1.《ネタバレ》 アカデミー賞関連の映画ということで鑑賞したが、やはり意味のない暴力描写が多い。クジラの潮吹きのように飛び出る血や、指で目をつぶす描写などに目を背ける正常な人間とは反対に、興奮して「面白い!」「カッコいい!」「センスのいい音楽と人殺しの組み合わせは最高!」と絶賛する病んだ人々がいる。私はこの映画を観て、病んだ現代人は減っておらず、むしろ増え続けていることを確信した。ゲームの中でモンスターを殺すことに粘着したり、レイプアダルトを見ている病んだ人間たちの深層心理は到底理解できないが、そんな人間が多いからこそ、犬に人間が食われる意味のない映画を観て狂喜できるのだろうと思う。つまり、病んだ人間が増えれば増えるほど、タランティーノは商売繁盛となるわけだ。私はこの映画に映画愛のかけらも感じられなかった。彼は実は映画を憎んでいるのではないだろうか?こんな監督に「差別はいけませんね」なんて言われる筋合いはない。しかし人間というのは、残虐なシーンを見て喜んでいる自分を隠そうとする。だから差別問題をカモフラージュにして血しぶきを見せる。そうすれば観客たちは安堵するのだ。戦争の悲惨さや、差別の根深さを知るためにもっと血を流しましょうか。満足ですか?え?血の量が足りない?差別問題はもっと奥深いからもっとクールな殺し方を見せてほしい?あぁ怖い。映画の内容が怖いのではなく、この手の映画に需要があることが怖い。センスのいい音楽を聴きながら、センスがいい殺され方だと絶賛する病んだ現代人が怖い。