62.《ネタバレ》 エスターの主観ショットとして揺れる画面の恐怖、動物虐待から人間へと移行する暴力、嘲笑される安手の精神分析という無力な審級、異常な事態に鈍感である者が真っ先に犠牲にならねばならないプロットの運び、すべて常套であろうが、こういうホラー・サスペンス(つまり観客に暴力的な危険の存在がいち早く知らされるハラハラもの)の強制的なありようには疲れる(ヒッチコックのサスペンスはそこが違う、と言ってもせんないが)。日常生活の平穏さというものはもろもろの不快・不安を抑圧する蓋の上にあり、この蓋をつついてしまったためにそれが開くとき元の不快・不安が巨大に膨れ上がって噴出する、というホラー映画の本格的な精神分析的・哲学的なコンセプトを、 もっと明瞭にしてもよい。「アメリカ白人中産階級の欠けるところない家庭の幸福」の表象が必然的に引き寄せるホラーなのである。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-06-28 09:55:12) |
61.ピーター・サースガードの役柄が建築デザイナーであることを活かしたツリーハウスや ガーデンルーム、中央に階段を配した印象的な居間、あるいは凶器となる工具 (バール、万力)など、セットの高低と小道具を巧みにアクションに結び付けている。 その死角を強調した居住空間は秀逸なカメラワークと共に、 窃視の視線と盗み聞きのドラマにも効果を発揮する。 併せて、「話せない」こともまた視線の強度とサスペンスを生んでもいるだろう。 それだけに、インターネットはともかく携帯電話の安易な利用はドラマ的に少し勿体ない。 しかし、短いながらも強烈なインパクトのあるショットの数々が要所要所で利いている。 冒頭の逆光シーンの夢幻感。 ヴェラ・ファーミガがベッドで童話を語って聞かせる、その手話の身振り。 バックで暴走する車を内側から捉えたショットの恐怖感。 割れた鏡に映るイザベル・ファーマンの分裂した姿。 その顔に残るアイシャドウの黒。 公開バージョンのラストは、企業のシステムによって選択されたのだろうが、 監督が本来使いたかったのは、「割れた鏡」へのこだわりからしても 恐らく別バージョンの方ではないかと思う。 【ユーカラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-09 22:04:37) |
60.《ネタバレ》 インモラルな悪夢の出産シーンから最後まで、実に退屈する事無く鑑賞出来ました。リメイク「蝋人形の館」でハリウッドデビューを果たした、「痛い痛い」演出をこれでもか!と見せつけてくれた監督ですが、今回は王道とも言うべきシンプルでオーソドックスな古典的演出に更に磨きをかけた手腕の良さが伺えました。やはりこうした退屈しない、惹きつけられる要素は演出、役者の演技、印象的なカット、でしょうか。今回印象的なカットはあまり無かった様に見えましたが、それにも増してエスターを軸に巻き起こる家族の崩壊ドラマが非常に見応えがあります。エスターの正体はネタバレまでははっきり言って「反則」だと思いますが、そこまでのストーリー展開が安易でなくしっかりしている。ケイトにはアルコール、ジョンには不倫と夫婦間のギクシャク問題を絡めエスターを疑えば疑う程孤立していくケイトの疎外感を強調し、夫に突き放され我慢してきたアルコールに手を出しそうになる。これだけでも立派なドラマが成立しそう。エスターはエスターで、実は成人した女であり、満たされない自己の欲求から苛立ち凶行に走る、言わば「呪い」によって苦しめられている様がリアルであり、見方によっては単純なホラーを超えた辛さや苦しみを感じる事も出来た。初登校時、その古風な服装をダニエルには笑われ、ケイトにまで指摘されたエスター。「人と違う事は悪い事じゃない、良い事だ。」これはこの映画の問い掛けであると同時にエスターの正体を密かに暗示してたんですね。心は大人でも外見が伴わないエスターがこの服装をするのは、外見を気にせず恐れないという意思の表れなんだけど、逆にそうするしか自己を表現出来なかったからなんじゃないか?そんな「自分」が人に受け入れてもらえない事から情緒不安定になり、凶暴になったとも推測出来る。だから実は不幸で可哀想な女の物語なんじゃないかな?そして何よりエスターの可愛らしいお子ちゃま的なビジュアルで凶行を行う様や、Fワードやダニエルに言ったすんごい台詞が強烈に良かった。そして伏線の回収もきっちりしていてスッキリ。前・後メイクも凄かったエスターを演じたイザベル・ファーマンの次回作が凄く気になりますが、きっと普通に見えちゃうんだろうなぁ。 【miki】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-27 16:16:38) (良:2票) |
59.《ネタバレ》 どこか懐かしい古典的ホラー映画という印象です。最初エスターはカワイイ娘だなぁと(あ、ロリ○ンじゃないですよ。)思っていたんですが、次第に妻に対して冷たい態度をとったり、子供達の前でハトを岩で潰したりと、残酷な面を見せ始めます。しかし夫だけ異変に気づかないのでイライラします。でもそれを楽しむ映画です。一体この娘の正体は…?真相は意外と意外ではなく分かりそうで分からない感じでした。自分は普通に驚きました。 【nyaramero】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-05-02 12:10:43) |
58.駄目だった。嫌い。全然怖くないし、むしろイライラした。イライラしたから怖くなかったのかな。エスター含め色んな登場人物にイライラしっぱなし。馬鹿ばっか。とにかくイライラする。アイディアはヒッチコック的で良かったと思うだけに残念。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 3点(2012-03-25 07:09:04) |
57.《ネタバレ》 思ったよりは良かったという印象。 でもやっぱ見慣れたもどかしさがある。 互いを疑い関係を悪くするなんてのは相当ベタなパターンで、見ていて、あーそうなって、こうなるわけだねって思えてしまう。 もうちょっと裏切るストーリー展開が欲しい。 主人公の残虐性だけではこのくらいじゃないかな。 でも出だしなんか超つまんなそうな感じだったので、まあ持ち直した方だと。 【森のpoohさん】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-09 17:00:06) |
56.《ネタバレ》 旦那の最後は残念でならない。相手は子供だから、というスタンス崩さず。 「まさか」という思いが先にあるので不自然さは無い、のかな? だが、他のレビューを見るに鈍感さへの突っ込み。自分も鈍いようです(笑 個人的には気づけなかったことに対する罰としては重い気がしました。 酒に溺れ、家族はバラバラで・・というところで誘惑に負けなかったのはGoodだし。 まぁ、誘惑失敗が崩壊へのスイッチなんで複雑です。 DVDのもうひとつのエンディングも異常性が出ていて良かった。 だがエスターを迎えた理由であるジェシカ、彼女のための薔薇を裁ったエスターを あの薔薇の前で絶つ、溜飲は下がる。そういう意味では池で完結はしっくり来ない。 日本人で男だからかもですが、子を失った悲しみを既に二人の子が居るのに 養子を迎え入れて癒す、というのは理解できません。 前半から描写していた奥さんのその不安定さがエスターに利用されたわけですが。 ジワジワくる系なので前半動きが薄く疲れるかも。見ごたえはあります。 【HIGEニズム】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-10-08 16:55:02) |
55.《ネタバレ》 悪気は無いんだが、偶然周りのに不幸が訪れてしまう可愛そうな子の話しかと思ったが、 映画史上屈指のそしてインパクトが凄まじい悪役の物語だった。 怖かった。 【のははすひ】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-09-09 15:13:16) |
54.《ネタバレ》 前々からレンタル屋でDVDパッケージが目に留まっていて、うわー怖そうと思ってたのだが、勇気を振り絞り深夜に観賞。結論としてはパッケージが一番怖い!もうひとつののエンディングのほうが良いという意見は皆さんと同じです。 |
53.《ネタバレ》 だんなひどすぎ。エスタ-、ある意味かわいそう。下の妹、かわいいだけじゃなく大活躍だった。拳銃を撃っちゃうとこなんかすごすぎ。 【木村一号】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-11 22:44:13) |
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52.冒頭のシーンを観たときは、こりゃ外したかなと思ったんだけど、 その後は何の問題もなく、最後まで面白く鑑賞できた。 お化け屋敷のようなびっくりホラーもいいけど、 じわじわとこちらの恐怖を煽らせてくれる作品はやっぱりいいですな。 親父には、ちょっとイラついたけど。キャスティング、特に主演の女優さんは抜群でしょう。 よくこんな人見つけてきたなぁと感心してしまった。一番下の女の子はキュートでかわいい。 事前情報は、いっさい入れずに鑑賞しましょう。面白さが半減します。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-19 05:09:46) |
51.《ネタバレ》 面白いけれど怖くはないですね。少なくとも30過ぎている人は絶対怖くないと思います。なぜか、昔懐かしいホラーサスペンスの雰囲気を感じてしまいました。個人的には、前半エスターに優しく、後半は芯の強さでエスターに対抗する妹が、登場人物達の中でひときわ光っているように感じました。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-06 21:46:03) (良:2票) |
50.《ネタバレ》 僕はロリコンではない。しかし映画を観ていると子役の女の子に「かわいいな~。」という感情を抱くことがある。特に最近のお気に入りはダコタの妹であるエル・ファニングである。いや、ダコタも好きなんだが個人的にはあどけなさの残るエルがお気に入りなのだ。そういえば「キックアス」のヒットガールの女の子もかわいかったなぁ。僕は決してロリコンではないが映画を観てそんなことを思ってしまうことがある。そういう時はこの映画のコトを(特にお父さん役のピーター・サースガード)思い出して、気を引き締めようと思う。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-29 01:04:20) |
49.《ネタバレ》 かなり面白いんです。ただ、いくつか「もったいないっ!」ところがあっての7点です。 ▼母親が異変に気付くのが早過ぎる。もっとエスターを信じた挙句の…って展開の方が、シナリオ的には面白かった。 ▼エスターの怖さを、直接的な単純暴力ではなく、もっと知的な残虐さの方が… ▼父親を口説く伏線がもっと欲しかった&もっと妖艶に…危うく落ちかけるところまで描いてほしい。 ▼以上、怖さの表現が全体的に大味なのが気になりました。 【伊達邦彦】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-06-26 02:39:27) |
48.あぁ怖かった。 久しぶりにホラー映画って感じのホラー映画を見ました。 【Yu】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-06-15 18:36:30) |
47.最近観始めてすぐに眠くなるような映画が多いようですがこれは久々にキリッと引き締まった丁寧な作りで見応えあり!引き込まれました。エスターを演じた女の子のこれから先を期待したい。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-26 00:10:15) |
46.《ネタバレ》 これはなかなかの良作でしたねぇ。最後まで飽きずに見る事が出来ました。まず特筆すべきは、エスターが行う残虐シーンに一切の手抜きがないところですね。それはそれはもう、ほんとエグい。このごまかしのなさが、この作品のパワーに繋がっていると思う。犯行があまりに計画的でプロフェッショナルなので、こんなの子どもが出来るんかいな~なんて思ってたら、実は大人でしたというこの展開。これはいい意味で予想を裏切られましたね。大人だということがわかってからのエスターは、本当に老けて(メイク?)見えるし、ラストの氷の上での肉弾戦も一切の手を抜かないエグっぷり。制作者の勇気にアッパレです。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-04-17 23:00:50) |
45.《ネタバレ》 あーコワ面白かったw愛らしいエスターがどんどんコワくなっていくのが良かったです。なんといってもエスターの仕掛ける攻撃がすさまじい(精神的な攻撃も含めて)。「なるほどそうきたかー」と感心しながら見てました。●私は「子供は無垢」説は誤りで、「子供は無知」が正しいのではないかと思っています。子供こそ無知ゆえに人を傷つけたりしやすいし、(無知なまま大人になってしまった人も同様)我々大人はそういう子供に『子供(で無知)だから(仕方ない)』と寛容に振る舞うことが多いですが、実はその子供が何もかもを認識しておりながら、周囲を混乱させることを目的としていていくつもの犯罪行為を犯し、一方で子供の外見を最大限利用していて大人を惑わし、実は33歳で、・・・。うーん怖い。●この映画で「エスターの正体に気付かない旦那ってアホ」意見に同感しながら、旦那はエスターの起こすトラブルの片鱗を察知しながらも「子供だから」と散漫に対応してきたわけで、一つひとつに疑問を持って真剣に向きあっていった嫁は夫とは差があるなーと思いました。●マックスの演技は良かった。ほっぺたすりすりしたい。 【キュウリと蜂蜜】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-03-16 22:53:54) (良:1票)(笑:1票) |
44.《ネタバレ》 夜中に見ていたのだが、とっても怖かった。あと、エスターの悲しい運命が単なるホラー映画という枠を超えていると思う。本当の女性として愛され、、、って書くとネタバレになってしまうけど内容を知らないで是非見てほしい。邦画でもこんな人間の狂気を上質に描いた作品が出てきてほしい。あとマックス、かわいすぎや。 【パオ吉】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-03-14 17:20:22) |
43.《ネタバレ》 これは怖いですね。。。簡単に言うと孤児院で可愛いと思って引き取った子がえらい大変な子どもだった、というお話。随所随所で9歳の子どもらしからぬ所業を見せるこの子ども。終盤で実は33歳だったと知り、ワタクシ納得。9歳と言う自分の容姿を認識した上でそれを最大限に活かしながら周囲を騙していく手法は超が付くくらいのサスペンス。しかし恋愛対象からもやはり9歳としか見られないわけで、そこで失敗してスイッチオン。てゆーか入れ歯?だったんですね。完璧なエスターらしからぬ正体。実年齢33歳だとしてもその歯はもうちょっと何とかできなかったのか。まさか部屋からポリデントとか出てこないだろうな。 あと大変個人的な感想になりますが、エスターを引き取る経緯が少し引っかかります。死産した娘の代わりを求めて里親制度使うことにしたんでしょうけど、すでに二人も子どもがいるのに何故?と思ってしまいます。耳が不自由なマックスにしてみれば「やっぱりしゃべれる子どもがいいんだ」とか思わせてしまわないだろうか?そもそもエスターがもし普通の子どもなら、死んだ娘の代わりとかはやはり思われたくないんではなかろうか。この映画の本質ではないところで疑問に思いました。すみません。 最後に、ラストは別撮りのもう一つのエンディングの方が良かったです。エスターの異常性がエスター流にとてもうまく出ていると思いました。年齢の数字が違うだけでここまで観ている側の感情が揺さぶられるのかとある意味感動した作品です。良です☆ 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-03-02 10:09:57) |