273.《ネタバレ》 なぜか世界を変えてもアイテムは変わらない。 そのアイテムは書き換えられないのか?? これは私の解釈で考えますと、 聖書のようなものだと思います。 バイブル・・ それは読み方解釈の仕方によっては書き換えられる。 聖書そのものは書き換えられなくとも行動は変わりますよね。 最後には燃やされることやユダヤのこともちらっと出てきます。 神にそむいた行動ということは、 いくら自分が良かれと思ってしたことでも、 運命は根本的には変えられない。 道は変わっても解釈で書き換えられようとも、 犠牲になる人間が変わるだけで同じなのです。 実によくできた映画だと思いますよ。 よい映画だと思い始めたのは、 少年時代の悪役の子供が変わるシーン。 初恋の少女の兄という設定ですが悪魔のような子で、 周りがこいつのために不幸になるのは許せないと見ていて、 しかし実は道が変わるとまた別のいいお兄さんにもなっていて、 ここらから主人公に共感し、 こいつの人生を変えるのはおこがましい。 そして最後の道を選んだ主人公にさらに共感し、 ああ、この主人公がどんなに彼女のことを思っていたのかが理解できました。 究極の愛は一番好きな人に背を向けること・・ 普通に時間が穏やかに流れる中で主人公だけがその記憶を持つ。 この切なさは、 最初の自分だけが記憶を失くした感じとダブります。 仲間は幼少時の記憶のトラウマがあるけれど、 自分だけが記憶喪失で日記の空白がある。 自分探しの旅ができる能力を利用し、 過去を変えてゆけば誰かが犠牲になる。 後味は切ないんですが、 このての「時をかける少女」映画は、 もしかしたら新しい出会いがあるかもしれないという、 それからの展開が希望的なものに変えられる可能性も秘めています。 「ダークシティ」のエンディングのように、 主人公だけが真実を知っていて、 相手は知らないから可能性があるわけです。 両方の記憶があれば出会うことを避けてしまうかもしれないから。 そう考えたいのか別エンディングのシーンを見ると後味はこのままでいいとおもいます。 【アルメイダ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-23 13:37:43) (良:1票) |
272.もしもあのときこうしていれば・・を複数のストーリーで見せてくれる映画といえば『スライディング・ドア』だったり、その元ネタとなったキエシロフスキーの『偶然』が代表に上げられると思うのですが、その複数のストーリーを観客だけではなく、主人公自らも体現してゆくというのが今作の新しいところ。そのカラクリがいまひとつ理解できないのですが、そこは無視するとしましょう。前半、つまり子供時代はとても面白く見ていた。重要と思われる部分の記憶が飛んでて、主人公と同じく観客にもその空白の部分は明かされない。その記憶の空白の後の残酷な絵や包丁を持ってたたずむシーンは、空白の謎に興味を抱かせるにはこれ以上ないほどの衝撃的な画となっている。ところがその大きく膨らんだ期待に対する回答は思ったほどの驚きはなく拍子抜け感は否めない。後半のストーリーにも結末にも文句は無いが、前半のドキドキワクワクをちゅうぶらりんにされたままの私にとっては文句も無いかわりに満足感も無かったのでした。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-02-09 15:24:51) (良:1票) |
271.《ネタバレ》 鑑賞中、重度の精神疾患に陥った気分になりました。何が本当で何が偽者か。主人公には最初から特殊な能力などなく精神を病んで現実と空想が錯誤しているのかと思いました。私も精神を病むとこんな風になるのかと途中怖くなりました。ストーリーは良く練りこまれていてラストまでスピード感があり一気に観れました。 【hinasakusu】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-01-21 15:28:41) (良:1票) |
270.《ネタバレ》 これはよく出来ている。つなぎ方とかすべてが巧い。でも、がらっと話が変わるもうひとつのDVDのほうはいいんだけど、エンディングが3つあるってやつはいらなくねぇか?ストーカー編とか。 【ばっじお】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-05 01:16:48) (良:1票) |
269.《ネタバレ》 普通の映画なら、「いっそ出会わなければ、上手く行くかも」っていう後ろ向きな姿勢は、 ラスト1歩手前の選択。大抵は、それでも上手く行かなくて、 「やっぱり、諦めず困難に立ち向かっていけば、(あるいは、知恵を出せば)幸せは作り出せる」 ...ていう話だよね。「ああ、あの時そうすれば、みんな幸せになれるのか...なるほどな」と 感心して終わりたい所だが、本作は違う。諦めて、距離とって終わり。マジ?。 まあ「人は神ではない。過去をいじる事自体おこがましい」なんていうテーマもあるだろうし、 ああいうラストになるんだろうけど。後ろ向きな姿勢で終わる、珍しい映画かも。 幸福そうだったり、不幸だったり、彼女の七変化(?)が見事。 【じょるる】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-12-31 00:21:18) (良:1票) |
268.人は何かを失うことでしか次の何かを得ることが出来ない。両手をどんなにめい一杯に広げても、その掌の上に乗るものの量や大きさは決まっていて、欲張って乗せたりすると当たり前のように脇から零れていく。人生は何かを捨て、何かを選び、また何を諦めながら続いていく。本当に大切なことなんてわからない。一年後に何が残っているかもわからない。だけど人は後戻りのできない一瞬一瞬の繰り返しの中で生きている。そんなの当たり前でわかりきっていることだけど、でもそれでも人はいつも過去を振り返り、「あの時はこうしていればよかった」とか「あの時、なぜいってやれなかったんだろう」とか悔みながら生きている。過去に戻りたいと誰もが願い、誰もが頭の中では過去に戻っているだろう。この映画はそんな誰もが戻りたいと思った過去に日記を読むだけで戻れるという一人の青年の話。羨ましいと思って観ていたけど、終わってみると羨ましいなんて感情はどこかへ消えていた。“切ない”この感情は色んな映画で感じてきたけど、この映画ほど衝撃的な切なさは今まで感じたことがない。心の深いところに直接染みこんで来る切なさは、体全体に広がった。痛み、涙、張り裂けそうな想い。エンディングで流れるoasisの『Stop Crying Your Heart Out』がぼくの涙の蛇口を開けっ放しにした。『Stop Crying Your Heart Out』を引き立てるためにこの映画があるような気がするし、この映画を引き立てるために『Stop Crying Your Heart Out』が存在するような気もした。何から何まで切ない色で染められたこの映画は、ぼくの心に深く深く残った。。 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-10 23:59:44) (良:1票) |
267.《ネタバレ》 かなり期待していたけど、その期待を裏切らず、一瞬も目を離せない。構想・脚本に6年を費やして暖めてきたというだけあって、脚本、ストーリー展開も見事。開始からぐいぐいと引き込まれていった。主人公の子役って、この子があんな顔になるのはちょっと無理があるんじゃない?と思う部分が多いのだけど、この作品の場合、エヴァンはもちろん、脇役の子役が皆正にぴったりという感じで違和感なく見れた。コメディ中心のアシュトンの演技はどのようなものかと観る前は思っていたが、見事のエヴァンを演じきり好印象。エイミー・スマートも「ロード・トリップ」の印象が強かったのだけど、演技の幅を広げましたな~と思った。レニーを演じたエンデル・ヘンソンもこの役のために3週間で7㌔も減量しただけあり、印象深い演技をしている。エヴァンがケイリーに「さよなら」というシーンはとても切なかった。そうか~出会わなければよかったとはこういうことなのね、と。仲良くならない方がいいから「お前を殺す」ってケイリーを脅して、彼女が去った後には「さよなら」でしょ。切なすぎるよ。個人的には7歳のエヴァンを演じたLogan Lerman君の豹変ぶりには一番鳥肌が立った。子役の演技が上手いのですんなりストーリーに引き込まれたというのもあるかな。いや~すっげ~面白い映画を観たものです。 【アンナ】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-10 10:26:30) (良:1票) |
266.《ネタバレ》 どっかで見たことあるようなストーリーだった。皆言ってますが、たしかに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に近い感じですね。でも、この手の映画ってずるいですよ。失敗しても何回でも過去に戻れるんじゃん。ゲームと同じですね。クリアするまで何回でもやり直せばいい。ただ、納得いかないのはこの主人公の選んだエンディング。たしかに、切なくていい終わり方だとは思いますが、ワタシなら違うな。まず、ケイリーの父親に誘われても、地下室へは行かない。郵便ポストに爆弾も仕掛けない。そうすれば何も悲劇が起きず、平穏な人生になったんじゃないのか?まあ、映画としてはつまらないですけどね(笑) 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 3点(2005-12-02 23:24:44) (良:1票) |
265.これを考えた人は「かまいたちの夜」の「ピンクのしおり」をゲットしてると思います. 【マー君】さん [DVD(吹替)] 7点(2005-11-23 15:04:06) (笑:1票) |
264.《ネタバレ》 過去に「意識だけ」が飛んで行って「何かを成す」、意識をのっとられた分、過去の自分には「そのときの記憶がない」ということか? あるいは過去に意識のない瞬間がいくつかあって、そこに「意識をもぐりこませる」ことができ、「何かを成す」ことができるのか? このあたりがどうにも気になって、夜も眠れなくなっちゃいました...というのはウソだが、少なくとも思ったほどお話に入り込めなかった。 それから、「下手な鉄砲」式に、行っては戻りするのも、「無理やりかよ」って、なんだかなぁ~という感じではあります。 んが、しかし。その当時のことに意識を集中すると「タイムトリップする」という設定は目新しく、さらに何度やっても思うようにならないあたりは、いままでにない感覚で、「先の見えない感」を楽しませていただきました。 ということで、私的には「そこそこ良」の7点 【んぽ】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-19 14:55:09) (良:1票) |
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263.《ネタバレ》 いやあ、こんなにドキドキしながら見たのは久しぶりです。やっぱり、映画を見る時には何も情報を入れないに限りますね。派手な宣伝も無いし、雑誌なんかにも大きく取り上げられる事がなかったので、目に触れずに済みました。もし、少しでも知ってたら10点だったかどうかわからない。しかし、途中まで彼にどのような能力があるのかほとんど気づかせる事なく、しっかりと伏線がはれている所が素晴らしい!また、一人一人に特徴を与えて、変化後の人生がどうなるのか・・・というのを期待させる所もいい!中盤から彼の能力が分かっていてもどうなるのか、全く予想がつかない(と、いうかワザとあまり役に立っていない場面まで、しっかりと使ってストーリーがくまれていた)ので、見る方としては、昔流行ったゲームブック(知らないかなあ「右なら→26pへ」とかいうやつなんだけど)感覚。そして、最後の最後に日記以外のものが使える事にも気づいて・・・というとろは完璧!無駄な登場人物がいない! 【蝉丸】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-12 01:07:24) (笑:1票) |
262.「切ないハッピーエンド」という宣伝文句に全く偽りなしの傑作映画。凡人には100%思いつかないであろうストーリー展開の巧みさは流石の一言!ネタ切れでリメイクに頼ってばかりのハリウッド映画に希望の光をともしたことでしょう。あとキャストも魅力的。デミ・ムーアの旦那というイメージばかりが先行してる感が否めないアシュトン・カッチャーも初めてのシリアスも堂々とやってて好印象ですね。相手役のエイミー・スマートも無名というのが信じられないくらいの存在感があって素晴らしい。綺麗なんで是非とも売れて欲しい女優さんである。オデブな親友、“どS”すぎる兄貴も良い仕事したよね。あと多くの方が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』っぽいと書かれていたので、軽いノリのコメディタッチなSF映画かなと思って見てたら、全く違ったのにも驚きましたね。意外にもPG-12級の暴力シーンが大半を占めており、けっこう意表をつかれた気分です。僕的には全然OKですけど暴力描写が苦手な人やソフトなラヴストーリー映画を期待した人は観るのを辞めるべきです。後悔するでしょう。ちなみに僕もエンドロールのオアシスの“Stop Crying Your Heart Out”が流れると涙腺が崩壊しました。サビなんてD→A→Em7→Gという単純なコード進行(エアロスミスの某曲にも似たの有り)なのに・・・やっぱりシンプル・イズ・ベストって事なんでしょうかね? 【ピルグリム】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-11-11 21:23:11) (良:1票) |
261.《ネタバレ》 ストーリーは悪くない。少し辛口にならせてもらうと、タイトル負けしている感あり。「初期段階での小さな違いが、後々の大きな違いにつながる」事をタイトル上にも表現したかったんでしょうけどね。過去を振り返って、「あの時にああしていれば、現在はもっと違ったものになっていたでしょーに」という誰しもが持つ想いは、カオス理論とはまた違うのではなかろーか。このタイトルを使うなら、もう少し緻密な、マニアックな作品にして欲しかった。過去の修正部分が現在という結果にいたるまでの過程を、もう少し細かく描いてこそタイトルが生きてくるのに、ただばんばかフラッシュさせて、エヴァンにどーっと鼻血を出させるのはいかがなものか。これだと従来のタイムスリップ物とそう変わらない。脳の構造とやらもとりあえず辻褄あわせにくっつけてみました、感がぬぐえなかった。これらの中途半端な科学のうんちくが無ければ、SFが絡んだラブストーリーとしては結構出来がよかったと思う。ラストはちょっぴり、ホロリといたしました。 【ろこもこ・らいす】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-04 01:34:04) (良:1票) |
260.《ネタバレ》 「なぜあの時決断しなかったのか、なぜあの時前進する勇気がなかったのか・・・。」何かが変わったのかもしれないのに、自分は動かなかった。今とは違う、別の未来があったのかもしれないのにと考えることはよくあります。 エヴァンのような力があれば、私も過去に戻ってやり直しをはかったでしょう。けれどエヴァンは何度も失敗し、先の未来をより悲惨なものにしていきます。ケイリーを救おうとする度にこじれていき、エヴァン自身も苦しんでしまいます。 ケイリーが叫んだ、「ならあたしを救ってよ!!」という台詞にとてつもなく胸が痛みました。その時エヴァンが流した、一筋の涙もとても切ない。「必ず迎えに来る」と約束したのに、結局は迎えに行けず、助けることもできなかった自分のふがいなさと、時の流れ、自分達を取り巻く運命を痛感した瞬間だったんだろうなあ。 とうとう追い詰められたエヴァンがとった究極の選択。それは、エヴァンにとって常に一緒でなければならなかった存在を「離れ離れ」にすること。それによってケイリーの未来は開けていくのです。愛する者の幸せの為、彼は自らの幸せを捨てることになったのです。こんな辛いことってあっていいのかぁあ(泣)。 最初で最後の二人の接触になってしまった、「さよなら」。別バージョンのエンディングはどちらもいらん!!でないと、この「さよなら」の意味がなくなってしまうと思います。颯爽と歩いていくケイリーはきっと不幸ではないでしょう。今なら彼女に話しかけてもきっと問題は起こりません。それでも声をかけなかったエヴァン。何度も過去を書き換え、何度も違う未来を作った。そのたびに周囲の人々に辛い思いをさせた。結果エヴァンは最後の選択をして彼女を守りました。だから、きっともう何かを変えることは許されないと思ったんだと思います。そしてそれは自分への「けじめ」でもあったんじゃないかなぁ。 過去は今を作ったいわば土台のようなもの。その上を生きていくのはその人の運命なのだろうと私は思ってます。悲しい思い出も、それが生きることの一部なんだろうな~。心に残るラストでした。オアシスの主題歌もとても良いです♪ 【ショップガールinNY】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-26 00:07:18) (良:1票) |
259.《ネタバレ》 惜しいー!超大傑作に成り損ねた、佳作中の傑作。 開始30分と終わり5分は完璧に等しい出来。彼女を救うために主人公は特殊な能力で過去を変え、良き未来を誘発しようと奔走する。やや場当たりな展開はあるが、一番納得できないのは彼女が死んだ時の主人公の態度。物語上彼女への愛が主人公のモチベーションとなっているのだが、彼女の死にあまりにもそっけないのだ。まあチャラ男風情のアシュトン・カッチャーがやっているせいもあるのか。ただラストシーンには鳥肌モノ。哀しさと切なさにむせび泣け(涙)。 【カイル・枕クラン】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-09-20 00:49:17) (良:1票) |
258.カオス理論っていうの? タイムパラドクス? よくわからないけれどそれは実生活でもイメージがわきますよね。「あのときこうやっておけば」とか「あの人に会っていれば(会わなければ)」とか・・・ふう。ま、そんな感じです(意味不明)。バタフライ効果といっても『オールドボーイ』じゃないですよ。どちらかというとシリアスな感じの 『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』かな。一瞬だけ過去に戻れて「そのとき」をリロードすることができるから。でもこの手の映画ではつきものですが「こちらに立てばあちらに立てない」。必ずうまくいかないものです。友人が凶暴になっていたり、誰かが死にそうになっていたり。もう本当に疲れます。トラウマ要素が連発なんだもの。そしてラストは・・・。WIN WIN WINってほんとなのかな? 何かが誰かが犠牲になる。それは誰も気付かないところでかもしれない。悲劇は自分だけ知っている。とても悲しいね。そしてエンドロールにかかっていた曲はオアシスだった。そこでまた泣きそうになりました。いい映画でしたね。ちょっと重いけれど。 【ひろすけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-07-06 21:17:42) (良:1票) |
257.《ネタバレ》 ふと私は日記を書くのが嫌いな事を思いだした。懐かしい思い出が残り、気持ちが整理され今後に活かせる点も多いだろう。しかし残すより、忘れたいことも多い。これは私の弱さでもある。そういえばエヴァンは辛い過去を忘れたかったのではないのか。彼は「君を迎えに行く」気持ちさえも過ぎ去った思い出にしていた。しかし日記を読むことで欠けている記憶を取り戻したくなった。それは「現実のようだった」不思議な体験がきっかけだが、日記というのは、過去に生きるようにさせてしまうのではないか。結果ケイリーの忘れたかった過去を蘇らせ死に追いやってしまう。幼いころ、ケイリーは置き去りにされたような暗い眼でエヴァンを見送った。傷つくことを恐れ彼女もここでエヴァン(過去)を捨てたのかもしれない。エヴァンは「君を迎えにいく」のメモ書きを同じ暗い眼でケイリーのお墓に捨てている。彼女が捨てた思い出を、まだ自分は大切に持っていた過ちに気づいて捨てたかのような哀しい場面だった。しかし後悔は消えず、過去を変えてしまう。ケイリーへの想いを幼い頃のように純粋に持てたものの、消したはずの「怨嫌」の感情が誤算を発生させてしまう。またやり直しても友達の「怨根」が悲劇を招く。その原因の欠けた記憶、それをエヴァンはとうとう思い出してしまうのだ。誰もが持っているはずの過去というものは、いくら後悔してもそれ自体を変えることは出来ない。それがまず怖ろしい。そして過去というのは非常に捨てるのが難しい。忘れたくても刻んでしまうのだ。誰かを怨んでいないだろうか、後悔していないだろうか、辛かった心のキズはいまだ傷んでいないだろうか。それが今の自分を滅ぼすことになりかねないかもしれない。過去ときちんと向き合うことは大切だ。しかし決して変える事のできないそれに囚われすぎるとどうなるのか、この映画の怖さはとてもリアルなものだった。冒頭の脳のCT映像に重なる蝶の羽ばたきは記憶ではないだろうか。記憶の書き換えでボロボロに血を流すエヴァンは惨めだった。希望を持ちたくても、日頃心の奥底に隠してあるはずの過去を浮上させては、現状にやりきれない思いを抱えてしまうのは実際情けない。「過去を変えたい」エヴァンの有りようは、そんな人の弱さを実直に肯定しているような気がした。エヴァンは日記を捨てた。その心の傷みはこちらに十分に伝わってきた。とても良い映画だった。 【ひいらぎ】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-11 01:23:49) (良:1票) |
256.知人に強く勧められ、“主人公は過去を変える能力がある”という前知識だけで鑑賞。 いざ始まるとその能力はなかなか描かれず、時に記憶が欠落し不安にかられる幼年期の主人公が描かれます。これが安易に恐怖を高めるためだけのものでなく、話が進めばきちんとした理由があることがわかり、この映画の凄さを痛感します。PG-12ということで残酷なシーンも多々あり、かつ上質なスリラーでありながら、ジャンルワケするならラブストーリー。 “過去を変えられれば”と以前は思いましたが、この映画を観た後は現在を肯定出来るようになった気がします。終劇間近からエンドロールで流れるoasisの“あの曲”は、まさにこの映画の為にあったかのよう。声にださず口ずさみながら涙を流しました。観終わった後はぐったり。 【巷説犬福物語】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-06-10 00:07:34) (良:1票) |
255.《ネタバレ》 タイムトラベルの話しは好きなので期待通り良かったです。とても期待して見始めたら、最初に少年時代の話しをこんなにするとは思っていなかったし、ロリコンの場面が出てきたり、かなり面食らいましたが、テンポよく話しがどんどん進むので引き込まれてみました。全編を通してスキやムダのない話しで、悲恋でありながら、後味が悪くならない、ちょっと切ない話しでした。 自分の幸せよりも母親の幸せ、彼女の幸せを願う気持ちが彼にとっての救いになったのだと思います。 今から思えば、子供のころに描いた殺人の絵とか、幼少時のフィルムを見ながら机の下で書いたメモ書きは何の役に立ったのかとか、判らないところも少しあります。いずれDVDを見て解決できればと思います。 公式サイトで予告を見ていたら映画を見る前に結末が判っちゃったのがちょっと残念でした。予告編の作り方をもう少し考えて欲しいです。 【カオナシ3号】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-05-21 23:34:15) (良:1票) |
254.今までに観たことがないタイプの良作。人間の精神的な部分をかなり緻密に描いている。過去を少しだけ変えることができる男の話だが、この作品からは「過去は絶対に変えることはできない、選択を誤るな」というメッセージが確実に伝わってきた。日常生活で後悔することはたくさんあるけれど、それを一つ一つ受け止めることしか僕らはできない。常に前を向いて歩こう。そんな風に思わせてくれる作品だった。 【こばやん】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-02-13 03:31:43) (良:1票) |