120.《ネタバレ》 当事者でありながらも客観的に描かれている、
それはまるで「太陽の帝国」のイギリスの少年のように。
自分は生まれながらにして皇帝(3歳時から!)一番と思い込み、
それが徐々に幽閉されたお城のごとく世間から離れ、
それでも出たくてたまらなかったお城から出らざるをえなくなる。
昔からそういうことはありますし(国取りものとか)
感情移入もないはずでしたが、イギリス(スコットランド)教師の
オトゥールが自立を教えだしてから、天皇のようなお城の王は目覚めた。
ここらがとてもいいんです。ともすれば暗い客観的な映画が、
主人公は溥儀だと思わずにいられないような、教師役の明るい品の良さ
と引き立て役に徹する引きのうまさ。
まさにアジアの人から見た外人なのです。
最初から現代の溥儀役を重なる役でやっていた主役、ジョン・ローンの登場。
3歳の過去から現代までを描いているのですが、この俳優もうまいです。
私が気になったのは、坂本龍一氏の登場&アヘン女。
これは事実なんだろうか。唯一の娯楽とも取れるんだけど面白くない。
ここらとお家騒動のあたりがたいくつで安っぽく感じてしまった。
坂本氏は音楽ではとても良いのですが・・
身が引き締まるような戦争の映像やドラマや人とのふれあい、
それらはよかったのになんか娯楽を入れてしまったようでしらけた。
高得点のわけは、やはり最初と最後の同じ宮廷の場面です。
あれを観ると全体につまらなくとも許してしまう感動できました。
拝観料を支払い自分の城に入る溥儀、
その見えない姿はあまりにも哀れで歴史の目まぐるしさを感じる。
どこかへ旅行して遺跡やお城を見つけたらこんな物語があったと、
また感慨深く思うでしょう。
こおろぎでしたか、あれもいいです。
すごいおちだなぁと感心。
なんか自分も生きているというより生かされてるんだと。
本当は暗く重い映画なのかもしれないけれど、
妙に勇気さえ沸いてくるのはなんでだろうか・・
この主人公がつまらない人間だったとは思えないし、
高貴な人間だったとも思わない。
歴史を変えようとして勇敢に死んだ方が後世から観れば面白いんだけど。
それだけじゃあないような気もしますね。
朕、皇帝側から情勢を描くことに成功した映画は珍しいと思います。