57.《ネタバレ》 ミヒャエル・ハネケとラース・フォン・トリアーは似ている。共に世界的に注目を浴びた欧州の映画監督であるというだけでなく、ヨーロッパ映画特有の陰影に富んだ映像も、観る者の神経を逆撫でするような挑発的なその作風も、まるで双子のように似ている。だが、二人が決定的に違うのは、不快感を煽るその挑発の種類である。フォン・トリアーの映画は、執拗にダークサイドを描きながら、ある種のねじくれた幻想として存在する。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも『ドッグヴィル』でもフォン・トリアーが描くのは、哀れな主人公を矢継ぎ早に襲う、幾多の悲惨な出来事だ。非現実的なまでに畳み掛けるそれらの不幸は、明確な作為をもって生贄たる彼女たちに与えられる。そうすることでフォン・トリアーは恐怖や絶望を第三者として愉快犯的観点から支配しようとするのだ。そして安全地帯からそれを見つめる私たちを共犯者に、恐怖や絶望を見世物=他人事とする、どす黒くも安全な「幻想」としての映画が出来上がる。一方、ハネケは身も蓋もないほどにありふれた現実として、恐怖を描こうとする。私たちは目撃者でも傍観者でもなく、当事者となる。そうして冷淡にハネケが突きつけるのは、今日も世界のどこかで起きているはずの、そして明日は我が身を襲うやもしれぬ、身近な、それゆえ恐ろしく生々しい、そんな絶望だ。ぎりぎりのところで精神の均衡を保っていた『ピアニスト』のエリカも、ささやかなバカンスを楽しむはずだった本作『ファニーゲーム』の家族たちも、ハネケは彼らを、明日の私たち自身の血腥い絶望の姿として、そこに置くのだ。そんな中にあって、あからさまに緊張感を削ぐテープの巻き戻しやカメラに語りかける犯人の構図だけが異質だ。場違いに(それこそフォン・トリアーのような悪意と作為で描かれる)「幻想」的なこの二つのシーンは、あまりに生々しくおぞましいスナッフフィルムの如き本作における、ハネケなりの良心だったのだろうか。そんな彼は自身によるハリウッド資本でのセルフリメイクを、ただ俳優を替えてそのまま焼き直しただけの、単なるコピー商品として完成させた。それはまるでヒッチコックの傑作『サイコ』を、変えるべきところなど一つも無いとばかりに、まるごと模したガス・ヴァン・サントのように。 【BOWWOW】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-03-14 00:47:49) |
56.《ネタバレ》 普通の映画ではない。なので映画だと思って見るときつい。 【虎王】さん [DVD(字幕)] 3点(2010-02-09 17:14:30) |
55.《ネタバレ》 ほんと見てる最中ずっとイライラしっぱなしです。自分だったらこうするのに・・・とか、みんな思いながら見てるんだろうなと思います。そう思わせるように意図して作ってるのがみえみえでちょっと冷めますが。ともかくハッピーエンドを期待する人は見てはいけません。 これは好き嫌いハッキリ分かれると思いますが、ハッピーエンド映画、どんでん返し映画を見飽きてるので、たまには見終わった後に気分の悪くなる映画もいいですね(笑) 【かすお】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-21 20:08:02) |
54.結局、彼らのファニーなゲームに、我々も観客として付き合わされていた…ってこと? 【チャップリ君】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-07-17 18:01:31) |
53.なんとなくレンタル屋でパッケージの写真が気になり借りた。 イライラするムカムカするこんなに殴ってやろうと思た事は無い、本当に後味が悪く観て後悔する。こんな映画人に勧めたら自分の人格を疑われてしまう。 でも、あまりムカついたので続けてもう一回観てしまった。 もし良ければ僕の描いたイラストを見て下さい。http://www016.upp.so-net.ne.jp/konekoneko-dou/image268.jpg 【こねこねこ】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-06-06 23:02:33) |
52.この映画を観て「不快だ」というのは、ミュージカルを観て「歌の映画だ」というのと同じぐらい馬鹿げている。 唾棄するつもりで「不快だ」ということが、この映画にとっては最大の賛辞だからだ。 【とと】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-27 14:52:14) |
51.《ネタバレ》 「まだ劇場用映画の長さに足りねえよ」というセリフと“巻き戻し”。これが受け入れられるか否か。そこで私は否。前者はそれまでのカメラ目線の違和感が解けたことで、ははぁとは思ったのですが、巻き戻しはちょっと受け入れがたかった。正直、作品の内容によってはそれらを好意的に取ってしまうことは自覚しており、ハッキリ好みの問題なのですが、ね。まあ、敵(?)の思う壺ながら「後味悪い」ということが受け入れを拒否しているのでしょうか。 4点、ですが“ヨットのナイフ”にプラス1点。衝撃的な映画でしたが、ある意味でもっとも衝撃を受けた伏線でした。 【まつもとしんや】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-03-07 13:57:47) |
50.《ネタバレ》 恐怖映画ではなく嫌悪映画。イライラするって監督の術中にまんまとハマってるのかもしれない。巻き戻し、カメラ目線、救いようのないバッドエンド。全て「なめてんのか?俺だったらここでこうして殺してんな」とか思う。子供とかペットまで殺すとか俺の中ではまだタブーですから。 しかし決して駄作ではない。この監督の他のキャリアを見ても、映画作家としても立派だと思う。でも同内容でハリウッドリメイクしたんでしょ?そこが分からない。いったい何を考えてるのだろう?そこら辺も含めてますます不快に・・・。 そもそも「ゲーム」ってのはさ、ルールを聞いて、前向きに参加意欲を持つもの達でやるものでしょ?だからこの作品のゲームは結局理不尽でしかないですよ。高得点を付ける方の気持ちも分かるのですけどね。でも俺は敢えてこの点数を付けます。金出して借りてきて不快にさせられるのは気持ちいいものではないですから。 |
49.《ネタバレ》 中途半端な点でごめんなさい。そこまで不快になんないだろ~と思っていたらもう開始10分で憤怒状態でした。こらえ性なくてごめんなさい。いい感じの女の子または男の子に勧めれば破談になり、友人に勧めれば激怒されること請け合いな、そんな映画です。他の方も仰ってましたが、卵のシーンが一番むかつきます。 【まりんこ】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-12-13 23:19:34) |
48.《ネタバレ》 初投稿がまさかミヒャエル・ハネケとは何というめぐりあわせでしょうか。夫役のウルリヒ・ミューエはどこかで観た顔だなと思ったら、「善き人のためのソナタ」のヴィースラー大尉を演じた人なんですね。残念ながら2007年に癌で亡くなっています。ちなみに、妻役のスザンネ・ロタールとは実生活でも夫婦でした。感想は、世間の評判は聞いていましたが、計算された狂気の演出に良い意味で圧倒されました。エロもグロも意図的に抑制されて肩すかしを喰わされるのに、観る者の神経を逆なでさせる様な絶望感を味わせるなんてハネケの才能はすごいですね。観客に語りかける手法は、「アルフィー」のマイケル・ケインを思いだしましたが、この俳優にやらせるところが観る者を不快にさせるのでしょう。例の巻き戻しシーンに至っては、これはハリウッド映画のパロディのつもりかなと感じました。ハネケは舞台を米国に移してこの映画をリメイクしてますが、予告編で観たカット割りがオリジナルとそっくりでびっくりしました。決して人に勧める映画ではありませんが、7点は献上します。ちなみに地元のTUTAYAでは、「人に薦めたくなる名画100」の棚にこの作品がありました(笑)。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-09 01:39:36) |
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47.初めて(頼むから早く殺してやってくれ)と思いました。嫌すぎます、後味が悪いなんてもんじゃない。カメラ目線と巻き戻しは微妙なので-1点。 【まんせる】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-10-31 20:38:04) |
46.久々に狂った映画を観たというのが感想でした。理由無き理不尽な殺人ショーにはなんとも言えない憤りや最悪な後味の悪さが残る。逆にここまで鑑賞者の胸糞を悪くしようと考えたのだろうから最悪というジャンルでその徹底振りに評価できます。他に類を見ない映画でしたが一見の価値はあるでしょう。 |
45.《ネタバレ》 TSUTAYAにて「一番後味の悪い映画!」ってあったからレンタルしたわけですが、確かに。 白い手袋君が「卵くれ」って冒頭では「失敗したかなぁ・・・」と思ったわけですが、まさか巻き戻しされるとは。 救われない映画ですが、たまに見たくなる不思議な映画。アメリカでリメイクされたそうで、見たいもんです。 【悲喜こもごも】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-07-26 00:37:50) |
44.監督は「不快な映画の最たるもの」をテーマに作ったのでしょうか。だとしたら思惑どうり作られています。ほんとに不快。二度と見たくないけどしばらく頭から離れない映画になりそうです。 【鼻くま】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-05-03 14:39:50) |
43.《ネタバレ》 ここまで不快に感じた映画はない。イライラする。だけど、面白い。 巻き戻しや語りかけ、ウインクなどの演出はストーリーのリアリティを失くすということにおいて効果的だったと思う。 そしてこれらの演出はラストの会話の「虚構と現実は同じ」につながり、現実にもこういう殺人は起きている、ということなのだろう。 でも逆に息子が撃たれて二人が出て行った後の約10分間のあのシーンは気持ち悪いくらいリアルだったなあ・・・ 【eureka】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-26 00:43:39) |
42.《ネタバレ》 とうとう念願のファニーゲーム見れた! あまりにも過激(?)過ぎて生産中止、入手困難といわれているので見つけたときには歓喜の声を上げた。が、あまり期待しすぎたせいか、そ~れほど「ひどい」とは思わなかった。 まあたしかに、救いようはなかった。イライラしたりもしたが、なんだかあと一歩スパイシーが足りない気がした。なぜかというと、見終わったあと思い返してみて、一番ムカついたのが、最初の卵がどうのこうのという絡みのシーンだったからだ。監督は暴力の酷さを表したかったわけだが、なぜかこのシーンが一番癇に障った。しかしその中でも、息子の遺体に白いシーツをかけてたお父さんのやりきれないむなしさがすごく目に焼きついた。 演出部分は意外にも奇抜な感じで面白かった。たとえば、犯人役が視聴者に向けて「これで納得できますか?」と話しかけたり、死のゲームを降りたいといった父親には「ダメです。まだ収録時間残ってますよ?」みたいな事を言ってみたり、また、失敗したところはリモコンで時間を戻して、やり直したりと、結構おふざけみたいなところが混ざっていた。 最後は息子を失って打つ手がなくなった、父親が(当たり前だが)やる気を失っていたり、母親が殺されるところなんて、「え?今ので終わり?」って感じだったのでちょっと拍子抜けな部分が目立った。 【SAKURA】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-08-20 22:55:23) |
41.《ネタバレ》 まさに絶望を率直に感じさせる後味の悪さは郡を抜いて1位の作品です。ハッピーエンドというものはこの映画には存在しません。希望すらも存在しません。唯一この映画にあるのは「狂気」もしくは「精神崩壊」です。現代、実際に起こっている犯罪よりも、もしかしたら強烈に感じることすら覚えます。しかも、それを見せない暴力でやっていますから、この映画はどれだけ凄いか。「助かる!」と思った瞬間でもそれは悪夢の前兆です。まさか巻き戻しとは…。 【ユウジロウΣ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2007-08-03 16:33:29) |
40.見てからもう何年も経つんですけれど、未だに一番不快だった映画はと考えるとこれしかない。人間心理の盲点に深淵まで踏み込んだ傑作だと思います。見るにあたっては、出来れば最初から最後まで落ち着いていて。怒り出したらそこでお終い。 【Vanilla】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-11-19 13:57:51) |
39.ただただ「見てることしかできない」映画でした。テンションが急降下していって、最後の方は何も考えられなくて、じぃーーっと画面を見てることしかできませんでした。 助かったのかな……と思っても逃げられない恐怖。視覚、聴覚で否応に体感できます。 この映画を見ると悟りが開けます(笑) 【久保未歩】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-10-27 20:24:43) |
38.いやー、これは酷いわー。およそこちらが考えてる残酷な事を上回る残酷さで観客に見せつける。ワンちゃんだろうが子供だろうが容赦しない。常識も倫理もなけりゃ血も涙もない。あるのは狂気とルールだけ!ほんともう狂っちゃってるよね。コレ。リモコンで巻き戻しした時には気付いたよ。あー、不快にさせたいだけなんだって(--; でもラストでは虚構と現実がどうのこうのクッチャベッテルから、この映画は何か伝えたいメッセージがあったのかな?とちょっと考えちゃったりして2回観たけど。なんて事も無い、ただただただただ酷い映画!こうまで酷い映画を作った監督に負けたよ。逆に負けなかった人は点数低いんだろうなー。惨敗の僕なんて二人組がすることに少しワクワクしちゃってたからなあ・・ 【ホーラン℃】さん 10点(2004-11-02 18:51:20) |