5.《ネタバレ》 今は無き谷津遊園が舞台ですね。「無くなるモノ」好きな山田監督がTDLによる閉園に合わせて撮影したものと思われます。子供の頃に何度か行ったので懐かしいです。30回記念作品という事で沢田研二が目立ってしまって、寅さんの出番がやや少ないのが物足りないです。
<追記>14年ぶりに再見。あらためて見ると、寅さんは冒頭の三郎の告白により応援する側にまわったものの、結局はマドンナに惚れてたという事だろう。男は顔ではなく心(しゃべり?)であるという微かな自信もあったのだろう。すなわち、三郎青年が振られる事をどこかで期待していたと思われる。でなければ、2人が結ばれて素直に喜ぶハズであり、あんなに残念そうにするのは変である。そういう寅さんの心の闇みたいなものが最後のさくらとの別れシーンで判明したように思えた。ただし、蛍子と三郎の交際過程は殆ど描かれないし、寅さんも単なる応援者のように描かれてしまっているので、全体的には盛り上がりに欠ける。田中裕子の妖艶さと清楚さを併せ持つ魅力でカバーしているといった印象。