8.2006年の年の瀬。実はもっとも観たかった映画が、この「鉄コン筋クリート」。
年末公開だったのだが、地方都市の性で年明け一発目の公開とずれ込んでしまった。
というわけで、2007年一発目。新年最初に観る映画がアニメというのも悪くはない。
んで。そういう新しい年の“高揚感”的な部分がないと言えばウソになるが、いきなりの最高点。
とりあえず、あの松本大洋の独創的な原作漫画を“カンペキ”に映画化してみせたということだけで、「スバラシイ」という他はない。
しかも、ただ原作を忠実にアニメ化しただけではなく、その物語と世界観が持つ「深層心理」まで確実に表現してみせたこのアニメーション技術には、もはや言葉が無い。
地獄のような町で、どこまでも純真に、だからこそ狂気的に生きていく二人の少年。
その躍動感を、息づかいを、そして無限に混沌と広がる精神世界を、見事に映し出す。
目の前に際限なく広がっていく映像世界には、ただ呆然とするばかりだ。
そもそもが一つの“カタチ”を持たない物語である。すべてを明確に説明することなど不可能だし、意味がないことだ。
ただただぶつけてくる登場人物たちの感情をそのままに受け止めればそれでいいのだと思う。そこに理屈など存在せず、感情のままに揺さぶられる。
一昨年の「マインド・ゲーム」に引き続き、果てしない精神世界を独創的に表現してみせた“STUDIO 4℃”。
ながらく「ジブリ」によって支えられ発展してきたジャパニメーションは、その停滞と同時にまた新たな“チカラ”を得たのだと思う。