144.《ネタバレ》 前シリーズの最終作であるだけでなく、映画化された新旧6エピソードのドラマ
の時系列上の最終回という意味で「ジェダイの帰還」は特別に感慨深い。近く日
本でも公開される
製作上の最終作になるだろうエピソード3が、シスの復讐という日本語タイトル
になっている関係と、ジェダイは復讐はしないという意味でエピソード6の日本
語タイトルは、ジェダイの復讐ではなく、ジェダイの帰還と改められている。
原題のRETURNから直訳してもやはり帰還の方が適切なのだろう。
そもそも、ジェダイは、シスに勝利したのだろうか?
皇帝の暗黒面の力に勝ったのは、ジェダイのフォースではなく、親子の愛情
が呼び戻した善の力だった。そして、帝国の象徴であるデススターに打ち勝った
のも原始的な惑星エンドアの原住民?の助けがあったからである。
ジェダイはオビ-ワンも、ヨーダも死んでいるし、元ジェダイのダースベーダー
も、暗黒面の呪縛から解かれたとはいっても命と引き換えであり、
生き残ったジェダイは、ルークとその妹のたった2名だけだ。けっして、ジェダ
イのフォースが勝利したわけではない。帝国やシスは、滅びるべくして滅びたに
すぎない。
ところで、皇帝=シスの暗黒卿ははたして滅びたのだろうか?
シスはいずれまたよみがえって、復讐をすることになるのだろう。
エピソード7以降も是非観てみたいが、あまり期待はできないようだ。
それにしても、30年近くにわたって、壮大な連続するエピソードが6作
作られ、しかも、ストーリーの時系列的順番では、旧シリーズ3作より新シリー
ズ3作の方が前になるというような映画は空前絶後だろう。当然だが、新シリー
ズの結末は、旧シリーズを観ていればおのずとわかってしまうという状況は、ス
トーリーテラーとしては不利な条件である。しかし、スターウォーズの場合、こ
のことを逆手にとって、その独特な世界観を強く印象付けているような気がする。
過去と未来、善と悪、生と死などは、対立する概念ではなく、らせん階段のようにグ
ルグル回っているに過ぎないという輪廻転生のような世界観。スターウォーズの
壮大な叙事詩も、銀河宇宙の時間と空間の中では、昔々の小さな御伽噺にすぎな
い。