218.《ネタバレ》 ホラー映画やモンスターパニック映画が好きな自分にとってこのクローバーフィールドは超超超傑作といっていい映画だった。
ゴジラをはじめとする巨大生物映画を、怪物の視点や三人称視点ではなく、
ホームビデオの一人称視点で表現した本作の功績は大き過ぎる。
今まであったものの一歩先を行った感じだ。
この”視点の転換”が映画をここまで面白くさせる。
最初こそホームビデオでとらえた映画らしい残念さはあるが、
一度パニックが起こってしまえば後はほぼノンストップで迫力の臨場感に包まれる。
パニック映画において迫力の臨場感とはこれほどまでに大事であったのかと思う。
しかしよくここまで規模が大きい自己視点を表現できたものだと思う。
ビデオカメラでとらえた光景はまさに本物と区別できない。
ここまで作り物のリアリティが進歩すると、もう心霊映像やUFO映像の信憑性は薄くなってしまうんじゃないのかと思う。
逃げ惑う人々や途方にくれる人々は現場の雰囲気をたぶん見事に再現している。
そして人間的絶望感が凄い。
エイリアンの子供が無数に生み落とされる場面や、軍の医療キャンプでビニール越しに女性の頭部が爆発する?シーンで
「もう人間は終わった」と思った。
たぶんテロがあったからこういう作品ができたのかもしれない。
未知の驚異におびえる人々のパニックがリアル過ぎる。
ドラッグストアでみた、窓の向こうが土埃に包まれる場面だってそうだ。高層ビルだってあのテロ事件みたいな崩れ方をする。
これはその当時の恐怖を反映したホラーなのだ。
普通こういう映画だと「核で街をふっとばす」みたいな言い方がされるが、
この作品ではそういう言葉は出てこなかった。
自由の女神の首が吹っ飛ぶ。これは日本語吹き替えで見ると、このシーンの吹き替えは個人的に面白かった。
日本語吹き替えだとカメラ持った男はよくしゃべる愉快な男だった。
この映画見ると軍ってスゲーなと思った。
なんであれ日本の文化やゴジラ様を作品内に持ち出したからには、それに対する挑戦状のようなものがあったにちがいない。
そして自由の女神はたぶん猿の惑星からきているのかもしれない。
猿の惑星にもゴジラにも引けを取らない傑作SFパニック映画だった。