1.《ネタバレ》 寝台列車でモスクワからムルマンスクへ行く映画で、列車内外の冬の風景やムルマンスクの都市景観らしいものも見える。映画評では「世界の見方が変わるような映画」と言われていたが個人的には何も変わらなかった。
原作付きの映画だそうだが、短縮のためか説明不足になっている気がする。主人公には特に共感できないので同室の男に関していえば、最初は粗野なだけに見えて実はけっこう愛嬌のある奴だったが、精神年齢的にはガキのようでもある。これはここの国民がこれで普通というよりも、この男個人として人格形成の過程に特殊事情があったのではと思わせる。しかし男の出自をはっきり示すものはなかったようで、ペトロザヴォーツクのガガーリンは何だったのか、住所交換を嫌うのはなぜかといったことが不明点として残る。
ただ少なくとも食堂車から戻ってからの主人公は男にとっての母親のようで、その後の行動はいわば愛する母への献身なのかと思った。いわば不良少年と母親の関係とすれば男女のラブストーリーではなかったことになる。男が言った「みんな死ねばいい」は絶望の表現だろうが(ガキっぽいが)、その心は主人公も共有できていたかも知れない。ラストで車内に陽がさして来たのは悪くなかった。
点数は普通につければ無難に5点くらいだろうが、製作国4つの中に個人的に嫌悪する国が入っているので採点放棄で0点とする。映画に罪はないだろうが感情問題ということで。
ついでに書くと自己紹介で名前を言われたのにアロハと答える奴の無神経さを憎む。隣国であるのにЛёхаが人名ということも知らないのか。