52.美しい映像に美しい音楽、そして下手な演技。最高だ、キューブリック最高だ!男版「風と共に去りぬ」って感じですね。風と共に去りぬでは、主人公の傲慢な感じに共感できずビビアンリーの熱演にもかかわらず不満を抱いてしまった僕が、主人公に観客を共感をさせないように演じさせたバリーリンドンでは見事にやられてしまいました。小説の映画化は、小説で描ききれた主人公の心理描写が省かれてしまうので、納得できないことが多々あります。その例が風と共に去りぬであり、最初から主人公に共感を抱かせないようにして映画の弱点を見事に克服して見せたのがバリーリンドンだと思います。このあたり、キューブリックの手腕はさすがです。映画を知り尽くした巨匠だからこそできる映画史に残る試みですね。なのに他のキューブリックの異色作(これらは言うまでもなく名作)の影に隠れている感じがとても残念です。 【ジャザガダ~ン】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-15 00:23:53) |
51.確かに映像はものすごく美しいんだけど、「博士の異常な愛情」「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」のSF三部作と比べるとどうしてもストーリーに物足りなさが残る。バリーにあまり魅力を感じないせいかもしれない。あと、この映画を観ていると『2001年~』のナレーションを直前でカットしたキューブリックの判断はやはり正しかったと思わざるを得ない。観る側の解釈の自由もへったくれもないもん。 【とかげ12号】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-10-26 23:33:26) |
50.皆さんのレビューに多く有るように、この映画は本当に“絵画的”なビジュアル表現が成されています。色使いはレンブラントorマネを思わせるし、光の捉え方などはフェルメールのように神々しい。特にシンメトリーの構図や奥行きの捉え方などを見る限り、美術的なセンスに抜きん出ているように思える。こういった写実的な作品が作れるかと思えば、『時計仕掛けのオレンジ』のような印象派的で現代美術的な作品(ウォーホールorサフディ)も有る。感心するのは原色による補色の使い方が特に上手いこと。 つまり、この監督は写実は的な感性と印象派的なセンスを併せ持っているのである。普通は(かつての芸術家たちは)どちらかに別れるモノなのですが・・・。そこがキューブリックの凄さなのである。「何だか分かんないけど、世間でスゴイ!と言われているから凄いんだろう」と適当にあしらってはならない作品ですよ。コレは。 美術的なセンス、ビジュアル的なセンス、カメラ知識の豊富さ、皮肉がこもった反社会派的な洞察力、台詞の面白さ、脚色の上手さ・・・。天才と言うしかないですね。 【おはようジングル】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-09-02 17:09:31) (良:1票) |
49.《ネタバレ》 「映画は総合芸術である」という言葉は、この作品のためにあると言っても過言ではない。壮観な風景を鮮やかな色彩で絵画の如く捉えたそのカメラ、18世紀のヨーロッパ風俗をリアルに再現したその美術、衣装、穏やかなナレーションと共に淡々と進行する物語を流麗に演出する厳粛なその音楽、どれもこれも皆一級の芸術品である。中でも、本作品の為に開発されたという高性能レンズにより、自然光のみで映し出された映像は言葉では表現できない程美しい。しかし、この“完璧な美”の中で描かれる主人公の生き方に共感できる者は少ないだろう。七年戦争という騒乱の時代を背景に、己の欲望に流されながら“運”を掴もうとして落ちていく男の哀れな様は決して同情できるものではないからだ。だが、故郷を捨てた男レドモンド・バリーが本当に追い求めていたものは、地位でも、名誉でも、まして金でも無く、ただの“安住の地”だったのではないだろうか。いや、そうであって欲しい。そうでなければあまりにも哀しすぎる。「美しき者も醜き者も今は同じ全てあの世」それでも、この世にいる限り、心は美しくありたい。 【nizam】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-08-17 19:14:09) |
48.映像、美術とても素晴らしく美しい。平民が貴族に成り上がりそして没落していく様を哀しく綴っている。長かった・・・救いが無かったのも追い討ちだったし。 【HIGEニズム】さん [映画館(字幕)] 5点(2005-08-16 13:13:34) |
47.一人の不埒な人間が徐々に上り詰めるストーリーだが、他のキューブリックの作品同様にどこか癖があり、決して気持ちよく伝えようとはしない。全体通して素直に大団円にならない微妙な空気を漂わせるつつ、主人公が歩んだ波乱な人生を3時間に及ぶ素晴らしい映像美で淡々と見せる。そして最後の最後で、今まで見せてきた浮き沈みの人生を否定(ゼロに)する形で、短い文章で思いっきりぶちまける。終わりまで『ありがちなストーリーだなぁ…』と思ってましたが、最後のメッセージでキューブリックの作品だ!と実感出来ました。 【oO KIM Oo】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-08-07 08:03:16) |
46.キューブリックの中じゃあんまり好きじゃないな。 |
45.中世物は苦手なのですが、さすがキューブリックでした。美しい。衣装やセットが美しい 作品はたくさんあるけれど、光の使い方と構図によってそれが最大限にいかされていました。本当にキューブリックはセンスが完璧ですよね。私が生まれるよりも前に撮られたとは思えない。ストーリーも比較的わかりやすく、素直に物語を追って見ても、わかんない、とかつまんない、とか思わずに済む作品だと思います。もちろんその裏にあるものを想像するのも楽しい。主人公がいい人とも悪い人ともとれず、ただ一生懸命生きているのに応援する気もわかない。たまに哀れに思うだけ。奥さんにいたっては哀れに思うことさえない(苦悩が描かれていないから)。こういう人がいてこういう一生を送りました、というのを上手くまとめているだけなのに、これだけひきつけられるのって本当にすごい。見せ方が上手い。構成が上手い。ちょこちょこといろんな出来事が起こってそれがまた上手いので興味をそそられる。ほかの人が撮っていたら駄作になっていた可能性の高いストーリーだと思う。 【るいるい】さん 9点(2004-12-23 21:32:50) |
44.《ネタバレ》 今まで私が観た映画の中でも、五本の指に入る美しい映像。この優美な世界で繰り広げられるレイモンド・バリーという男の人生を綴っている。何がすごいかというと、3時間もの間、バリーという男の感情がまるで浮き上がってこない。彼の身の上に起こったことをただただ追っている、単純と言えば単純な物語なのだ。だからといってつまらない訳ではない。細部まで作り込まれた作品で、私は3時間じっくりと見入った。徹頭徹尾客観的な視線で、この悪者というにはあまりに薄っぺらな感じのする男の人生を映し通している。心の見えない主人公相手にはこちらの感情もそうそう動くものではないのだが、それだけに一貫して彼が持つ寂しい空気の表現は見事だったと思う。決闘に始まり決闘に終わるバリーの男としての人生は、ドラマティックなのに流されているような印象も受ける。監督の意図などくみ取る余裕のない私だが、一人の人間の中で流れゆく時間をそのままどんと突きつける方法に、感心し、堪能した。 【のはら】さん 8点(2004-12-04 14:05:47) (良:1票) |
43.とても哀しい映画である。物語と観る者の距離があまりにも遠いがために哀しい。 【はざま職人】さん 9点(2004-11-11 23:51:41) |
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42.この上なく美しい映画です。芸術性を追求し続けた70年代前半までとは違い、1975年公開のこの映画では主役に当時「ある愛の詩」で人気者となっていたライアンオニールを起用。興行的成功も求めました(結果的には失敗に終わったが)。しかし芸術面でも、19世紀をこれだけ再現しようと努めたキューブリックのこだわりは半端ではない事が分かります。プロダクションデザイナーはさぞかし大変だったでしょうね(苦笑) 草原のシーンも、まるで絵画を切り取ったとかのような美しさですが、室内のシーンを何百本という蝋燭の灯りだけで撮ったシーンは秀逸で、ポワ~ンとした雰囲気が当時の貴族社会の食事シーンや賭博のシーンに垣間見られ、すごいなぁと思わせるのです。 遺作の「アイズワイドシャット」までずっとこだわったキューブリックの光へのこだわり。ちょっとフィルム粒子がザラザラ感じても、それでも自然光にこだわり続けた彼の意志の強さは、さすが元ルックのカメラマンだっただけの事はあるのです。 狂気好きのキューブリック映画において、狂気をあまり感じないこの映画。それは痛烈すぎる映画の美が、平民の若者レドモンドバリーが貴族に成り上がろうとする気持よりも勝ったからかもしれませんね!? |
41.長かったけどとても良かったです。綺麗・・。すべてが美しかった。最後の皮肉の言葉にゾクゾクしました。流石です。 【ネフェルタリ】さん 8点(2004-07-31 23:38:24) |
40.《ネタバレ》 冒頭から美しい映像に圧倒される。ロウソクの火のみでも撮影可能な特殊レンズを用い自然光を最大限に活かした18世紀ヨーロッパの情景が本当に素晴らしい。ひとりの男が祖国を離れ、そして帰ってゆく物語の中で、人間が作り出したものの崩壊をただの背景として盛り込む。第一部では戦争(人間が起こす戦争と人間がつくる軍の規律)の弊害を、第二部では上流階級(人間のがつくる階級制度や国家間の規則)の退廃を淡々と描く。一部二部を通して決闘が登場しますが、ルールはあっても国が変わればルールも変わって、当たり前のように存在する人間のつくりだしたものがいかに危ういものかを象徴しているように感じる。この作品がある意味キューブリック的でないところは、相変わらず突き放したようにこれらを描く一方で主人公の人生そのものは感情豊に描いている点。ひとりの男にとっては時代の大きな流れ以上の大事件はもっと身近なもの。愛する人との別れであったり愛する者の死であったり。中でも息子の死はただただ悲しく描く。我々もこの不幸に大いに悲しむほかない。キューブリックの作品でここまで人間ドラマを前面に出した作品は他に無いのでは。それでも最後は「美しい者も醜い者も今は同じすべてあの世」というテロップでこれまで観てきたドラマをあざ笑うかのように閉めるのは、いかにもキューブリックであり、さすがキューブリックである。 【R&A】さん 10点(2004-07-29 12:31:04) (良:1票) |
39.スゲーきれいで悲しい、キューブリックは何か他の映画とは違う。。 【ヒロヒロ】さん 2点(2004-06-24 21:35:18) |
38.キューブリック映画の特徴である皮肉や批判が全くと言っていいほどないように思える。テーマは人生は何が起こるか、どう転ぶかわからないといったところだろう。しかし最もキューブリックが表現したかったのはストーリなどではなくて、視覚面だとおもう。この映画のために開発されたカメラでの撮影。人間の表情がやんわりと、とてもきれいに見える。他にも風景やもや~っとした、はかなさのようなものを感じ取ることができた。ストーリーよりも映像に夢中になってしまう珍しい作品。 【マクドウェル】さん 9点(2004-06-12 15:16:29) |
【しまうまん】さん 9点(2004-06-12 12:18:50) |
36.音楽、映像、内容、演技等完璧で、おもしろかったです。 |
35.キューブリックという人は美的センス?芸術センスかな?が世界中の監督の中で(故人も含めて)最高なんじゃないでしょうか。最後以外パーフェクト! 【モチキチ】さん 8点(2004-05-19 06:23:26) |
34.大作で、長いのですが、ドラマチックな人生なので、最後まで面白く楽しめました。バリーは光源氏に微妙に似てるのかなとか思いました。キューブリック作品にしてはわかりやすい映画でよかったです。ただ、キューブリックはやっぱりどっかひねくれてた作品しか作りたくないんでしょうね。 【りょう】さん 8点(2004-05-16 09:58:27) |
33.いつも完璧な作品を作っているキューブリックだが、人の一生までやっていたとは恐れ入った。他の作品も確かに完璧ではあるが、それはその人の一生のうちの一部分をピックアップして、そこの部分で完璧に仕上げているのだがこれは明らかにバリーの一生を描ききっている。画や音楽は言うまでも無いが、本作品は人間の一生なんざいくら思い通りになってもこんなもんさと言っているかの様に思わずにはいられなかった。 【taron】さん 8点(2004-04-10 18:50:07) |