23.書物に残される歴史を鵜呑みにしがちな我々だが、本質というものは“その場に居合わせた者のみ知る”ということでしょう。特にこの時代は写真や映像も残ってないのですから。井伊家の連中にしても、千々岩求女の本心(本質)は分かっていなかった。つまり、自分のことは分かっていても他人のことには無関心なのが人間である。 争いのない泰平の世。皮肉なことに武士(侍)たちはその職を失い、戦乱の時代より比べ物にならないほど苦しい日々を送ることになった。果たして争いの無いことだけが幸せな世の中と言えるのだろうか? 確かに今の日本は“比較的”裕福であり、戦争という物の危機感も無く、食うことにも困らない。しかし、それは“比較論”であり、苦渋の生活を強いられている人もいるのです(現代ではバブルの影響もあったでしょう)。この作品で語られる物語は、戦後間もない時代のバランスを欠いた生活土壌が舞台である。世の移り変わりの際には、こうした理不尽な理由で転落の立場に置かれてしまう人達が置き土産とされてしまう。それは今も昔も同じではないだろうか? |
22.《ネタバレ》 時代劇なのですが、現代の社会を見ているようでもあります。白黒の画面からは凄みが感じられます。体裁だけを繕おうとする体制に対しての痛烈な批判は、命がけであるが故に迫力があります。実に見ごたえのある邦画でした。 【たこげるげ】さん 9点(2004-09-13 13:53:39) |
21.《ネタバレ》 「竹光による切腹」を扱った作品にも関わらず、他の作品以上に、「真剣」さが痛いほど伝わってきます。(どれくらい痛いかと言うと、まるで自分も竹光で切腹しているかと思うほど痛いです。) 【STYX21】さん 8点(2004-07-25 12:49:50) |
20.シナリオも素晴らしいが何よりも仲代達矢の眼に魅了された。上辺だけの侍ではなく「心」の侍を演じていた仲代達矢は素晴らしいの一言に尽きる。 【ゆきむら】さん 9点(2004-07-03 14:21:08) |
19.最初、浪人が切腹を強要される場面を見て『バッきゃろ~~そりゃテメーの自業自得だよ!!』と思った人は私だけではないはず。だが、仲代達矢が回想する場面を見て、胸が痛くなった人も私だけではないはず。白黒のおかげもあってか仲代達矢の迫力が凄い。今じゃこんな役者いないんだろうなぁ~。三國連太郎の悪役もハマリ過ぎ。ちなみに私も『本気の邦画』コーナーで発見しました! |
18.テレビの深夜枠でやっていて、ビデオの録画セットのために最初のところだけ見ていたら、テレビを消せなくなり、そのまま最後まで見てしまった。あまりにも強烈だった。ぎらぎらしまくっていて、「白黒映画」というよりは「白真っ黒映画」って感じです。仲代達也の存在感は抜群。声だけで井伊藩の家臣の足を止めるシーンは一生忘れないだろう。だが、子供をあやすシーンでの子煩悩ぶりは、ちとやりすぎという噂も…。音声だけで描かれる戦闘シーンも斬新だし、こんな映画が日本で作られていたというのが新鮮な驚きだった。おまけに武満徹の旋律がものすごく映画にあっている。デモ、『黒い雨』や『東京裁判』のときの武満音楽とかなりにてるような気もする。三国連太郎のちょんまげ姿がかなり似合ってなくてニヤリ。 |
17.始まって10分間、何を言っているのか理解できず、頭の中で言葉を現代語訳するだけで精一杯で参ってしまいました。と言う事で、15分くらいの所でもう一度最初から見る事にしました。二度目は何故か、なんとなく言葉が理解できて、画面に集中して観る事ができました。最初から最後まで、何が起きるかわからない、張り詰めた雰囲気のある素晴らしい作品でした。 【ボビー】さん 8点(2004-05-30 11:38:43) |
16.《ネタバレ》 ほっほう~。絵の立体感が素晴らしゅうごさる。ほっほう~。突然、仲代達也のキャラクターが変わるのが面白いでござる。ほっほう~。映画というに相応しい味わいにございますな。まるで小話のように終わってしまうところが好きだ。 【ぷりんぐるしゅ】さん 9点(2004-05-22 21:06:23) |
15.仲代達矢の全身を使った立ち回りがうそ臭くてかっこいい。竹光で切腹のシーンはうわ!っとなった。丹波ひでぇ~。存分に引き回されいって・・・。引けねーよって感じ。仲代達矢の熱演、先が読めない展開など素晴らしいでした。 【バカ王子】さん 9点(2004-05-19 01:02:59) |
14.凄まじい物語だが、その魅力を何百倍にも増大させた橋本忍の作劇術のうまさに唸らない人はいないだろう。しかも仲代達矢の鬼気迫る迫真の演技を見せられると、もう言葉を失くしてしまう。多分、何年経ってもその衝撃は不変。誰が何と言おうと傑作中の傑作です。 【nizam】さん [ビデオ(吹替)] 10点(2004-05-11 12:36:46) |
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13.まず何より仲代達也がいい。当時30歳ぐらいでしょうか。今の若い俳優さんでこれだけ侍というか浪士が似合う人ってなかなか思い浮かばないです。(浅野忠信とか浪士が似合いそうですが、この役はちょっとイメージ違うかな)シナリオもよく練られていて面白いし、安部公房的な社会風刺の一面も感じました。とても奥の深い作品だと思います。残念なのはやけに軽い殺陣と変身ポーズみたいな構え。ちょっと引きました。でも、このサイトが無かったら観てなかっただろうし、観て本当に良かったです。感謝。もうすぐランキングでも上位の方に載りますね(笑)。 |
12.《ネタバレ》 強烈な印象を残す映画です。お家の体面にこだわり、やりすぎとしかいえない措置(千々岩求女の竹光での切腹)に対して詫びもせず、あまつさえ最後の騒動で死んだ家臣達を病死扱いにして事を済まそうとする家老には呆れるほかないが(三國の憎々しい演技が素晴らしい)、なにか現在における企業の過失逃れに通ずるものを感じました。まさに社会派ですね。 |
11.重々しく一度見たら忘れようと思っても決して忘れようがない作品ですよね。後味も凄く悪いし、思わず目を伏せて見たのですが、やっぱりすごいの一言。仲代達矢の迫力の演技に恐れ入った。死んでいった娘と孫は気の毒だった、、。三国連太郎のチョンマゲ姿はあまり似合ってるとは言いがたいが、私はこの作品を忘れることはないと思う。 【fujico】さん 8点(2004-03-27 15:59:45) |
10.時代劇として、また日本映画の中で第一級の出来。最初から最後まで画面にある種の緊張感がただようなか、仲代達也の演技が出色。特に開始早々の茫洋とした表情が何を意味するのかが分かってきたとき、彼の演技力の深さに感動を覚えた。 【駆けてゆく雲】さん 10点(2003-12-27 21:19:18) |
9.竹光の切腹シーンのインパクトがすごいです。実戦剣法のインパクトもすごい。弱くてもかっこいい殺陣がいいです。常識を打ち破ろうとしている事を現すシーンも随所に見られるがやりすぎはダメです。もったいない。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2003-11-16 19:05:01) |
8.武士道の醜さを壮絶に描いている。それが現代社会にも通じてしまっている以上、悲しい気分を持って見てしまう。 その中で、自分の正しさを示そうとする仲代達矢にどうしても反抗できない気分になる。 ラストサムライなんてクソだと思う。これが本来の武士道の姿だと思う。 【セクシー】さん 10点(2003-10-31 03:44:14) |
7.《ネタバレ》 なにげなくレンタルしてぶっとんだ映画。やっぱ映画はシナリオだなぁと思い知らされた。それこそハリウッドがシナリオ買いに来たりしないのだろうか。今見てもオリジナリティにあふれてるし、しぶーい役者ばかりで言う事なし。それにしても竹光で切腹はいやだねー 今のところマイワースト死に方ぶっちぎり一位。あと岩下志麻がすごい若いのに、声は今と変わらないのは不思議だね。さすが極妻 【ぽちょむきん】さん 9点(2003-09-12 04:02:59) |
6.《ネタバレ》 ・・・STING大好きさんみたいなきちんと分析的なレヴューを書いている方に自分の(時に文法的にかなり怪しい)レヴューを引用されるのは嬉しいけど、ちょびっと恥じゅかしいでしゅ(もともと「美味しんぼ」からのパクりだし)。それはいいとして、いや、凄い映画でした。まず前半の、静かなのにじわーりじわーりとしたテンションの高さで一気に映画に引き込まれてしまいました。中盤に入ってくるとちょっと話の展開が読めてきてダレた感じがしたんですけど、あの「髷狩り」はさすがに読めなかった!それに最後の「かっこ悪くも生々しい」殺陣!僕は剣術もチャンバラも詳しくないのであくまで素人考えなんですが、実際1人対大勢の戦いになったらあんな感じなんじゃないでしょうか。あの「腕十字構え」も一瞬「なんじゃ?」と思ったけど、要はあれは、実際の戦場を潜り抜けた経験の上で編み出した、型にはまらない実践的な構えってことなんだろーなー、と納得がいきました(丹波哲郎との戦いの時に、実戦経験がない剣法を「しょせん畳の上の水練」と言ってましたしね)。いやー、しかしこういう時代におもねっていない作品って古びませんね。現代だと、例えば企業の不祥事隠しと重ね合わせたりできると思うし。変な見方かもしれないけど、僕はこの映画の浪人を現代日本の不法滞在外国人と重ね合わせて観たんですよね。そりゃ違法行為だし、中には強盗や殺人を犯すようなのもいるかもしれないけど、もし自分が貧しい国に生まれたとして、ある国でがんばって働けば大金を稼ぐことができるって言われたら、たとえ違法と分かっていてもいくでしょ、そりゃ。あなたにはそういう、相手の立場になって考えてあげる優しさはないのか慎ちゃん!と言いたい。 【ぐるぐる】さん 9点(2003-07-17 18:39:42) |
5.昔むかしに観た。ビデオに採ってある。何度かビデオを整理し、消去したが、この一本は、消すことが出来ないでいる。黒澤監督も属していた「四騎の会」の一人、小林監督入魂の作品である。大仰なセットはなくとも、良い脚本とキャストがいれば、傑作が出来る証明であろう。殺陣は今ひとつであるが、それを見る映画ではないから、許したい。それにしても武士とは、辛いものよ、のお。 【すぎさ】さん 9点(2003-07-09 17:35:54) |
4.これまで観た日本映画のなかでも特に印象に残る作品です。それにしても、竹褌で切腹する(させられる?)場面の凄惨さといったら・・・。それといい、仲代演じる武士が単身大名屋敷に乗り込んで、切り合う場面といい、この作品での「刀」のもつ質感の描き方は鬼気迫るものがあります。仲代が刀を振り落とす度に漏らす「フンッ」という息遣いに、武器としての刀の重量感がにじみ出ていたような気がします。こうした描き方は日本映画でしかお目にかかったことがありません。 【ヨアキム】さん 9点(2002-08-06 12:53:51) |