1.親戚に一人はいる「困ったおじさん」の物語。しかし主人公はその姉であり姪で、彼女たちの立場から「おとうと」「おじさん」が描かれている。
笑福亭鶴瓶演じる哲郎は傍迷惑で異常な行為・行動(アウトプット)を繰り返すが、反面、人の心が読めないわけではなく、周囲の人たちが自分の行為についてどのように感じているか、どのような影響・迷惑を掛けているかの理解(インプット)は正常である。これは車寅次郎と同類。
姉とその亡夫(哲郎の義兄)はその哲郎の心情(インプットの正常さ)を深く理解しているため、困惑しながらも深い愛情をもって彼に接しており、姪も微かにそれを感じ取っていく。
ただ2時間で描いていくには少々各エピソードのパンチが弱く、到底名作の域には達せず残念。
個人的には加瀬亮演じる青年がもう少し光るストーリーに仕上げて欲しかった。
姉の薬店に舞い戻って来る場面はまさに寅さんのそれで、自分で「男はつらいよ」のパロディをする山田洋次がお茶目。