96.《ネタバレ》 空気銃を片手に、じわりじわりと忍び寄ってくるおかっぱ頭の悪役の造形は、最近ではジョーカーと双璧を成す素晴らしさ。そして文字通り、観客を“煙に巻く”ことをやってのけた脚本が凄い。実に色々なことを考えさせられる、絶妙な幕切れでした。何とも納得の行く解釈がしきれないが、凄い作品だということだけは確か。 【j-hitch】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-01-02 20:18:34) |
95.《ネタバレ》 映画史に残るオレ流の殺し屋でした。この殺し屋の怖さは独特です。「どこからお越しですか?」と世間話をしようと声をかけたら「それはどういう意味だ?」といって突然キレて、ポケットからコインをとり出して「裏か表か当ててみろ!」とすごむ。こんな殺し屋、絶対にイヤだ。不条理が服を着て歩いているような殺し屋でした。ルールというのはみんなで決めるものではなく、力の強い者に決定権があるという哲学的な殺し屋でもあります。そんなオレ流の殺し屋が、社会のルールに従って、青信号で交差点を渡ろうとしたら、信号無視の車に追突されて瀕死の重態に陥ってしまうというコーエン兄弟ならではの滑稽さが際立っている。殺し屋と善戦したモスのあっけない死にかたは「西部戦線異状なし」を彷彿とさせる。「死」とは日常そのものであり、劇的なものではないという渇いたメッセージ。シーンの1つ1つにこだわりが感じられる。圧巻の世界観に惚れました。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-01-02 12:43:33) (良:1票) |
94.最後は確かにわかりづらいですが、それを差し引いても十分楽しめる作品。なんといってもハビエル・バルデム。こんなに緊張感を感じたのは久しぶり。 【茶畑】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-28 21:49:33) |
93.《ネタバレ》 殺し屋は怖かった。病んでいるアメリカの怖さが伝わってきました。が、ラストは?でした。 それにしてもトミー・リー・ジョーンズは必要か? 【ポテト】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-12-26 20:37:43) |
92.《ネタバレ》 "No Country for Old Men"...「年寄りの住める国はなくなった」?世も末だとボヤくベル保安官は、極めつけの事件に遭遇していよいよ愛想尽かし、保安官を引退します。しかし本当に世の中は悪くなったのか?祖父の代に保安官補をやっていた老人は、自分の叔父が殺された時の話をします。1909年、強盗に家を襲われ家族の前で叔父は殺されました。また、ベルは昨日みた夢の話をします。登場するのは彼と彼の父親で、父は若くして死んだから息子の自分の方が老けていたと言います。つまりベルは父親よりも長生きしているのです。本当に社会は昔よりも悪くなったのか?今も酷いが昔だって酷かった。タイトルは「年寄りが懐かしむ古き良き社会などなかった」ということでしょうか。ではその社会の本質とは何か?それは殺し屋シガーが象徴する理不尽で絶対的な力。同じ標的を追う同業者、親切にしてくれた一般人、さらには雇い主まで殺してしまう彼の行動には理屈も合理性もありませんが、人の運命とはそういうもの。立派な人でも事故や病気で命を奪われるし、長生きする悪人もいる。運命の前で人の考える理屈やモラルなど取るに足らぬもので、その無目的さゆえ、それはコインの裏表のようにシンプルである。コイントスで自覚のないまま生きる道を得たおやじに、シガーは「この幸運を大事にしろ。みんなこれを分かっていない」と言います。運命とは予告もなくやってくるため、これを回避しても多くの人はその幸運に気付きません。しかし何十年も何事もなく生きていることが不運に捕まらなかった証なのだから、それを大事にしろとシガーは言うのです。そんなシガーに追われるモスは、幸運に対して無自覚な私達の代表。目撃者なしで大金を拾う幸運を一旦は掴むものの、その偶然性の分からないモスは現場に戻るミスを犯し、素性を知られてしまいます。また、シガーに追い付かれる寸前で発信器に気付き、待ち伏せする機会を得て襲撃から生き延びますが、またしても彼は幸運を認識できず、自分の力で切り抜けたと勘違いして対決姿勢を強め、それが自分だけでなく妻の命も奪う結果となります。一見頭の弱そうなモスの妻は、シガーと対峙した瞬間に運命を理解し、取り乱すことなくこれを受け入れました。シガーはその帰り道で交通事故に遭い、無敵の殺し屋は呆気なく重傷を負います。運命の前に人の能力など意味を持たないと言わんばかりに。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 9点(2008-12-21 00:48:57) (良:4票) |
91.評判どおりに殺し屋は怖かったが、正直に言って内容がよくわからなかった。アカデミー賞作品賞というのもぴんと来ない。 【HK】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-12-18 23:25:05) |
90.お話は実にコーエン兄弟らしいお話であり、実際『ノーカントリー』は『ファーゴ』のTEX-MEX版と言いきってもおかしくない。にもかかわらずコーエン兄弟らしからぬ空気が充満している。ハビエル・バルデム演じる殺し屋を同業のウッディ・ハレルソンが「ユーモアを持たない男」と評する(髪型はユーモアなのだが)が、もちろん『赤ちゃん泥棒』や『バートン・フィンク』に登場する殺人鬼のようなユーモアは皆無であり、それどころかこの作品自体にこれまでのコーエン兄弟の作品に見られたブラックユーモアが無いことに気付かされる。何かをすればするほどにドツボにはまる展開に、そしてごく普通の人が非日常の世界に足を踏み入れてしまう展開にユーモアを見出すことのできたコーエン流はそこにはなく、ジョシュ・ブローリンはひたすらそのドツボと、その非日常と正面から対峙する。追う者と追われる者のあいだにはユーモアの付け入る隙間はなく、真剣そのものの命の削り合いが展開される。ブローリンは野生の勘と軍隊経験を駆使し逃亡し応戦するうちに過去に経験した戦場という非日常を自らの日常へとシフトしてゆく。殺し屋は非日常という殺し屋にとっての日常を最後まで貫くしかなく、それは殺し屋にとっての非日常である交通事故にあっても変わらずに殺し屋にとっての日常を生きるのだ。そう、ここでは『ファーゴ』にあった非日常と日常の衝突は無い。日常で用いられる道徳やルールの効かない非日常が日常以上に日常面している怖い映画なのだ。コーエン兄弟の新たなる門出を支持する。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-12-15 15:53:42) |
89.《ネタバレ》 こんなにハラハラした作品は久しぶり。 ハビエル演じる殺人鬼がとにかく不気味で怖かった。 特に、売店のおじさんとのやり取りは、緊迫しながら見入ってしまった。殺人鬼の言動や行動全てが見えない。 「金を取り戻す」という目的はあるのだが、そんな目的なんかどうでもいいような、そんな先の見えないような表情が印象的でした。 ラストはあまりにも唐突に訪れたので、同じシーンをもう一度見直したんですが、それでも理解出来ませんでした。それだけが消化不良ですね。 【抹茶御膳】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-13 20:25:34) |
88.アメリカ映画って執念深い人を描くといい。追う者と追われる者、もう途中から金より意地の世界になって、自分で道具を工夫したり、自分で怪我を治療したりして、執念が徹底的に燃え上がる。そしてモーテルとホテルの場の緊張が素晴らしい。これであと話が理解できたら文句なかったんだけど、これが分からない。終わりのほうのテープ張られた現場が何なのかが、恥ずかしながら、分からなかった。あそこの前に、映画では描かれなかった事件がひとつあったってこと? 外された空調の枠を見て保安官が何を理解したのかが、こちらが理解できなかった。アメリカ映画は説明しすぎるって常々不満を表明していると、今度はこうなる。もしかして簡単に理解できる映画だったりするんじゃないか、という不安は残り続け、脳の老化のスピードに思いを馳せる今日このごろ。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-13 12:11:30) |
87.《ネタバレ》 なにしろ緊迫感のある映画でした。雑貨屋の親父のシーンは緊張しました。ただ最後がな-。マイナス2です。心に引っかかるいい映画でしたけどアカデミー賞のイメージでは無いですね。あと、モーテルで換気口を使ってお金を移動させた意味がわかりません。教えてください。 【ピチクン】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-12-13 10:47:48) |
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86.《ネタバレ》 ラストが分かり辛かったと言うより、わかんねぇ映画でしたね。 でも、全体的にはとてもいい作品だと思います。 ただ、あんな簡単なレシーバーでピタリと場所を突き止めるシガーは凄いね。 【Pea Shan】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-12 00:46:13) |
85.《ネタバレ》 ラスト5分まで緊張感たっぷりで良かったのですが、ラストのあれは何ですか?私には難解すぎてよく理解できませんでした。久しぶりにあ然としてしまった映画です。 【じょーー】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-12-11 10:56:39) |
84.《ネタバレ》 てっきりジョーンズがお金に目を眩ませるんだと思ってた… 終盤までハラハラドキドキ楽しめましたが、オチはちょっと深すぎて私には理解不能でした。説明不足でよくわからない…! 総合的にはほぼ8点なのですが、最後に「面白かったー!」というよりは「う…うん…?」となってしまうのでこの点数です。 【えむぁっ。】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-11-30 03:03:32) |
83.《ネタバレ》 最近急に陽が当たってきたジョシュ・ブローリンです。その昔「ナイトウォッチ」というユアン・マクレガー主演のサスペンスがありましてー、ニック・ノルティのブキミさが光る隠れた名作ですが、ジョシュは「遊び人で女たらしの大学生」という(本当です!)脇役で出演。私はこの役のジョシュに惚れてしまったのです…。 その後鳴かず飛ばず。バホ作「インビジブル」で再会したときにはすでにオヤジ化が進んでおり、かつての面影もなく…。 そんなジョシュにツキが回ってきたらしい!ジョシュよかったね! で、モスの義母の墓標によるとこれは1980年の話です。なぜ80年なのでしょう。 「己の能力を過信する男」モスのその「過信」の根拠は「戦争経験」であるということで、妻は「なんでも自分ひとりで出来る人なの」と言っています。 それではこの目を覆うような暴力の数々の原因はすべてベトナム戦争だと言っているかというとそうではなくて、たとえばシガーは「20年間コインで人生を決めてきた」のだから、違うでしょう。また、1909年にベルの叔父を玄関先で撃ち殺したのは「インディアン」です。…そう、遡ればその国の成り立ちからして「もともと暴力じゃん」なのです。 さてシガーというのは「オーガの体を持ったターミネーター」のように意図的に描かれていますが、それはホテルの部屋で自らの治療をする場面などで明らかです。 彼は邪魔な人間は殺し、特に邪魔じゃない人間は殺すかどうかコインで決めます。感情がないので殺すかどうか決められないからです。 が、一人だけ彼に有無を言わせなかった人間がいますね。トレイラーパークの管理人のオバさんです。シガーに対して全く恐れを感じておらず、自分自身についてなんの迷いもない、オバさんなのです。ということは逆の場合は危険なのです。 ベルが死刑にした「感情のない殺人者」の生き延びた姿がシガーであり、1980年に「暴力から抜け出せないこの国のありよう」を嘆いていた「オールドマン」たちは、2008年の今、みな死んでいる、それが「1980年」ということです(たぶん)。…そしてもう嘆く人たちはいなくなった、のです。 冗長に感じるほどの淡々とした描写と、ギリギリまで省略したテンポのよい場面のアンバランスに少々難を感じます。が、コーエン兄弟の実力を感じさせる一作。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-11-29 16:18:11) (良:1票) |
82.《ネタバレ》 普通にドキドキハラハラ面白かったです。淡々とした雰囲気だけど、だからといって画面から少しも目が離せない迫力がありますね。それにしてもハビエルさん怖すぎっ!(笑)テーマが何かよくわからなかったのですが、原題の大切な所を省略していたんですね。でも…老人だけじゃなくて、若者も住みにくい世の中になっちゃったよね。 【あっち】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-27 16:51:14) |
81.《ネタバレ》 コーエン兄弟の作品は「ファーゴ」でもそうだったけど、キャラクターが面白い。それで、自分には十分面白かった。ラストのトミーリージョーンズのセリフはちょっとよく分からなかった。ここまで話を引っ張る力があるので、社会派映画を狙って(?)のセリフは無くても良かったと思う。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-21 17:13:32) |
80.「アメリカの病根」?「アメリカがいかに病んでいるか」? それがどうした? 「アカデミー賞」? それもなんだ? そんな前口上にだまされてはいけない。退屈きわまるうえに、血なまぐさいだけ。大事な時間を2時間もつきあわされるには、ヒマと覚悟のいる映画。 【goro】さん [DVD(字幕)] 2点(2008-11-17 05:05:39) (良:1票) |
79.《ネタバレ》 コーエン兄弟好きということで、かなりの期待を胸に観賞しました。一度目はどう評価していいのやらよく分かりませんでした。しかし観賞後しばらく経つと、また観ようという衝動に駆られ、一週間後にまたも劇場へ。アメリカがいかに病んでいるか、というテーマは原作『血と暴力の国』そのままで、細かな設定も殆ど同じで、原作小説の方がベルの語りが多く、ややこのテーマに対して解釈を巡らしやすい構成ではありますが、映像化としては大いに成功しているように思います。 が、私がこの作品で好きなのは何よりもコーエン兄弟の演出なのです。おそらく彼らは物語の流れ=テーマ・メッセージは原作そのままに、この物語をいかに面白く演出するかにこだわったのではないかと(変に脚色するとテーマがブレるでしょうし)。その一番の証拠がシガー。あの奇怪な武器は原作通りですが、あの髪型・体つきに関しては殆ど彼らが生み出したようです。彼はレクター博士やジョーカーのような悪役と比べると魅力は薄く、ただひたすらモスに恐怖を与える天災のようなものとして描かれているように思えます。 そして毎度の事ながら、やはりコーエン兄弟常連のディーキンスの撮影も非常に美しく、主演3人の演技もかなりのもので、狂気のシガーを演じたバルデム、抑えた演技がバッチリのトミー・リーはもちろんのこと、寡黙ながらも優しさと知性のある人間臭いモスを演じたジョシュ・ブローリンも賞賛に値すると思います。 それから、ちょっと物議を醸すラスト。あれもなんだか嫌いじゃないです(テキトーだなぁ)。 コーエン兄弟はいつもそうですが、これから何度も観直しそうな中毒性のある映画です。 【Sgt.Angel】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-11-15 21:15:24) |
78.《ネタバレ》 この監督さんは前から興味があり、アカデミー賞作品賞受賞ということでとりあえず鑑賞。序盤の緊迫感は圧巻。すごく惹きつけられましたが、ルウェリンが死んでから話の展開がよく分からず、理解できないシーンもあり、ラストは夢の話で終わり!?エンドロールの後何かあるかなと確認してしまった・・・ 【みゅうみゅう】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-09 11:18:02) |
77.世の中にはいろいろな人がいるよな。慈悲深い人、欲深い人、またはその他どの部類にも属さない人。そんなこんなの人たちが自分勝手に行動したら、こんな世の中になっていくんだろうな。きっと。 【Keicy】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-11-05 23:30:15) |