61.数ヶ月前、某ニュースサイトのトピックスで、今作に主演した御年13歳の女優が注目の的に挙げらていた。
記事に掲載されていた本人画像を見て、「これ、ほんとに13歳か?」と、あまりに魅惑的な表情に唖然としてしまった。
それが、この映画の“スーパーヒロイン”を演じたクロエ・グレース・モレッツだ。
撮影当時は11歳の彼女が、放送禁止用語を連発しながら、悪党を次々に“虐殺”していく。
極端な娯楽映画であることは重々認識していながら、ほんとうに久しぶりに、「これは教育的によくない映画だなあ」心底思いながら、終止ほくそ笑み続けた映画だった。
アメコミのヒーロー映画は大好きで、散々観てきた。きっと、この映画の製作陣も、アメコミが大好きで、数多のヒーロー映画を心からリスペクトしているのだろうと思う。
そういうことを踏まえて、敢えて言いたい。
「サイコーに面白いヒーロー映画だ!」と。
冴えないオタク学生が、マスターベーション的ヒーローと成ることからストーリーは転じ始める。
実際、その“テイスト”だけでも充分にコメディ映画としては面白い。
“彼=キック・アス”を単独の主役として貫き通したとしても、娯楽映画として確実に評価に値する作品に仕上がっていたことだろう。
ただ、この映画が一筋縄ではいかないのは、前述の“11歳のスーパーヒロイン”の存在に他ならない。
主人公“キック・アス”の存在が、クロエ・モレッツが演じる”ヒット・ガール”と、ニコラス・ケイジ演じる“ビッグ・ダディ”のコンビを引き立たせるための“前フリ”となった時点で、映画は劇的に加速していく。
そして、最終的にはしっかりと“主人公”を活躍させてくれるという、分かりきった“くすぐり”が、問答無用にテンションを高揚させてくれて、深夜にも関わらず、馬鹿笑いが止まらなかった……。
「バットマン」をはじめとする“ヒーロー映画”のパロディに端を発している映画であることは間違いないが、その範疇をひょいっと越えた、唯一無二の娯楽性を携えたオリジナリティ溢れる“ヒーロー映画”の誕生だと思う。
P.S.
そして、13歳の時に出演した「レオン」で一躍スターダムにのし上がったナタリー・ポートマンが、アカデミー賞主演女優賞を受賞したこのタイミングだからこそ、
クロエ・グレース・モレッツの、女優としての将来性には期待せずにはいられない。