12.ニナの、黒鳥に変身していく様は迫力があってやっぱりよかった。そんなもん特殊効果が凄いだけじゃんと言われりゃその通りだけど、美しさと禍々しさの混ざり合いが絶妙だった。あえて言うなら予告で出さないでよこのシーンってとこかしらん。映画館で初めてみたときは底なしの闇に感じたようなものが、家で見直すと別にそんなに深くないな、底浅かったな、意外と。ただ、自分の感情の内へ内へと自らを追い込んで行ってしまうニナに、その不健康さも含めて共感してしまうところもあった。”深淵なもの”を期待しすぎると肩すかしを喰らうだろうけど、決して不出来な映画ではない。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-09-12 10:32:44) |
11.主人公ニナは「白鳥の湖」でいうところの白鳥で、その純粋無垢な彼女が快楽やイケナイ遊びや母との確執などで形成される黒鳥に飲み込まれんとする、そのせめぎ合いのお話なのだが、率直に言ってしまえば至極個人的な内容で実に薄っぺらい話である。度々登場する、観る者の「痛覚」を刺激する様なシーンも、よく言えば効果的ではあるが悪く言えばB級ホラー映画が多用する古典的な手法でしかない。それでも尚、この作品は観客を終始飽きさせない魔力的な力を放っていると思う。それは勿論、ナタリー・ポートマンの熱演も多いにあるわけだが、やはり監督の才量によるところで、特に感心するのは「鏡」の使い方である。この作品、主人公ニナに負けないぐらい、鏡がやたらと登場するのだ。普通に撮影すればキャメラが映り込むシーンでも、そのキャメラを消してまで「鏡」でニナを映し出す。背中の異物や「もう一人の自分」など、化粧鏡や合わせ鏡で見せてくる。本当の敵は自分自身であるというのは、頂点を極める者の異口同音だが、その意図や狙いを鏡によって表現しているわけだ。ラストで、リリーを押し倒して殺そうとするシーンで、リリーを鏡にぶつけて鏡が割れるシーンも、自分自身を映し出しているという暗喩なわけだ。ストーリーは淡白でも、なにかの小道具で登場人物の内面を現そうとする映画的表現は、一人の映画通としてついつい感心してしまうのである。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-09-08 23:07:48) |
10.《ネタバレ》 技術は完璧だが官能性に欠ける主人公。新たなプリマとして抜擢され不安を抱えながら公演に向けて練習する中、自由奔放なソリストが移籍してくる…。正直、トレーラーを見てそのソリストとプリマを競う女同士のドロドロとした争いの映画かと思っていたが、本当のライバルとはどうやら主人公自身だったようだ。妄想か二重人格か、母親からの過度な期待と、そのソリストの持つ奔放さへの渇望に挟まれ徐々に提示されていく主人公の狂気。観てる方もどこまでが現実なのかあいまいになり恐怖感が増していく。 特殊効果はあまり好きではないが、初日公演で悪魔・官能の象徴である黒鳥を踊りきるときの主人公の変化はバレエに縁のない筆者でも鳥肌が立つ思いであった。 好み30/50、演出11/15、脚本10/15、演技8/10、技術7/10、合計66/100→7/10点 【chachabone】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-07-12 23:21:57) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 おもったよりエロスな世界でした。ラストへかけてのスピード感は見もの。 【とま】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-07-03 11:05:10) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 私は映画が好きだ。そこで自分でもシナリオを書いておこうとした事があった。内容は頭にあった。しかし、文才の問題もあったが、書けなかった。最大の理由は悪人の気持ちになってストーリーを書くのがどうしても嫌だったのだ。その時気が付いた。スティーブンキングがなぜあれほどおぞましいストーリーを書けるのに、美しい話も書けるのか。また、作家の人は自殺している人が多いのも納得した。芥川龍之介など日本人でも多い。あ、そうか。実はスターウォーズのダースベーダは作者自身であり、ハリーポッターのあの名前を言ってはいけない人は作者自身だということを。芸術家は、善と悪の対比を描く事が多い。つまり、悪と向かい合う時間が彼女のように苦しめるのだ。因果な商売だ。私には絶対に出来ない。ちなみに、完全な悪人にもできなし、完全な善人にも出来ない。もちろんキリスト様などの人たちにも出来ない。そんな事を考えながら見た映画だった。 【matan】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-27 08:48:52) |
7.★遅ればせながら観てきました。 ★自分の関心はチャイコフスキーの音楽がどれだけ使われるのか・・・いやそもそもバレエシーン以外ほとんど映画オリジナル曲なんて興ざめなことになってるのではって・・・ ★ってのはチャイコの音楽って一般的に大仰なイメージがあって、いかに昨今の映画音楽にオケ曲大流行りの今であれ、こんな現代的な、サイコホラーっぽい映画にロマン派メロメロの白鳥湖がBGMとして合うのかしらんと思ったから。 ★しかし実際はほとんど白鳥湖のそのまま、またはアレンジしたもので、組曲でよく流れる「情景」や「4羽の白鳥」も流れたが、いちばんうれしく、また驚いたのはイントロの曲がそのまま映画のイントロに使われたこと。あのバレエのイントロがこんなにそのまま映像とぴったりくるとは。映画のこれからの内容を暗示するような、不安を煽るような、まるで映画のために作曲されたようなハマり方に感心しました。あとラストの音楽もほぼそのまま使ってたしね。劇中のバレエは「新演出」なようですが、構成自体はプティパ=イワノフ版を踏襲してるんですね。 ★ストーリー自体は良くあるドロドロ芸術家でホラーっぽい演出がされたのが新鮮ですが、それにしても要は「もともと気の小さい奴は、もう精神病んで自傷するくらいの覚悟がなきゃトップにゃなれないよ」ってことなんでしょうかね・・・私はあきらめてますが(笑) 【wagasi】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-15 00:10:42) |
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6.話にあまり内容がなかったのでそこだけがマイナスです。ただ、音楽や映像、見せ方など全体的にすごくうまい映画でした。見ごたえは抜群です。 【アフロ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-02 03:20:08) |
5.《ネタバレ》 ストーリーはありがちです。元バレリーナの母親の歪んだ庇護の元に育てられた主人公が、プリマを獲得するため、獲得したプリマの座を維持するため、そしてプリマを演出通りに演ずるために精神的に不安定になるお話でした。個性的な脇役を変数にしているが、略するとプレッシャーから来るノイローゼです。その不安定を美しく演じるナタリー・ポートマンを観ることが本作の鑑賞意義だと思います。妖艶さが必要とされる黒鳥の踊り。ナタリーがその「妖艶」を演じられたかというと、私は疑問符が付きました。まぁ、個人の趣味の話かもしれませんが最後まで色気を感じなかった。ミラ・クニスの方がよほど色っぽかったです。その代わり、ナタリーは妖艶を飛び越えてオカルトの世界まで行ってしまいました。鬼気迫る迫力はあったし、官能的でもあった。それで獲得したオスカーにケチを付けるつもりは毛頭ありません。でも、しつこいけど、あのオカルト・ナタリーにもっと分りやすい色気があったらと残念がっている私は少数派? 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-30 22:40:59) |
4.ドロドロした人間関係、痛々しい場面、過激めなえっちぃシーンがあり終始緊張感があってとても引き込まれる映画でした。心理描写を入れたゴージャスな昼ドラっぽいですね。観た後緊張感からかちょっと胃が痛かった。 【とむ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-21 01:13:46) |
3.《ネタバレ》 ナタリー・ポートマンの演技はさすがでした。 ヴァンサン・カッセルもイヤラシイオヤジの感じが良く出てて良かった。 映画の内容は、バレエの芸術性であるとか、舞台裏に焦点を当てたものではなく、 バレエという舞台を借りて一人の女性が心を病む道程を、フロイトの精神分析学的に 再現したという印象。 最初から神経質で初心で精神的に脆そうなニーナ。 そして彼女は同じくバレリーナを挫折した母親からバレエでの成功を期待され、生活に過干渉を受け、自分の欲望を無意識に抑圧している。主役に抜擢された「白鳥の湖」では演出家のルロワから黒鳥を演じるために必要な妖艶さが足りないと言われてしまう。そして未成熟だった性の解放を試みたとき、それを罰する自我の白鳥とエスと超自我である黒鳥に人格が解離してしまう。 すべての事象に気がついたとき、やっと人格は一つに統合されて人として完璧になるが、時すでに遅し。白鳥が湖に身を投げて迎えるバレエの結末と相まって、破滅の美はとても良いが、唯々心を病んでいく主人公の話というのは疲れます。 ラジー賞だったとしても最後に希望の残るバーホーベンのショーガールの方が私は映画としては好みです。 【おなや】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-16 02:13:16) |
2.地味~な題材を、大胆な演出と、スリリングな展開で、緊張感ある仕上がりにしてくれてます。監督イカしますね。主演のナタリー・ポートマンも迫真の演技でした。劇中の演出でシビレル箇所などありましたが、見終わった後はフーンって感じだったので7点。完璧って怖いですね。 【ぬーとん】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-14 22:34:58) |
1.《ネタバレ》 ナタリーポートマンはさすがに名演でアカデミー主演女優賞受賞も納得。カメラワークがホラー映画のようで終始不安感を煽るし、観ている人を驚かせる手法もホラー映画っぽい。物語に関しては、どこまでが現実でどこからがナタリーの幻想なのかが分かり辛く、そしてエンディングで大拍手の中エンドクレジットに入るのは、なんか置いてけぼりを喰らった感じがした。 【珈琲時間】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-12 20:58:45) |