23.主人公の婚約者を演じるレイチェル・マクアダムスの腰のラインが、さりげなくも妙に色っぽい。他にもマリオン・コティヤールをはじめ幾人か女優が出てくるが、どの女性もそれぞれ印象的に映る。 ウッディ・アレンという人は、相変わらず女好きで、だからこそ女優の魅力を最大限に引き出してくる。数々の女優が、彼の映画にこぞって出演したがるわけだ。 このところのウッディ・アレンはヨーロッパづいているらしく、ヨーロッパの各国の主要都市を舞台にした作品を連発し続けている。バルセロナに続いてロンドン、今作のパリ、来年にはローマを控えているらしい。 まるで一年ごとにバケーションで転々としながら、そのついでに「映画でも撮っておくか~」的な感覚でさらっと作っているようにも見える。ただ、そのくせ集まるキャスト陣はあまりに豪華で、作品自体もしっかり面白いのだから小憎らしい。 そのウッディ・アレンらしい小憎らしいほどの軽妙さが、この映画にも溢れている。 結婚を控えた主人公は小説家志望の売れっ子脚本家。敷かれた人生の行く末に揺らぎつつ、深夜のパリを徘徊する。そこに待っていたのは、憧れ続けた1920年代のパリ。 めくるめく懐古の深みの中に陥りながら、主人公は自分の進むべき道を見出していく。 タイムスリップものなのか、ファンタジーなのか、はたまた主人公の妄想劇なのか。 決して映画の世界を一方向に定めず、敢えてどうとでも捉えられる曖昧な世界観を構築し、夜な夜な徘徊する主人公の心理の如く“ふらふら”としたストーリーテリングが絶妙。 ウッディ・アレンの遊び心に促されるままに、束の間、主人公同様に古き良き深夜のパリを堪能すべきだろう。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-23 16:00:09) |
22.《ネタバレ》 アレンの映画について書くときのいつものインサートのことから。 アレンは殆ど物のインサートを撮らない。 今回はイヤリングをプレゼントされるシーンが分かり易い。 大概の映画がイヤリングの寄りのインサートを撮る。 こんなイヤリングだ、という説明のショットだ。 アレンはこういったショット恐らく好んでいないであろう。 それはここで描きたいものはイヤリングをプレゼントするという行為だからだ。 インサートが入り行為そのものの流れに淀みが出来ることが嫌なのだ。 行為そのものの素敵さとイヤリング自体の素敵さは、 このシーンではほぼ無関係なのだから。 さて、そんなアレン映画の根底にある主題とはと考えると、 今を生きているということは決して幸せなことではない、 という正にこの映画がストレートに描いていることな気がする。 しかしそれでも今を生きるしかない 生きているからこそに見つけられる幸せ それはたとえ雨の中でも自分の脚で歩いて見つけるしかない 現在への虚無感と過去への憧憬。 憧憬の中で生きようとも、それはいずれ虚無へと変貌を遂げる。 「過去は死んでないんだ、それは過去ですらないんだ」 今を生きることを選んだ男の最高の未練だ。 素晴らしい。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-04 05:19:06) |
21.大いに笑えてちょっぴり元気になれて、自分もパリに行ってみたくなる映画。 【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-27 13:30:07) |
20.わかりやすいし面白いと思う。 ヘミングウェイ、ピカソ、とか そのあたりは私でも名前聞いただけで有名すぎるのでわかるのだが その他、それなりに有名な人達もたくさん出てるようなのだが 名前が出てきても私は小説家に詳しくないので誰だかさっぱりわからなくて、 それがもったいなかった。 登場人物達のことを詳しく知ってる人であればもっと楽しいはず。 【虎王】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-24 12:22:26) |
19.《ネタバレ》 約半年ぶり2度目観賞。パリに憧れるロマンチストな小説家が1920年代の古き良き時代の偉人たちとロマンチックな会話を交わし恋をします。上品でエレガントな主題曲、美しい雨降るパリの夜景、ロマンチックな会話劇。大切なのは“現在”を生きることです。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-11-22 01:06:13) |
18.オーウェンにまでウディ・アレンが憑依するとは!でも唸らされますなあインセプション張りの深層にも、それぞれの設定にもです。パリに住む!と簡単にいえてしまえるのがうらやましいのであります!あ、大好きなあの書店が出てきます、うきうきです。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-11-21 17:15:39) (良:1票) |
17.《ネタバレ》 ほっこりするような温かみのあるユーモアで、ウディ・アレンらしい素敵なラブコメになっていたと思います。まぁ、全盛期ほどつきぬけたものはないし、メッセージ的にも乏しいとは思うけれども、唯一のテーマとも言える「誰しもが過去に憧れる。そして現代を不満に思う」というのはとても共感が持てます。「隣の家の芝生は青く見える」ということわざもあるように、人間というのはないものねだりするわけですよね。でも、今の素晴らしさに気づこうよ。そして嘆くより人生を楽しもうよって、そう言ってらっしゃるんだと受け止めました。パリの街並みを、暖かい色合いで撮影していて、本当に美しい。ピカソの愛人と意見の相違でさらっと別れて、婚約までしてた恋人ともさらっと別れて、新しい出会いでそれらしい人と巡り会って終幕というこのさっぱりした感じもウディ・アレンらしいですね。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-11-20 20:15:34) (良:1票) |
【j-hitch】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-10-17 14:33:03) (良:1票) |
15.ウディ・アレンのコメディの圧倒的なシュールさは正直合わないことが多かったがこの作品は好み。ユーモアをフルに楽しむためにはエコールドパリの知識はもっと必要だったんだろうが、その点主張をわかりやすく、かつ押し付けがましくないレベルに配置したバランスが絶妙。肩透かしで終わるのはいかにもアレンだが、パリという幻想を痛烈に皮肉りながら、映像ではこれでもかというほど幻想的かつ優美な映像でパリの魅力をアピールしてくるアレン。まいった。 【Arufu】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-09-02 05:58:32) |
14.お洒落で品が良くて、ウィットに富んでいて、会話がいっぱいで、ロマンティックな映画でした。雨の降る夜にもう一度観たい! |
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13.画面にもワインがたくさん出てきますが、芳醇なワインをしこたま味わった気分になる映画です。ほんとにヘミングウェイやピカソ、ダリはこんな人たちだったんじゃないかと彷彿とするような人物の創り込みと、やりすぎじゃないさじ加減がとにかく素晴らしい。昔はウディ・アレンて苦手だったんですけど、今は「すごーく好き」とまでは言いきれないのですが、この時代にすごーく大事な人、と思っています。長生きしてもらって、まだたくさん作ってほしいですね。ところで、本作は主役のオーウェン・ウィルソンがまた、いいんです。実は、彼が主役と聞かなかったら、私はDVDでいいや~と思ってたかも。いや、別にファンだったわけじゃないんですけど。ただ、あらすじを聞けば当然ウディ・アレンを投影してるに違いない役じゃないですか。ってことは、いつも演じてるような髪型をバリバリに決めた、お目目パッチリの二枚目キャラとは違う彼が見られるのでは、と期待して足を運んだのです。そしたらまさにその通り。ウディお得意のイジケ・キャラが板についていて、猫背だったり意外と短足だったりしてるとこもこの役にピッタリ。でも何より、どや俺の演技うめーだろ的ないやらしさがないとこが、すごくキュート。一気にファンになっちゃいました。<追記>後日談。一緒に見た友は「あなた笑いすぎ。どこがそんなにおかしかったの?」ですと。僭越ながら、当時の芸術家についての知識があればフツー大笑いしないではいられないと思うんですけどねえ・・。まあ、そういったとこも、ウディ・アレンへの好き嫌いに影響しているのかもしれませんね。 【おばちゃん】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-07-25 21:01:28) (良:2票) |
12.期待はずれ。これがアレン映画で興収1位というのは何とも納得がいかない。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-07-02 20:54:56) |
11.《ネタバレ》 前作『人生万歳』に続くウディ・アレンの傑作映画。 夜12時の鐘と共に現れる幻想のパリ。タイムスリップ? 死者たちの徘徊? それとも壮大な夢オチ? まぁ、そんなことはどうでもいいか。旧き良きロマンをこよなく愛する主人公が迷い込むのは1920年代のパリ。当時のパリは狂騒の街と呼ばれ、禁酒法のアメリカから多くの異邦人がやってきて、毎夜のどんちゃん騒ぎが繰り広げられていたという。芸術家達が集うカフェで生まれる新しい時代の潮流。シュール・レアリズムからアール・デコ。そして、エコール・ド・パリ。その舞台に登場するのは、フィッツジェラルド夫妻、パパ・ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、ルイス・ブニュエルといった著名な若き芸術家達。主人公は、そんな魅惑の世界の中、芸術家達に愛されるファム・ファタール的な美女アドリアナに恋をする。恋する2人のタイムトラベルはさらに時代を下り、ベル・エポックのパリへ。伝説のマキシムに集うのは、ロートレック、ゴーギャンにドガ。彼らはそこで古き良きルネサンスの時代を語り始める。 主人公は悟る。古き良き時代への憧憬はどの時代にもあるファッションのようなものだと。そして、彼は現代のパリを生きていく決心をする。ロマンだけはしっかりと胸に携えて。。。(主人公が古い時代を生きられない理由がウディ・アレンらしくて笑ってしまった) なんだかんだ言いつつ、主人公は3人の女性に恋をする。レイチェル・マクアダムス、マリオン・コティヤール、そして、レア・セドゥー。それぞれに魅力溢れる女性たち。いやはや、人生万歳。何でもアリだ。最後に主人公は、レアとアレクサンドル三世橋の上で再会し、雨が降り始める中、傘もささずに2人して歩き出す。別れがあって、出会いがある。切なくも希望に満ちた、とても素敵なシーンだった。 ウディ・アレンは、ニューヨークの街とそこに住む人々の風景を撮り続けてきた人。最近はNYを飛び出して、すっかり世界のアド街ック、街の観光案内的な映画を撮り続けているのだけど、街そのものが主役ならば、それもまた良し。次回作はロンドン。次々回はローマとのこと。これらも楽しみ。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 10点(2012-06-25 08:18:04) (良:1票) |
10.ベルエポックのパリにあこがれる主人公が、ふとしたことからタイムスリップして当時のパリのサロンに紛れ込む。さまざまな有名人が登場してたまにクスリとさせられるが、これらの設定をもう少し生かした展開があっても良かったと思う。現代に戻ったパリの古本屋で、思いを寄せるヒロインの日記を発見したあたりから流れが転回していくのを期待したのだが、淡々と終わってしまった感じ。過去の良かった時代をいくら夢見てもそれはただの回顧主義に過ぎないのだと主人公は気づくのだが、そういうどうでもいいテーマらしさを匂わせるだけでストーリーとしてはとても薄っぺらい。設定を生かしきれてない。好み20/50、演出6/15、脚本8/15、演技5/10、技術7/10、合計46/100→5/10点 |
9.面白かった。静かに見ている観客が多中,隣で妻は声を上げて笑った。私は,静かに笑った。途中からは声を出して笑う観客が増え,ほっとする。ユーモアがある。上品で,知的で,気の利いたユーモア。監督が一番楽しんでいた。 |
8.《ネタバレ》 存分に楽しめました。ギルは芸術的観点によるノスタルジー君で、僕は上っ面だけのノスタルジー君ですが・・・。冒頭の風景に、過去に観てきた巴里を舞台とした数々の映画を思いだしつつ、その景観に馴染まない何台ものスタイリッシュ?な流線型の車に違和感を感じているところに、突如現れたあの1920年代の角ばったシボレーに膝をたたく。僕は正直インターネットや携帯が無くてもよいし(その時点でここに書いてないが・・・)テレビが無くてもよい。新聞、ラジオ、劇場に映画館があれば!気に入った曲があればレコードを買う。その時代への憧れ。いやしかし、待てよ。セキュリティは重要やし、何よりも今更ウォシュレットが使えんかったら困るなぁ。・・・やっぱり、現代。 【よし坊】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-06-10 22:00:36) (笑:1票) |
7.《ネタバレ》 映画全体の雰囲気が良い。そして、パリに行きたくなる作品。これを日本でやったらどうかな?とか少し想像してみたけれど、やっぱりお洒落で絵になる街=パリ&数々の名高る偉人、だからこそ良いんだと思った。過去の芸術家が出てくるわけだけれど、彼らについて詳しければ、より楽しめるんだろうなぁと。自分はピンとこなかったりして、もっと知識があればなと思った。オーウェン・ウィルソンの演技の雰囲気が良かった。それに、タイムスリップしても、過去の芸術家にあって驚いたりはするのだけれど、それ以外のことに必要以上に触れずに、サラッとしているところが良かった。現実的に言ってこんなことになったらもっといろんなことになりそうだけれども、自然に過去の世界を楽しんでいるという感じで、それがまた良い。夢の世界に入ったような作品だったし、見ているこっちも現実から離れて少しホッと出来る様な作品で良作だと言えるだろう。 【スワローマン】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-06-07 00:59:32) |
6.あまりこの映画に何か言うと「知識人ぶる男」と言われそうなのでやめておこう。パリって素晴らしい。 【akila】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-06-02 10:56:16) (良:1票)(笑:1票) |
5.ニューヨーク大好きなウディアレンがパリ大好きってひたすら言いまくる映画。全体的にウディアレン節が炸裂なので、その意味での安定感はある。ただ、あまりにメッセージが分かりやすくないだろうか。説教くさくないのは彼の最大の美徳だが、なんだか子どもに向けて説明しているかのよう。婚約者も全く魅力がないように描かれていて、ちょっと違和感。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-06-02 09:08:34) |
4.《ネタバレ》 素晴らしい。たぶん、個人的に本年度No. 1。満点じゃない理由は後述。観に行くかた、お金に余裕あるならパンフレット買った方がよいですよ。私、劇中で語られるブニュエルの映画タイトルが分からなかったので、もしかしたら載ってるかなっていう程度の気持ちで購入したら、ちゃ~んと記載されてました。たぶん、時代や登場人物の背景が細かくわかる人は少ないと思いますが、パンフレットがほぼ補ってくれます。本題に戻って、今回タイムスリップものという話を聞きつけたので観たわけですが、そんな「えすえふ」な設定ではなく「ホラ話」というか、出来のよい新作落語をみせてもらったという感じですね。台詞の組み立てが見事で、特にポールというキャラクターの造形、それに対する各キャラクターの絡みかたと台詞は見事ですね。ディレッタントでもなくスノッブでもなく「ペダンティック」という言葉がぴったりの人物を見事に作り上げた上で、「そんなヤツは大嫌いだ」ってモード全開でたたみかけていくところがよろしい。しかし、相変わらずアレンは「女好き」全開ですな。婚約者イネズ役のレイチェル某には関心ないんだけど、マリオン・コティヤール(TAXIから注目してた)、レア・セドゥー、その上カーラ・ブルーニだぞ!!!。個人的には前大統領夫人、最高です。偶然だけど、最近レア・セドゥーの出演作(ルルドの泉で、ロビン・フッド)を続けて観て存在感の強い娘だなと思ってたら、今作でもやっぱそうでした。そうそう、英語が多少聞き取れる自信があるなら、字幕を後追いにするとかなりディテールがくっきりしてくると思います、むつかしい単語少ないし。さて、減点1の理由。「支払いはど~すんだよ、支払いは」ってことが、心のスミに最初から芽生えてたんですよ。フード理論(©福田里香)的に「(心の中で)済ませたことにする」で解決しようと思ってたわけなんだけど、ムーラン・ルージュのシーンで言葉に出して言わせちゃったでしょ、だからダメ。時空を越える設定の場合これはとても重要なことで、映画でいうと「ある日どこかで」だとそれがきっかけで戻されることになるし、小説だと広瀬正「マイナス・ゼロ」に代表されるように、過去の紙幣・貨幣を準備してから向かうのが当然だから。ここさえちゃんとしてりゃ100点満点なのに。でも、たぶん上映中にまた観に行くだろうな。 【shintax】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-06-01 08:11:10) (良:1票) |