3.動物ものを作るとき、大きくふたつの方法があると思います。ひとつはドキュメンタリー色を強くしたもの。もうひとつは擬人化を強くしたもの。この作品は大木として岡田英次さんの声を語り手に据えたことで、その両方を表現することに成功したと思います。流氷に乗って現れる一匹のキツネ。やがて家族が増え別れが訪れる。人間の生活というものを自然の一端に抑えて描き、動物の側からの自然の厳しさを描いた傑作だと思います。小さい子供にとっては残酷なシーンもあるでしょうが、自然界というのはそもそも可愛いだけですむものではありません。淘汰という厳しい掟があるのだから。でもそれにうち勝ったものには希望もあります。ある程度自分で物事を考えられようになったら、この映画を観るのもいいと思います。そして自然について考えるのもいいと思います。余談ですが、あの歌を聴くとついついサングラスとニット帽を思い出してしまいます(笑)。