顕示欲と対峙せざるを得なくなった現代人にこそ、強く響くのではないだろうか?

「昨日買ったエルメスのバッグ〜」、「今日はお友達とおしゃれなレストランでランチ♥」、「ジャーン!新車買っちゃった!」etc,etc,etc......

本当に人間とは弱く、不思議で、恐ろしい物なのである。

ちなみに小生はそういった人間の自己顕示がある時急に恐ろしくなり、某Facebookをやめてしまった。(本当にFacebookをやめようとすると、結構面倒な手続きが必要です。)

杣売
rain on meさん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2015-11-09 11:22:17)
157.《ネタバレ》 「さっぱり解らない」「恐ろしい」という杣売りの繰り返される嘆息は「登場人物が自分勝手に事件を解釈して訴えている」というどこにでもありそうな題材を、荒れた時代(応仁の乱の頃?)に「盗賊が強姦にまつわる殺人をした」というこれまた陳腐な事件について語るにしてはあまり共感できない感じがしました。確かに映画としての撮り方、京マチ子の麻呂みたいな眉しかないのにあの妖艶さは「すごい」と言わざるを得ませんが。武士と妻のきちんとした身なりと、その他の人達の襤褸をまとった超格差ぶりがある状態であのような人間愛憎劇が成り立つものかなあという感想もあります。1950年というまだ日本が戦後の貧しかった時代に、貧しいなりに清濁併せ持って僅かであっても希望を持って一生懸命生きる、という日本人を描くという背景を考えると納得できる面もあります。ということでこの点で。
rakitarouさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-03-25 17:23:54)
156.《ネタバレ》 角川の「デジタル完全版」が素晴らしかったのもありこの点数。画質と音の聞き取りやすさが素晴らしい。黒澤の映画はクライテリオンとかこういう類に限るね。
さて、この映画は芥川の原作小説を読んでいないと恐らくチンプンカンプンで作品の醍醐味を楽しみにくいかもしれない。
検非違使の役人は画面には出てこない。何故なら聞き手は検非違使ではなく、視聴者その者だからだ。多種多様に別れる証言。どれが真実なのか?はたまた全部嘘なのか。
己の蛮勇を誇る多襄丸の証言、辱められた悲しみを訴える女(真砂)の証言、妻の本性を知り、何もかも失った悲しみを訴える女の夫(金沢武弘)の証言。それぞれの「真実」と「虚実」。みんな言うこと成すことが食い違っている。
唯一共通する事・・・それは多襄丸がけし掛けた事、女が犯された事、女の夫が殺害された事。それぞれの怒りと悲しみ。ただ、それぞれの証言が全て「自分が殺した」で結ばれる。しかも自分を庇う証言ばかりだ。
そこに挿入される4つ目の「証言」。それぞれの証言に近いようであり、やはり全く違う。杣売りの言う通り「さっぱり解んねえ」。もうわけ解んねえ。
それに、それぞれの証言も何処か違和感が拭えない。
世の中嘘だらけだ。
映画も嘘にまみれている。
ラストシーンだって、何処か嘘くさくもあるし、偽善的なのかもしれない。
ただ、全部が全部嘘で出来ているというのも疑問だ。
一つくらい真実があるからこそ、世の中何とか動いているのではなかろうか。
だからこそ、最後の行動くらいは信じてやりたい。
一つくらい泥の中に咲く「蓮の花」が一輪あっても良いと俺は思いたい。
独特の殺陣も面白い。
素早く剣を抜き激しく太刀を打ち合う殺陣。「七人の侍」のようにリアルでも、「用心棒」のようなぶっ飛び具合もまだ成りを潜めた形だ。
太刀同士を鍔迫り合わすのは古典的な剣戟であろう。
往年の剣戟映画「雄呂血」などの「リアルっぽい」殺陣。
ここで本当にリアルなのは、互いに剣で間合いを図り、右手には太刀、左手には盾兼牽制用の鞘。まるで西洋のレイピアで突き合うかのような攻防。そして生きるために必死に逃げ惑い、砂や土を投げて這いずる場面。「酔いどれ天使」を彷彿とさせる演出。多少荒削りで長いシーンだが、見応えはある。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-14 20:38:51)
155.《ネタバレ》 登場人物も少なくシンプルな構成だけど見応え十分。1950年制作というかなり昔の作品ながら古さを感じさせないのは、やはり人間の本質に問う何かがあるのであろう。とっても良作だとオモイマス
Kanameさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-09-16 08:38:04)
154.《ネタバレ》 ■これはNTR映画ですね。そういう意味で、京マチ子は美しいというよりもエロい。■映画自体は結末が不満。矮小なヒューマニズムで、原作の「藪の中」が台無し。
わんたんさん [映画館(邦画)] 4点(2014-06-24 01:46:04)
153.初見、原作未読。真相はまさ藪の中。文明や科学が進化しても人の心は1000年前と大差ない事を思わされます。美しい画の中で躍動する役者達に豪華な額縁の名画を鑑賞しているようでした。赤ん坊の件はとってつけた感がありますが、今も昔も変わらぬ、この世は捨てたものではない事を見せてくれます。
The Grey Heronさん [映画館(邦画)] 7点(2014-06-08 05:37:37)
152.《ネタバレ》 ん?と思ったのち ぞくぞくして、戦慄して、凄い!と唸った映画。役者と台詞だけでこんなに切り口が変わるんだ。圧巻なのは湿度の高いべったりした雨と黒々した不吉な門。志村喬の朴訥さにはほっとした。 2014/1 原作読了。わあ、この脚本凄いんだなあ。人間が嘘をつく行為はすなわち何を大事にしているかがつぶさに分かって面白さが倍増。多襄丸はその“悪名高き大悪党”のカッコ良いイメージを落としたくない。まさかあの多襄丸が女にどやされて、へっぴり腰でどたばた乱闘劇をやらかしただなんて絶対知られたくなかったのね。プライド高い侍の男は妻に裏切られ、自害をとげた悲劇の主人公像に死んでもこだわり、女は哀れな純被害者を言い通してか弱き高潔さを世間に示したい。いやはや。三者の言い分をすべてひっくり返す樵の目撃談を考えつくって、いや天才か、と驚いた次第であります。当時の時代考証の精密さといい、山中の木々の濃い影や土の匂い、玉の汗に見る蒸し暑さ。女どもの妖しさ。いろんな要素が心に刻み込まれるこの堂々たる日本映画、やっぱり10点にしますね。
tottokoさん [ビデオ(邦画)] 10点(2014-01-06 23:07:13)(良:1票)
151.小難しい内容にもかかわらず3人の証言による表現の仕方は見事と思います。
1950年にしてこのような手法で作られていたことも驚きだし、ほとんど古めかしさを感じませんでした。
エピソード自体はこじんまりしていたものの、それはそれで短編小説的な面白さはありました。
午の若丸さん [DVD(邦画)] 7点(2013-12-31 00:23:14)
150.羅生門でのシーンはどうでしょう、あまり必要ないのでは。せっかく三者三様のエゴが浮き彫りになる一連のシーンが素晴らしいのに、言葉で説明してしまっている。台なしとまではいかないにしても、もったいないと思いました。ただ、この映画で悪いところはここだけです。他は本当に素晴らしいんですが…点数としてはこれくらいですかね。羅生門シーンはかなりのマイナスでした。黒澤映画の中で唯一評価と感想が異なる映画です。
カニばさみさん [DVD(邦画)] 6点(2013-10-10 01:31:08)
149.《ネタバレ》 黒澤を「世界のクロサワ」に押し上げた記念碑的作品。尺も90分以下というコンパクトさ。印象としては、音の聞き取りにくさはあるものの、画は現在でも十分に勝負できるものだと思った。

■カメラワーク、構図の取り方がうまい。そして実は細かな工夫をいろいろしている。例えば雨が見えるようにするために、あの雨には実は色が付けてある(墨を溶かしたと聞いた)とか。

■ストーリーは、各人のエゴによって真実が「藪の中」にされていく過程が描き出される。各人が何を守りたく、そのためにどういう物語を語るかというのは、きちんと考えてみるとなかなか面白い。各人の話の中では、皆語り手が「(仕方なく)殺した」と、殺人の役は引き受けているところがまた興味深い。

■個人的には、最後に真実らしいものを志村が語ってしまうところと、最後に希望を見出してしまうところとが若干残念。こういう流れなら最後の最後まで真相は「藪の中」にするような構図にしてほしかったし、志村が短刀を盗んだとはいえ善人、というポジションはなんか息詰まる展開をラストで抜いてしまっている。志村を最後で超悪人のようにしてしまってもいいし、そうでないなら三人の言い争いをもっと引っ張ってもいいと思った。
θさん [DVD(邦画)] 7点(2013-09-11 23:59:18)(良:1票)
148.《ネタバレ》 必ず勝つと信じてアメリカと開戦したのに、蓋を開けてみれば完膚なきまでに叩きのめされ、それまでの価値観や常識のなにもかもが灰燼に帰してしまいそうな危機的状況にあった、敗戦後の日本。当時のそんな状況にあって、若き日の天才・黒澤明がまるで時代の要請に応えるかのごとく作りあげた古典的名作。芥川龍之介の作りあげた殺伐とした平安期を舞台に、隠された藪の中で織り成される、3人の男女の陰湿な愛憎劇。各々に秘められたエゴとプライドを照射するかのように降り注ぐ日の光が、今にも何かが狂ってしまいそうな美しいモノクロ映像となって炙り出されていく。そこにあるのは、まるで見栄とプライドと欲望のために、誰も責任をとらぬまま始めてしまったあの戦争の愚かさと同じものだ。それでも、最後に提示される今にも消えてしまいそうな微かな希望は、時代を経た今でも決して色褪せることはない。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 8点(2013-08-10 19:27:16)
147.《ネタバレ》 人間の本質に迫る黒澤映画の代表作の一つ。
普遍的なテーマを扱っているので、今観ても古くは感じない。
最初に予備知識なしで観たときは、あれ?これって芥川の「羅生門」というより「藪の中」だよねと疑問に思った。
元々の脚本が「藪の中」をベースにしたもので、それが短いので「羅生門」の設定等を加えて仕上げたことを後で知って納得。

事実としてはっきりしているのは、武士の死体とその妻が強姦されたということ。
その事件の真相が証言が食い違って、誰の話が真実なのか判然としない。
意図的にウソをついているのか、それとも無意識にバイアスがかかっているのか。
一つのはずの真実が人間を通すと何通りもの虚像を伴って描き出されてしまう。
今でも裁判でこんな感じになることもありそう。
芥川の小説では突き放した感じで終わっていたけど、映画は赤ん坊をめぐって救いのあるラスト。
飛鳥さん [DVD(邦画)] 8点(2013-07-29 22:55:55)
146.見終わって、製作、公開はまだ親も産まれていない頃なのかぁ~と感慨深いものがありました。 登場人物少なくていいです^^ この映画は1回目も面白いけど2回目見たほうが面白いです。(1回目はあらすじ知らずに見たほうがいいです)
まおあむさん [地上波(邦画)] 9点(2013-06-09 07:29:02)
145.'08.5/3 3回目鑑賞。何といっても強烈な印象は忘れられない。京マチ子の美しさ。
森雅之、三船敏郎の個性豊かな風貌と演技。でも唯唯緊張感の連続で観るたびに疲れる。何度も観たいとは思えないのが難点(ー1点)
ご自由さんさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-17 11:29:24)
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【点数情報】

Review人数 184人
平均点数 7.30点
000.00%
110.54%
231.63%
321.09%
442.17%
5126.52%
63016.30%
74524.46%
84222.83%
92714.67%
10189.78%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.83点 Review12人
2 ストーリー評価 6.87点 Review16人
3 鑑賞後の後味 5.87点 Review16人
4 音楽評価 6.18点 Review11人
5 感泣評価 4.85点 Review7人
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【アカデミー賞 情報】

1952年 25回
美術賞(白黒)松山崇候補(ノミネート) 
外国語映画賞 受賞名誉賞

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