1.“くだらなくて面白くない映画”であることは、容易に想像できた。そして、想像通りに“くだらなくて面白くない映画”だった。
「観る価値もない」というのは映画ファンとしての全うな意見だろうが、観ていないのに「面白くない」と断ずるのも、映画ファンとして違うように思う。なので観た。
何でも良いので「予想外」のものを見せてくれないかということが、一抹の望みだった。
しかし、ストーリー展開と顛末、俳優の演技、映像、音響、編集……、映画を象るすべての要素において、「予想外」と表せるものは何一つ無かった。残念ながら。
予想された舞台設定に、予想されたストーリー展開が繰り広げられ、俳優たちは予想通りの演技をしていた。
むしろ、予想よりも遥かにストーリー性に深みは無く、「強引」とも言えない整合性の無さに呆れる程だった。
登場人物たちの描かれ方があまりにチープで、すべての言動に説得力が無く、故に恐怖シーンにも恐ろしさを覚えない。
面白くないことを予想していた映画に対してくどくどと酷評をしてもしかたない。
けれど、もう一つだけ言いたいことは、“美術”の酷さだ。
こういった突飛な世界観を描いた日本の低レベルな娯楽映画にはよく見られることだが、舞台となる建物の造形やポイントとなる様々な小物のクオリティーが、なぜこうも低いのだろうと思う。
あんな“ハリボテ”感満載のセットを見せられて、緊張感を持てというのはそもそも無理な話だ。
大手芸能プロダクションが、所属する俳優たちを寄せ集めて安直な「企画」を繰り広げただけにしか見えない映画だ。