4.《ネタバレ》 この作品を観るのに多くの情報を入れるつもりはなかったが、
「アガサクリスティーに捧ぐ」というキャッチを目にして「なんだミステリーか」と思ってしまった。
「なんだ」という表現は失礼だと思うが、最後まで犯人が分からない殺人ミステリー作品は
一番犯人じゃないと思う人から疑えば、ほぼ当たってしまう。
映画は容疑者を紹介するように始まる、教科書通りだ。
しかし序盤で犯人が分かってしまう、あれ?これじゃミステリーじゃなくって結局サスペンスじゃん!
サスペンスだと分かってもこの作品には強い脚本力があり、
「他殺」でないと遺産が受け取れないことが分かると遺族は探偵を頼りにするあたりから
ぐいぐいと話に引き込まれてしまった。
ストーリーに引き込まれて犯人捜しを頭から外したあたりから「ミステリー」が始まるというトリック。
結局サスペンスというベールで隠されたミステリーだったことに気づくと
もう「やられた」としか言いようがなかった。
アガサクリスティが築きあげた殺人ミステリーは今や「だと思った」という「ひねくれた」観客を
多数育ててしまった為、非常に作りにくいと思う。
しかしこの映画を見る限りまだまだ「ミステリー」というジャンルは消えないのかもしれない。
そのことをアガサクリスティに捧げたかったのかな。