3.松本人志監督の三作目であるが、あの退屈極まりない「大日本人」が名作だと思えてしまうほどの駄作であった。
ただ、ただ痛々しいだけの映画であった。
吉本興業のベルトコンベア式タレント工場であるNSCの一期生の松本は、タレントの安定配給システム確立のために「天才」に祭り上げられた犠牲者であるのかもしれない。
松本は、「天才」と自分の才能とのギャップに気づいて背伸びをしているのか、それとも自分が「天才」だと信じ始めてしまっているのか・・・
ひとつ言える事は、自分にしか理解できない面白さは「天才」ではなく「独りよがり」なのである。
内容的にはまず、ネタに新しさがない。
これはテレビの「筋肉番付」なのか?それとも「お笑いウルトラクイズ」なのか?「びっくり日本新記録」なのか?
しかも主役の男に一生懸命さが見えないので少しも笑えない。
そして、登場人物の行動に理由が見出せない。
娘が若君に薬草を届けたり、門番がアイデアを考えたり、とってつけたようなシーンの連続だ。
脇役達のキャラクターはステレオタイプで陳腐だ。以下省略・・
その点では、日本映画をダメにした60年代のご都合主義映画と何ら違いはない。
本人は、映画の常識を壊したつもりなのかもしれないが、過去の映画やテレビの焼き直しに過ぎない。しかも酷く劣化させてしまっている。
それとも日本映画やTVがやってきたことは「こんなにつまらないんだよ」と言いたいのだろうか・・・