26.《ネタバレ》 乳児に負った傷がもとで言葉を発せない女性とアマゾンから連れてこられた言葉を発せない半魚人の恋。互いが自分の事を分かってもらえる事の喜びが滲み出ており、半魚人の得も言われぬ美しい目が語る胸中が切なさをかきたてる。個人的に助演男優賞が相応しいと思ったマイケル・シャノン演ずる力だけが正義と信じているストリックランドが本作のキーパーソン。マイノリティに対するこの男の言動に「便所のような国」発言の大統領が思い浮かぶ。60年代東西冷戦と半魚人の関わりの掘り下げが浅いのが惜しいものの、ラストショットまで目の離せない、余韻の深い、記憶に留まる秀作でした。 |
25.《ネタバレ》 まさに大人のためのおとぎ話といった様相。サスペンスやドラマなど様々な要素を持った作品だと思うが、主軸となっているラブロマンスの中身はどちらかというと男性よりも女性に受けそうな内容か。性描写のドギツさから言ってレーティングはR15+ではなく、R18+でちょうど良い気がした。宣伝段階では割とクリーンなイメージを打ち出していたように見受けられるが、少なくとも家族で観るような作品ではないのは確か。作中に流れる妙な緊張感は心地よく、個人的にはその源泉となっていたストリックランド役マイケル シャノンの迫力ある悪役ぶりが印象に残った。 【rain on me】さん [映画館(字幕)] 7点(2018-03-15 18:13:21) (良:1票) |
24.《ネタバレ》 私はこの映画、好きですね。 久々におもしろいファンタジー映画を観れました。 ただ、R15を取るために、わざわざヌードやオナニー、SEX、グロシーンを編集で入れたんでしょうか? 別に無くても問題ないシーンばかりだったように思います。 半魚人の物語を本線に、ろうあ者・ホモ・黒人・暴力者・ロシア人スパイたちの話を織り交ぜて、さらにはタップやミュージカル要素までも入れ込んでいます。 もう、おなかいっぱいですよ。 で、結局落としどころは、ファンタジーってところですかね。 好き嫌いがハッキリと分かれるでしょうが、ファンタジーやミュージカルが流行るのは、世相が不安定と言うことの裏返しのように思います。 【ミスプロ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-14 22:16:29) |
23.エロ、グロ、怪物、愛。 30年前、(愛の形は違うけど)イザベルアジャーニの『ポゼッション』にシビれたオッサンにとって、この4つのキーワードは最強の組み合わせの一つ。 アカデミー作品賞受賞は、「ついに時代が追いついた!」ってことで、…感無量です。 【チャップリ君】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-14 16:13:11) |
《改行表示》22.パシフィック・リムが好きなオタクとしては、これはなんかよくわかりませんでした。 パンズ・ラビリンスも全く理解できなかったので、この監督はやっぱりよくわかりません。 お伽噺ではなくて、アイツはいった何なのか?を突き詰めた方がよっぽど面白くなったのではないかと思います。 それと全然色気のない裸をひょこひょこ見せられ、さらに半魚人と・・・正直引きます。 アカデミー作品賞との相性の悪さを再確認した作品。 【マー君】さん [映画館(字幕)] 5点(2018-03-13 23:54:00) (良:1票) |
《改行表示》21.《ネタバレ》 ・送り手の映画愛をこれ見よがしに披露されるのって見てる方が恥ずかしくて。 ・ジュネが剽窃だと批判していてデル・トロは「皆テリー・ギリアムに借りがある」とかえしているけれど、でもこの映画はやっぱりギリアムよりはジュネ風味強いよね。コンセプトカラーは緑地に赤って明らかに『アメリ』と共通してるし。 ・印象としてはデキが良かった時のキング作品、或いは上記に関連するけれど、お上品な『エイリアン4』。 ・マイノリティ、社会的弱者の物語的な感じに見えるけれど、彼女達、彼等は決して受動的ではなく、自己主張しまくっていて、インチキな事も迷惑な事もするので、別にそこにキモチは動かないなぁ。つーか手を握るのは普通にセクハラでしょ。同性に対してなら健気なの? ・おっぱいとか毛とかクリーチャーのチンコ話とか必要なんかね? ・延々鳴り続けるクドい音楽がアカデミー賞ですか・・・ と、そんな感想をまとめると、デル・トロ監督って即物的で奥ゆかしさとかさり気なさとかと無縁な人に見えてしまうんですね。随分とこってりギトギトした作品を見せられた、って気分。つまらなくはなかったんですけどね。 もし半魚人がニューヨーク出身で饒舌で神経質で演じてるのがウディ・アレンだったらさぞかし面白かったでしょうけれど。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-03-12 19:21:44) (良:1票) |
20.《ネタバレ》 評判どおりの怪(快)作でした。60年代初頭という舞台設定が効いていて、序盤は、挿入されるタップダンスやミュージカルの音楽などウェルメイドな往年のハリウッド娯楽映画風なのに、徐々に、冷戦・人種・家族をめぐる社会問題が絡んできて、でも最後はしっかり「愛」の物語として昇華されてました。印象的だったのは、悪役ストリックランドの家庭は、まさに50年代のファミリードラマが描いてきた「理想の家族」そのものであり、彼に対峙して「怪物」を守ろうとする主人公たちは、障害、人種、同性愛、イデオロギーといった点で、その「理想」の家族像から最も遠いところにいる人たちだったこと。でも、その遠い世界にいる人たちこそが、もっとも「人間らしく」生きているという逆説を描ききった、美しいラストシーンでした。そこにスパイスとして絡んでくるエロやグロも、人が生きるということにつきまとうものに目を背けず、それと共に生きるからこその美しさを描くんだという監督の信念を感じました。あと、主人公が突然歌い出すミュージカルのシーンは、伝統的なハリウッド映画の手法を使って「古きよき」映画を支えてきた固定観念みたいなものをひっくり返す名シーンだったと思います。だって、歌い出すのは言葉が話せない質素な掃除婦の女性で、そのお相手は卵を食べるのに夢中な半魚人ですよ。でも、そのシーンの美しさたるや。1年前にオスカーを賑わした美男・美女のミュージカル映画との対比も面白いです。ギレルモ・デル・トロ監督はハリウッドでは異色の職人監督というイメージでしたが、その彼がいつのまにかハリウッドのど真ん中で、もっとも現代のハリウッドらしい映画を撮っているということにも、ちょっと胸が熱くなります。それにしても、キュアロン、イリャニトゥに続いて、今のハリウッドはメキシコ出身監督なしには成立しない場所になりましたね。いろんな意味で現代を象徴する一作品だと思います。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 9点(2018-03-12 10:55:37) (良:3票) |
19.《ネタバレ》 ファンタジーであり極めてシンプルなラブストーリーであると思う。そして映画愛と呼ぶべきオブラートにくるんではいますが、根本的にはホラーと思いました。もちろん、聾者の女性とゲイと黒人とロシア人と(半魚人のような)異形の者が力を合わせて、一匹の怪物と戦う物語です。最後、二人が海中に漂うラストシーンはあまりにも美しくて、涙が出ました。 愛し合う二人しか存在しない世界。そこは、差別、偏見、俗物といった概念が存在すらしない、遠い遠いアダムとイヴの楽園を思い出す。だから見方によっては、腐敗したこの世界(地上)にサヨウナラ、といった物語でしたね。こういった普遍的な娯楽映画がアカデミー賞作品賞とは素直に喜ばしいこと。でも、昔みたいなクラシックな(男と女の)恋愛ドラマ、アカデミー賞でまた見たいです。 【タケノコ】さん [映画館(字幕)] 7点(2018-03-11 23:23:36) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 やられました。 最後、泣きました。 この作品は一筋縄では行かないです。 カメラワーク、画面処理の流麗な流れ等、ウエルメイドな 往年のハリウッド作品を彷彿とさせるつくりでうっとりさせますが、 描いてる内容は非常に異端・異形。 サスペンス演出も堂に入ってて、そんじょそこらのアクション・サスペンスもの を完璧に凌駕してます。 女主人公の孤独な心情を表現する部分に若干のオーバーアクトを感じないでもないですが、 体当たり演技も含めて称賛に値します。 隣人役も主人公を助けるステロタイプな演技で鼻についていたのですが、 行きつけのダイナーで、あるカップルを人種差別した店の主人をなじる 場面で一気に好感度が増しました。 最後の場面、傷が治って声が出るのかなと思っていたら、その予想の上を行く展開に 「いやあー、映画でしかできないカタルシスですね。またご一緒に楽しんで まいりましょう」と一人悦に入り、そして、鼻をすする音が隣の女性客に 聞かれたかなと心配しながら延々と続くエンドクレジットタイトル を見つめていたのでございます。 ラストシーンが隣人の画家のこうあってほしいという妄想を描いたラストでないことを祈りながら、 謹んで10点満点を献上させていただきます。 【大通り・ヘップバーン】さん [映画館(字幕)] 10点(2018-03-10 15:57:59) (良:4票) |
17.《ネタバレ》 え?これがアカデミー作品賞?というような内容だった。デル・トロ監督は、やはり「パシフィック・リム」の続編をやらせておけばよかったんじゃないかと思う。現実に作品賞を取ったのだから、そうとばかりも言えないが。【ネタバレ注意】半魚人というテーマはもとより、サスペンスあり、ラブストーリーありという内容とは聞いていたが、どれも中途半端。何より“恋に落ちる”理由がわからない。もちろん“声が出せないものどうし”の心のつながりみたいな描写はあるのだが、ほとんど会話ができないのだから、虐待を受け続けた半魚人に対するナイチンゲール症候群?みたいなものなのか、あるいは興味本位でのアチラの相性がよかったのか、とかそういう感じになってしまう。それが高じて風呂場を水槽にしてしまうところは完全に迷惑な住人でしかなく、素で引いた。雨が降って水量が増える日がカレンダーに記されているとか、この当時の天気予報の精度がそこまで高いという気もしないし、ご都合主義がすぎるのではないか。手話で四文字誹謗とかあの状況で目立つことをするというのも解せないし、スパイ研究者の最期も、死の瀬戸際でなぜ彼女たちのことを明かしてしまうのか。それはないだろう、ということが多くて感情移入しにくい作品だった。また、R18+とかR15となっていたところも、そこまでの描写が必要だったか疑問。なお本題とは関係ないが、原文で「タージマハルものですよ」と言っていたところが、分かりやすくしようとしたせいか字幕で「世界遺産ものですよ」となっていた。この時代に“世界遺産”なんてない。 【mohno】さん [映画館(字幕)] 5点(2018-03-10 12:19:44) (良:1票) |
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16.主人公と不思議な生き物が、恋に落ちる理由が理解できませんでした。この映画を見るうえで、ここが納得できないと、物語が成り立たないので、あまり楽しめなかったです。それ以外の出来はすごく良かったので、とても残念です。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-03-09 22:56:04) |
《改行表示》15.《ネタバレ》 少々毒気の有る、大人向けの御伽噺。 映画は映像作家の頭の中にあるビジョンを形にする芸術の一つだと思う。 その意味で本作は他のアカデミー賞作品賞候補作の中で、最も「映画」らしい作品だと思えた。 ただ、作品賞の獲得は素晴らしい事だが、私には監督が好きな様に撮った作品がたまたま世相とマッチしただけの様にも思える。 例えて表現するなら、キワモノ的な作品を好んで撮っていたティム・バートンが、実父の逝去という経験を経て「ビッグ・フィッシュ」と言う愛すべき作品を撮った様に、本作を経てギレルモ・デル・トロ監督が映像作家として今後より素晴らしい作品を創り上げてくれる「新しい段階」を迎えたかの様に思え、 それが何よりも嬉しかった。 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-09 13:00:59) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 必要ないのではと思えるエロな部分、これをなくせばR+15にはならなくてもっと興行成績を伸ばせたのではないかと思ってしまうが 監督の強い「こだわり」は興行成績度外視で自分の思う「アマゾンの半漁人」を作りたかったのではないかと思う。 その「こだわり」が映画の完成度を上げているのは間違いないし、個人的にも良い作品に出合ったと思っています。 しかし、それでも「スリービルボード」の方が作品賞を取ると思っていました。 だってこの監督はヲタクであって「人種差別」「移民問題」は周りが勝手に騒いでいるだけのような気がするから。 もちろん何もメッセージ性がないとは言いませんが。 アカデミー賞が反トランプのメッセージの場や「セクハラ」を訴える場になってるのがちょっと疑問に思うが、それもまぁ世相なのかな。 【かのっさ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-06 12:10:07) (良:1票) |
《改行表示》13.《ネタバレ》 最初に彼女は「姫」と形容され、声の出せない「姫」ということで「人魚姫」なのだとわかる。 権力を持たない登場人物たちは皆二面性を持ち、抑圧され、秘密を持ち、互いに寄り添いながら生きている。そしてこの物語を通して自分の知らない自分を発見/表現していく。 だいたいそうなるだろうという予想は裏切られることはないが、その場面を目にした時に震えが走った。特に首の変化に。 マッチョな敵がいて成り立つ話ですが、まだまだこの世は二元論的なテーマに添っている、ということですね。 どうかふたりが幸せに暮らしていますように。 半漁人上等です。というかそこまで異形の相手や、心身ともに変化する自分自身を受け入れられたらもう怖いものはないと思います。 【えんびす】さん [映画館(字幕)] 9点(2018-03-05 22:06:30) |
《改行表示》12.《ネタバレ》 あの研究所が何をやってるのかよくわからない。 主人公と一緒に暮らす画家の関係性もよくわからない。 画家に怪我を負わせ、猫を喰って逃走した謎の生物が、すぐに戻ってきて改心し、猫と遊んでいたのもよくわからない。 ナレーションの人物が誰なのかもわからない。 トイレで用を足す前に手を洗うのがわからない。 たぶん私の理解力が足りないだけなんでしょうね。 ストーリー自体は寓話性に満ちていて実にシンプルだし、マイノリティーに対するテーマも判りやすい。サスペンスもある。ただ、悪役はちょっとステレオタイプなのと、ラストがいまいちだったかなぁ。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-03-04 22:50:14) |
11.《ネタバレ》 ○何となくバッドエンドを想像していたが、一応は分かりやすいハッピーエンドのファンタジー。○愛は形ないものというが、主人公を軽蔑する(女性として、話せない人として)ストリックランドが形あるもの(車や指等)を次々に壊され失っていき、最後は首を斬られるという皮肉な最期。○同性愛と人種差別は、ストーリーが進む上で必要なシーンとして組み込まれているが、ポリティカル・コレクトネスを意識したのか、ちょっと不自然。頭を撫でると髪が増えるのは…。○終盤に「ラ・ラ・ランド」的なミュージカルシーンが挿入されるが、そんな妄想に浸るイザベラをよそに、ゆで卵に夢中の「彼」には笑った。 【TOSHI】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-04 20:31:33) |
《改行表示》10.《ネタバレ》 予告編を見た段階では、面食いの私としてはこの主役に感情移入することはないなと思っていたのだが、実際には開始数分位でこのヒロインを可愛いと感じてしまい、後は最後まで引きずり込まれて見てしまった。 ストーリー上はいろいろ突っ込み所はあると思うが、ファンタジーとして見れば私としては全然問題では無かった。 半魚人というのは一種のメタファーで恐らく今のアメリカ社会はマイノリティに対する待遇が変わりつつあると思うのだが、マイノリティに対する優しい視線と厳しい現実を描き、この監督自体オタク少年でマィノリティであったためにその心情と現代に対する警告を描けたのかと思う。 ファンタジーでありながらも1本筋の通った主張があり、なおかつ面白いというある意味理想の映画表現のような気がする。 印象的な素晴らしいシーンも多いのが嬉しかった。特にヒロインが半魚人に抱かれている表情やミュージカルのシーンや。 それと、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」と「ドリーム(Hidden Figures)」に出演していたオクタヴィア・スペンサーがこの作品でも主人公の同僚で友人として出演していたが、彼女は名作請負人と思えてしまう。 【rosebud】さん [映画館(字幕)] 9点(2018-03-04 18:51:40) (良:1票) |
9.文句なしの10点! 「パンズラビリンス」がこの監督の最高傑作だと思っていたが上書きされました。基本的には愛の物語だが恐怖、エロ、グロが綯交ぜとなり、ざらっとした描写が良。大人の「美女と野獣」か。 【kaaaz】さん [映画館(字幕)] 10点(2018-03-03 22:30:27) |
8.《ネタバレ》 半魚人に恋をしたので何とかがんばって彼を逃そうとする、と言った大変シンプルなお話。デルトロ監督らしい60年代アメリカの煌びやかさや造形美、エロとバイオレンスも相まって終始ドキドキ気が抜けなかった。取り敢えずハッピーエンド?なので良かった良かった。久々に良い映画を堪能出来た感じになれました。 【Kの紅茶】さん [映画館(字幕)] 7点(2018-03-03 19:39:59) |
7.《ネタバレ》 ごめん。私にはただの半魚人にしか見えなかった。それは私の心が貧しいからだと思うが、肝心な所で「ただの清掃人だ」とか核心をつく事言うなよ!とか、そしていの一番に駆けつけるのが、そっちの方かい!とか思ってしまった。でもヒロインはF,U,C,Kとやったり、あんたもなかなか言うねーと思う。そう言うのは嫌いでないです。画面の雰囲気と音楽も良い。全体として見て損する映画ではないです。 【ぴのづか】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-03-03 18:48:16) |