1.《ネタバレ》 デンゼル・ワシントンが操るフラッシュ・ライト。
タンカー爆発の炎を背景に浮かび上がる彼のシルエットと、高速度撮影の外連。
モスクワのシークエンスでの、明滅するランプに
さらにはホームセンター、ダイナー、アパートでの照明戦術。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』でのローキー画面も記憶に新しい
ノワール監督アントワン・フークアが、さらに様々な形で光と深い暗闇を使いこなす。
マウロ・フィオーレによる艶かしい夜の闇の見事さは開巻から絶好調である。
クライマックスではしたたかに「雨」をも画面に呼び込ませ、デンゼル・ワシントンの
瞳を美しく潤ませる。
割れるガラスも、スプリンクラーの雫も、本作においては闇の中に煌く光としてある。
主人公が様々な場面でテーブル上のアイテム(本、髑髏、眼鏡etc.)を扱う動作は、
キャラクター描写だけにとどまらず、時に意思表示となり、
時にアクションそのものとなる。
女が絞殺されるシーンで、窓外にカメラが引く絶妙な呼吸がシーンの緊迫をより煽る。
クロエ・グレース・モレッツの表情と彼女の一言「Thank You For Everything」
の響きは彼女の悟りを物語って感動的だ。。
CDの感想に言及させない脚本や、過剰なBGMに不満はあっても、
映画ならではの視覚的面白さは満載である。
映画のラスト、まるで『ヒート』へのオマージュのように「NEW DAWN FADES」が鳴り響く。素晴らしい。