《改行表示》16.今年度のアカデミー作品賞「英国王のスピーチ」を観てきました。 英国王ジョージ6世と言う名前は、私のような海外競馬マニアにとって、「キングジョージVI&クイーンエリザベス ダイアモンドステークス」で知っています。 秋のビッグレース緒戦に位置し凱旋門賞を占う上での重要なレースです。 そういう意味で知っているジョージ6世ですが、吃音に悩む内気な国王だったとは、恥ずかしながら知りませんでした。 この作品は、間違いなく秀作だと思いました。 コリン・ファースの演技は見事でした。 エレベーターやタバコ、1シリング硬貨やプラモデルなど小道具の使い方が秀逸で、笑える部分も多く大満足な作品でした。 また、歴史物語としても非常に見ごたえがありました。 日本でもこう言った作品って、作れそうな気もするんですけどねえ... 【ミスプロ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-04 23:22:49) (良:1票) |
15.《ネタバレ》 題材はとてもおもしろい。英国王と言語障害を治す専門家との交流が主軸になっている。最後のスピーチはとても感動的だ。 けれど、よくできた映画なのにどこか物足りなさを感じた。なぜか。「エリザベス」や「クイーン」では、皇室に反発する側と主人公との対立が主人公の苦悩となって映画のおもしろさを際立たせていた。けれど、「英国王のスピーチ」に出てくる人たちは皆いい人なのだ。常に夫を支える王妃、物分かりのよい娘たち、いつも皇室に忠実な首相。唯一主人公を苦しめるのは自分勝手な兄くらいで、吃音以外に英国王に差し迫った問題が描かれていないのだ。 それだけに、主人公の兄を演じたガイ・ピアースが印象深い。ジェフリー・ラッシュと同じくオーストラリア出身のピアースだが、オーストラリア人役のラッシュと違い、声のトーンを変えてアクセントの強いイギリス英語で話しエドワード8世を見事に演じていた。ピアースは「ハート・ロッカー」でも冒頭で死ぬ印象的な役を演じており、オスカー作品に2年連続で出たことになる。作品選びがうまい俳優ですね。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-03-04 17:52:18) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 役者の演技と、堅実な構成が見事。 言語聴覚士や、実際に障害のある方が勇気をもらえることも間違いないでしょう。 吃音の方は、「どもらないようにとあせる」「失敗しないようにと緊張する」ことが、さらなるどもりを生むケースが多いようです。 バーティが吃音を克服できたのは、ライオネルの治療が優れていたこともあるでしょうが、気兼ねなく、緊張せずに話せる相手がすぐそばにいたことが大きかったのだと思います。 ひたすら地味な映画ですが、じんわりと心に響く感動を提供してくれました。 ◆日本版の広告にある「英国史上、最も内気な王」というのはちょっと違うと思います。 内気と吃音障害は全くもって別のものですし、映画を観ると主人公は内気でないばかりか、むしろ感情を抑えきれない激情の人物です。 それとは関係はありませんが、他にも「自閉症」という言葉もよく「ひきこもり」と勘違いされるケースが多くありました。 広く宣伝をする方たちが、誤解を与えるような表記をするのは止めてほしいものです。 【ヒナタカ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-03 19:12:16) (良:4票) |
《改行表示》13.《ネタバレ》 心に響く作品となっている。派手さがある作品ではないが、“重み”のある作品に仕上がっている。ストーリーは展開に大きな動きのあるものでもなければ、単純に感動を煽るようなものではなくて、シンプルに構成されているので、アカデミー賞を受賞した傑作の感動作という印象とはやや異なるものの、最後のスピーチに全ての想いが結実されており、評価通りの良作といえるだろう。国民を守る王として、一緒に戦ってくれた友の期待を応える者として、自分を影から支えてくれた妻をもつ夫として、幼いながらも父を理解してくれる2人の娘を持つ父として、あのスピーチにはを感じられた。様々な想いの中で、様々なプレッシャーの中で、紡ぎ出される一つ一つの言葉には心を動かされざるを得ない。 また、王室としてのプレッシャーや、難局を迎えた王の地位としての“重み”もあった。兄の退位による戴冠、戦争を迎えるという状況がマジメな彼をさらに追い込んだように思えるが、マジメさとユーモアさを兼ね備える彼だからこそ、この難局をも乗り越えたように思える。ジョージ6世が最後までローグをライオネルと呼ばなかったように思えたが、果たしてどうだったのだろうか。もしそうならば、ジョージ6世らしさがよく出ていると思う。王という地位の重さを知るジョージ6世だからこそ、対等な立場で付き合いたくてもそれを許せなかったのだろう。王の代わりに王妃がライオネルと呼ぶ展開も、王の気持ちを痛いほど分かる妻の気持ちが込められているように感じた。それだけ威厳が必要な王だからこそ、逆にライオネルは王と対等の立場で向き合わなくてはいけなかったのだろう。対等の立場に立たないと、悩みを抱える者の真の心の声は聞こえないのかもしれない。彼は、戦場で傷ついた兵士にも、小さな子どもにも、対等な立場で向き合ったのだろうと思われる。王としての立場を守らなくてはならないジョージ6世と、対等の立場で問題を解決しなくてはならないライオネルとのベクトルの違いというものも本作をより深く、より面白くさせている。最後にライオネルがバーティではなくて、陛下と呼ぶことで、さらに深みが増している。 とてつもないプレッシャーの中で吃音症を乗り越えたのだから、現代に生きる我々が抱えるプレッシャーというものも、周囲の助けがあれば、乗り越えられないわけがないということももちろん描かれているように感じられる。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-01 23:11:46) |
《改行表示》12.バーティとライオネル(敢えてこう呼ぼう)が2人っきりで部屋の中にいる。2人の関係に常に一定の距離感と緊張感を持たせつつも、台詞の中に込められたユーモアのセンスが素晴らしく、1シリング硬貨やプラモデルといった小道具の使い方も巧く、実に味わいのある笑いを生み出します。この緊張感と可笑しさのバランスが絶妙でした。この2人を演じるコリン・ファースの感動的な名演技は言うまでもなく、ジェフリー・ラッシュもまた賞賛されるべき素晴らしい演技でした。 初めて2人が出会った時の距離感のある関係から、その距離感を少しずつ詰めていく過程が、感動の味付けや音楽や演出は抑え気味ながらもユーモアを交えながら丁寧に積み重ねられていき、最後は実にいい感動があります。演じる2人の繊細かつ可笑しさのある演技も充分に堪能できます。 この2人のそれぞれの家族の関係とその温かみのある描き方にも家族の素晴らしさを十分に感じさせてくれるし、王である夫を支える妻を演じたヘレナ・ボナム=カーターも見事な好演でした。本作のように地味ながらもいい映画が本年度アカデミー賞の重要な4部門(作品・監督・脚本・主演男優賞)を受賞したことをとても嬉しく思います。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-03-01 20:48:20) (良:2票) |
11.《ネタバレ》 特にけなすところは見当たらない。しかし特に誉めるところも見当たらない。要は凡作であった。全てが及第点。そういう意味においては良作と呼べるかもしれないが、タイトルと予告編、そして史実から想像可能な範囲で物語が終始したのは本当に残念。脚本はそういうレベルで、思い出せるような気の利いた演出もほとんどない。挙げるなら二人の娘が国王になった父にお辞儀をするところくらいか。カメラワークも凡庸。全編通して決して退屈ではないが、決して面白くもない。内容について何かを語りたいという衝動を起こさせるわけでもなく、今日寝れば明日にでも忘れられるような作品だった。アカデミー賞の歴史にとってはむしろ忘れられるべき作品ではないか。 【Balrog】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-02-28 21:51:42) |
《改行表示》10.よかったです。 繊細で癇癪もち、そして不器用な吃音症の英国王バーティ……とっても魅力的でした。 彼の緊張と共に私も緊張し、彼に笑顔がほころぶたびに私も頬を緩める、完全に感情移入した2時間弱。 ただ、これは私がコリン・ファースという役者が大好きなためなのかも。そのせいか冷静にこの映画の良し悪しを語れそうにありません。 自分の好きな役者がいい映画に出ることは普通はうれしいものなんでしょうが、なんだか本作品に関しては複雑な心境になってしまいました。 「コリン・ファースにうっとりしたのではなく英国王バーティに心を奪われたのだと、そう確信できる何かがほしい」なんて思うなんて贅沢なのかな…… 【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-28 17:49:12) (良:1票) |
《改行表示》9.《ネタバレ》 ハードル上がりすぎてた気がする。 キャストも良いし、特に嫌いな部分はなく、手堅い良作として仕上がってるんだけど、想像以上に地味だった。ゴージャスな美術が拝めるような作品ではなく、腰の据わった人間ドラマ。いうなれば、あんまりお金かかってなさそう(それが悪いというのではないけれど)。 普段だったら、こういうちょっと高級感のある小品な作品って、単館でコソっとやってて、いつの間にか終わっているイメージがあるんだけど、そういう作品と違って本作が極めて高く評価されている理由はちょっと分からないかも。 なんだろう、つまらないわけじゃ全然ないんだが、特に悪い人も出てこないし、主人公がそれほど追いつめられるわけじゃないので、最後の上がり幅が弱い気がする。 それにしても、序盤の観衆の前でいきなりスピーチなんて、できないのが普通だと思わないでもないよ。僕は無理です。 王様じゃなくて良かった。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-02-28 14:35:43) (良:1票) |
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8.《ネタバレ》 ジョージ6世はイングランドでWW2を語る上で、避けては通れない人物の1人です。彼が非常に苦悩したと言われる吃音をテーマにして、これほどの凄い映画が出来るとは思いませんでした。正直、もうちょっと吃音を直す努力のシーンが中心になると思っていたのですが、そうしなかったことで、ジョージ6世の王位に就くまでの苦悩と絶望感が見ているあたしには、ひしひしと伝わってきました。特に凄いなとあたしが思ったのは彼が英国王となる事が決まり、際に二人の娘を抱こうとした時に二人の娘が貴婦人の礼をしてみせた瞬間でしょうか。これは辛いよね、あたしは王妃の前で無く彼よりも、ここのシーンで泣けてしまいました。この場面が彼の望まざるべくして英国王になってしまった彼を絶望の縁に追いやった瞬間だったと思うからね。それ故なんだろうけど、ラストのスピーチは圧巻でしたね。王が吃音者であるというのが判っているからこそ、それまでの苦悩する彼の姿とそれでも敢然と立ち向かう姿をだぶらせ、あのスピーチだけで緊張と感動があるんだよね。そしてスピーチが終わって、もう一度感動できるのは、それまで対等の立場で接してきたジョージ6世とローグが愛称ではなく、名前で呼ぶことで王と臣民としての立場を明確にし、同時に二人の王女に抱擁した所にあったと思います。これは王と、家族の両方の関係を正常に戻せたという事で、これが本当の意味で英国王になった事を示した部分であるからだと感じますね。 【奥州亭三景】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-02-28 12:42:41) (良:3票) |
7.《ネタバレ》 個人的な話で申し訳ありません。忘れもしない、小学五年生の始業式。新しいクラス替えの自己紹介の際、当時からめっちゃ緊張しぃだったせいで思いっきりどもりまくって、何言ってるか自分でもわかんなくなってしまった経験があります。教師からは、「お前、言語障害か?」と、皆の前で心無い言葉を浴びせられ。まだ「言語障害」という単語も知らず、帰宅して国語辞典で調べました。以来、このトラウマで「人前で話す事」が嫌で嫌で「また、俺どもるんじゃないだろうか・・・」って不安といっつも格闘してました。これはそんな暗い思春期を過ごした、自分とオーバーラップするような、気弱なイギリス国王ジョージ六世の物語。予告編を見た時から絶対観たいと思ってた作品。とにかく、コリン・ファースの、役者として円熟期を迎えた演技にまず圧倒されます。王族としての誇り高きプライド、父親としての娘への愛情、唯一弱さを見せられる存在である妻への甘え、兄王への複雑な思い・・・。彼の一挙一動は、この国王のキャラクターをあざとくなくごく自然に、余すところなく表現していましたね。一番肝になるクライマックスの「スピーチ」後の、バルコニーに立つ彼の表情には国王としてのみならず一人の男として、確固たる自信が漲ってました。いやいや、ここは感動した~カッコ良かった~。自分の恋愛映画№1作品『追憶』でも、「ウィンザー卿とシンプソン夫人との結婚」ネタが効果的に使われていましたが、へえぇ~こういう事情だったのかと、改めてイギリス王室近代史のお勉強をさせてもらった気分。脇のジェフリー・ラッシュとヘレナも含め、役者の演技を堪能する映画ではあるんですが、どうも演出が役者の演技水準までに達していないという印象も。各カットごとに、もう一呼吸欲しいと感じた箇所が幾つか。自分も、もともとの左利きを、幼少時無理矢理右利きに変えさせられたクチ。だもんだから、あの頃「どもり」に悩まされたのかあ・・・と。場数を踏み、いつしか「どもり」は克服はしたものの、私の緊張しぃは今現在でも変わりませんが・・・(汗)祝!!アカデミー最優秀主演男優賞受賞、コリン・ファース! 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-28 10:56:45) (良:4票) |
6.《ネタバレ》 キレイにバランスのとれた映画でした。風格を漂わせる映像と音楽を基本としつつ、随所に笑いが入って重くなり過ぎず、過不足のないドラマを散りばめて軽くなり過ぎず。身分の違う二人、定められた自分の運命を呪うよりも、呪縛から解放され、そこから自分の人生を歩み出す事が出来るのだと導いてゆく友情物語は、定番ながら流暢な語り口でサラリサラリと心地良く流れてゆきます。ちょっと庶民感覚に寄り過ぎな感じがあるにしても、吃音に象徴された王の孤独が解き放されてゆく過程はやはり感動的。二人の距離感を示すカメラワークなども教科書的(並んで歩いていた二人が離れてピントがボケて霧の中に霞んで、って)ではありますが効果的で。優等生的な役者の演技の魅力も含めて、全てが「やり過ぎず、過不足なく、きちっと作ってます」って映画でした。イギリス映画って事でダンブルドア校長とベラトリクスとワームテールが出ていて、『ハリー・ポッター』との違いっぷりを楽しんだりもして。ベラトリクスとワームテールは他映画でも共演してる事が多いですねぇ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-02-28 08:06:32) |
5.《ネタバレ》 スピーチというのは、書いてある原稿を読めばよいというものではない。そこで言うことを自分が心底確信していなければならないし、またそれを全力をもって目の前の人に伝えようとする意志がなければならない。その一事を踏まえている時点で、すでにこの作品は成功しているし、だからこそ主人公や周辺人物の背景描写が生きてきている。ジェフリー・ラッシュやヘレナ・ボナム=カーターの好演はいうまでもない(2人のお嬢様がヘレナにそっくりなのもびっくり)。カメラワークにあまり工夫がないのが残念。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-02-27 22:03:02) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 人にはそれぞれ「天命」があるのだと思う。吃音でありながら、望まぬ王位を継承し全国民に向けスピーチをしなければならないのがヨーク公の「天命」なら、売れない役者でありながら、そんな王を支え言語聴覚士として指導していくのがライオネル・ローグの「天命」なのだろう。そして、そんな二人の傍にいつも寄り添い、献身的に支えていく二人の奥方、彼女たちの存在がまた素晴らしい。我々もまた生きている限り、何らかの「天命」を背負っているのかもしれない。それは国を動かすほど大それたことではないかもしれないが、隣りにいる誰か(家族?恋人?友人?)をただ笑顔にするだけでも良いのではないか。そっと寄り添い、抱きしめ、涙を拭ってくれる存在がどれほど大切なものか。…これは紛れもなく「愛」の映画である。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-27 12:27:12) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 人が何かを乗り越える物語は映画に普遍するテーマのひとつ。そこには、当人と周囲の人の真剣な闘いがあるからストーリーも熱を帯びる。本作が乗り越えるべき課題は、ただ喋るだけ。しかし主人公が国王で、相手が全国民で、しかも本人が吃音症となると、その課題はとても深刻な問題に様変わりする。吃音が精神のストレスから起こる症状との自論を持つ施療家がその治療を試みる。メインとなる処方箋は自分が国王の友人になること。この二人の人柄と距離感が楽しく映画を牽引します。二人が喧嘩した後に「王の謝罪を待つ者は、長く待つ必要がある」なんて照れ隠しの台詞を国王が口にするシーンがとても微笑ましい。その二人の演技もさることながら、王妃を演じたボナム=カーターが絶妙でした。言うべきは言うけど、それ以上の思いやりを感じさせる役どころ。王妃である前に妻であり母であり、親近感たっぷりの姐御肌も見え隠れする。最近は「ハリー・ポッター」や「アリス」でエキセントリックな役を演じてましたが、本作では彼女自身が持つ存在感が優しさという形で遺憾なく発揮されていると思います。ドイツとの開戦スピーチが上手くいった時、私はボナム=カーターに感情移入していて、一緒に涙しました。アカデミー賞に最多部門でノミネートされていますが、テーマや品格という意味では受賞に値する作品であるという意見です。発表まで24時間を切りました。さて。 〈2012/2/28追記〉作品・監督・脚本・主演男優の4部門を獲得。最も獲って欲しかったボナム=カーターの助演は残念でした。でも、今後の彼女の映画がとても楽しみになりました。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-02-27 12:21:06) (良:2票) |
《改行表示》2.巡り巡ってきた望まぬ「王座」に対して、主人公の英国王が、妻にすがり泣く。 吃音症に悩む内気な王が、風変わりな聴覚士の指導と友情により、困難に立ち向かっていく様を描いた映画であるが、個人的なこの映画のハイライトは、このシーンをはじめとする、王とその妻の「夫婦愛」だったように思う。 自分自身に自信が持てない夫を、明るく、行動的に支える妻。その妻を心から愛する英国王の情愛が、具体的な表現で描かれるわけではないけれど、画面から溢れるように伝わってくきて、それで涙が溢れた。 吃音症のためまともにスピーチが出来ない英国王。その改善にあたった風変わりな言語聴覚士。内気な英国王を支える妻。 プロットは王道的であり、ベタだ。ただ、この三者の様を一流の俳優がとてもとても丁寧に演じ、その演技の様を監督がこれまた丁寧に切り取っている。 英国王を演じたコリン・ファースは、気弱だが確固たる責任感と使命感に立ち向かう王の様を、言葉を発する唇の端々まで丁寧に演じていた。 ジェフリー・ラッシュは、相変わらずの独特の存在感が役に合致し、まさに「名優」による「名演」だったと思う。 個人的に最も良かったのは、やはり英国王の妻を演じたヘレナ・ボナム=カーターで、“コルセット・クイーン”の呼称にふさわしく英国貴婦人のたたずまいをベースに敷きながらも、快活で夫への愛に溢れた王妃を好演していた。 この3人の名優の演技を、新鋭の監督が独特の構図で巧みに映し出したと思う。 派手さや驚きはないが、だからこそ映画としてのクオリティー高さが滲み出るように伝わってくる作品だったと思う。 アカデミー賞の「本命」の一つしてふさわしい、良い映画だ。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-02-27 10:25:05) (良:2票) |
《改行表示》1.《ネタバレ》 『人前でしゃべれない王様が笑いあり涙ありで困難に立ち向かっていく』と言う、ヒューマンドラマとしてはベタな内容を予想。まぁ流れ的には大体合っていたが、完成度の高さは予想以上だった。 まず話のメインとなる主人公の悩み(スピーチはもちろん自分の子供と話す時も口籠ってしまう)からラストの演説までに起こる出来事や事件が1つ1つバランス良く組み込まれており、ダレる前に次のお場面に飛び、なおかつ描写不足になったり唐突な展開になったりもしないので最後まで集中して観れました。 また登場人物もメインとなるのは主人公夫妻と医者の3人なので、顔も覚えやすく掘り下げるための尺もしっかり取れているので好感が持てます。 特に主人公の王様(王位に就いたのは中盤ですが)。無理矢理王位に就かされてしまった上ドイツとの戦争も濃厚と言うプレッシャーに耐えきれず泣き出してしまいますが、それまでの描写や台詞、俳優の演技なども相まって、いかに彼が『真面目で国民の事を思う優しい王様』かと言うのが伝わってきます。 そしていよいよスピーチの時、若干しどろもどろになりながらも友の身振りや口パクで辛うじて原稿を読み上げます。そして次第に喋りが滑らかになっていき、最後は友も何もせず見守る形でスピーチを終えます・・・・・ああ、思わず涙が。 脚色の程度は分かりません。また際立って素晴らしいと言う部分も表現しにくいのですが、とにかく全体としての出来が良い『ハイアベレージ』な作品でした。笑いの表現ンも全体的に面白く、作品の雰囲気を壊さず程良いさじ加減で投入されているのも○。 少なくても前回の受賞作品に比べればアカデミー賞候補としてうなずける内容でした。 追記:受賞おめでとうございます。 【ムラン】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-27 03:27:02) (良:2票) |