126.《ネタバレ》 悪の威厳に満ちた素晴らしい作品だ。
全体的に流れる「秋」のようなメランコリックな雰囲気が良い。
悪魔的なおどろおどろしい音楽も素晴らしいが、平和なときに流れる静かな曲もとても美しい。
川の辺でダミアンがいなくなったと思ったら、ひょっこりと彼が現れる場面が好き。
子守ホリーが自殺する場面はとても素晴らしく、自分の中のホラー映画の名場面だ。
あの迫力!日常の平和を壊してしまうあの破壊力!
自殺する直前のホリーの笑顔にはとても怖いものがある。
黒犬もとても不吉な存在感だ。なんだか影になっている。
ダミアンの目つきは悪の眼光だ。あの目はなんだか冷たく鋭くて怖い。
カメラマンを演じている役者はとても良い雰囲気をだしている。
(カメラマンが死ぬ場面も名場面、、、)
ブレナン神父の何かに怯えるような、鬼気迫る表情が良い。彼はとても病んでいる。
神父の説得には威圧するような迫力があってとてもリアルだ。
神父の目からは涙まで流れて、彼の本気な感じが伝わってくる。
乳母のベイロックはとても嫌な感じ!
でもかなりの熱演で、そのために嫌な感じがするのかもしれない。
彼女はホントに勝手で押し付けがましくヒステリックな、不気味な笑みを浮かべるベイロックさん、嫌い。
グレゴリーペックは良いですね。この作品をきっかけに好きになりました。
奥さんのキャシーが家の中で「落ちる」場面では、とくに金魚鉢が落ちるシーンが何故か印象に残った。
「子守」「神父」「妻」「カメラマン」がそれぞれ死ぬ場面はホラー映画の名場面だと思う。
それは主人公ロバートにふりかかり、その彼の苦悩が伝わってくる。
フロジノーネ修道院の鐘の音、高台から見下ろした修道院はとても静かで厳粛な雰囲気で素晴らしかった。
後味は悪いです。
でも、この重い厳粛な雰囲気は素晴らし過ぎる。
僕はホラー映画を「スプラッターホラー」か「ゴシックホラー」かに区別する癖があるが、
そうするとこの作品は厳粛な「ゴシックホラー」だと思う。
悪魔がとても崇高なものとして厳粛に描かれている。
悪魔という存在とちゃんと向き合い、悪魔を圧倒的なスケール感とリアリズムで描いているオカルト映画の傑作です。
ホラー映画でここまで崇高で厳粛な作品はなかなか稀かもしれない。